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ようやく毒から逃げまして⑧〜脱出方法まとめ〜

(画像はいらすとや様より)

【注意事項】

・本記事はあくまで個人の経験に基づく見解であり、すべての効果や結果を保証するものではありません。本記事の内容によっていかなるトラブルが生じても一切の責任は負いかねます。予めご了承ください。
・あわせて『ようやく毒から逃げまして』をご覧いただけると幸いです。


 先日、久方ぶりに「毒祖母ノート」を見返した。毒祖母との同居当時から母、姉、私それぞれが毒祖母から受けた嫌がらせやトラブルを逐一書き溜めていた。今でこそ笑い話に昇華されている出来事もあれば、思い返すだけで頭が痛くなるような話もある。ノートの最後に私たちの脱出行程が記されていたのでそれと己の記憶を元に毒親/毒家族からの脱出についてまとめてみた。

《脱出に当たっての前提条件》
①本人が成人かつ社会人であること
一度でも毒親/毒家族と「話し合い」を試みた経験がある(結果や内容は問わない)
③脱出以外に解決策が見当たらない
④脱出するという強い意志を持っている

 まず脱出とは、毒親/毒家族問題における“最終手段”であると私は認識している。その前に私たちは毒祖母との話し合いや交渉を経て家庭内別居を実行するに至ったが、状況は一向に改善されなかった。より踏み込んだ表現をすれば、「当時それ以上毒祖母の支配下にあったら私が自殺しかねない」状況でもあった。

 かようにいかなる手段を尽くしても毒親や毒家族によって自分自身の人生が壊されてしまう可能性が依然としてあるのならば、私はぜひ脱出を推奨したい。ただしそれを実施するには、上記の条件が存在することを心に留めておくべきだと思う。

※すでに“一人での”脱出を決意しているかつ資金も貯まっているという方は、「3:新居探し」まで飛んでください

1:協力者探し 

 様々な毒親脱出レポやその類の記事を読む限り、一人での脱出は非常に過酷であると私は感じた。なので今一度冷静に「毒親/毒家族以外の家族、親戚、恋人、友人、同級生、職場の同僚」など信頼に値する人物をリストアップすることをぜひ勧めたい。協力者といっても一から十まで手伝ってもらう必要はない。一時的に荷物を預かってもらう、宅配を受け取ってもらう、アリバイ工作を頼む、車を出してもらう、辛い時に話を聞いてもらうだけでも心強いはずだ。

 ただ、仲間が増える程リスクが伴うので必ず「毒親/毒家族という概念を理解している、個人情報漏洩の心配がない、万一毒親/毒家族と対峙しても動じなさそうな人」に絞るべきだ。また、毒親/毒家族と面識や利害関係を持たない成人男性が居ればなお望ましい。

2:資金の用意

・金額としては「30〜50万円」が相場
必ず自分の個人口座に預金すること。可能ならば口座の存在も毒親/毒家族には伏せておく
・万一毒親/毒家族に貯蓄や新規口座作成を怪しまれたら「欲しいものがある」などと適当にごまかす
※先立つものも安定した職も無い場合は、シェルターや寮付きの仕事という選択肢もあるので参照されたし

3:新居探し

・引越し先は無論遠方が好ましいが、無理ならまず近場で
・毒親や毒家族来訪対策としてオートロックはもちろん最低モニタ付きインターフォンは超重要
・時間がない方や遠方希望の人はインターネット内見がオススメ
・「脱出すること>>>絶対に譲れない条件>>>その他細かい条件、インテリアもろもろ」を肝に銘じる。まずは脱出を最優先に
・「環境や近隣関係で不満があったらまた引っ越せばいいや」くらいの余裕も大切

4:荷造りと運搬手段の確保

・荷物は可能な限り必要最低限に留める(遠方への引越しや脱出を機に毒親/毒家族と絶縁する場合はその限りではない)
・運搬手段として引越し業者、近場ならば赤帽、友人や知人、自分で運転する場合はレンタカー、「夜逃げ屋」を手配(非推奨)
友人や同級生宅の固定電話の登録、学生時代の連絡網、古い携帯電話、卒業アルバム、手帳や日記、メモ類、毒親呪詛記録といった個人情報は必ず細かく裁断して処分すること。どうしても必要なものはアナログで丸ごと持ち出すかデジタル化して処分する

5:各種手続き、その他準備

・住民票や役所関係、警察関係、病院関係については、たかはる氏のブログが大変参考になるので各自必要な手続きや処理を行う
・脱出および引越しを機に転職/転勤するに越したことはない。あるいは条件さえ合えば、退職して新転地で職を探すのも一つの手段
・毒親/毒家族が連絡を取りそうな親戚や友人には、事情を話した上で毒親が問い合わせたり来訪したりしても取り継がないでほしいと頼んでおく。職場の上長や担当者(できれば男性も含めると良し)へ同じように依頼しておく
・SNSも実名や顔出し、個人情報の表記や個人情報に繋がるような投稿は避け、原則非公開や一時停止にする
・通話アプリやメッセージアプリはIDを変える、毒親/毒家族をブロックするなどの対応を施すこと
引越し前に「毒専用電話」を契約することもぜひオススメしたい

5:引越し実施

・毒親/毒家族が不在の日時に合わせるのが理想
自筆の「失踪宣言書」を必ず目立つ所に置いて出ること

【失踪宣言書の内容】
①事件・事故に巻き込まれていないこと
②自殺の意図はないこと 
③生命の危機はないこと
④自分の意志に基づくこと

※私たちはこれに「迷惑なので職場には絶対来るな」「まだ必要なものがあるのでまた取りに帰る」を書き加えた。毒専用電話および緊急連絡先を作ったのならば、それも書き添えておく。

・毒親や毒家族から何を言われても無視して引越し作業を続けること。ここで折れて引き返したらほんまアカン(アカン)

6:新居入居後

・カーテンと照明の設置
・ガス・電気・水道のインフラ開通
・住民票や転居届などの手続き
・職場での住所変更の申請やその他手続き
・クレジットカードや携帯電話、ECサイトなどの登録住所変更は早めに(ネット通販さえ使えれば何とかなる)
・初日から数日は寝具(最悪寝袋)とレンジやポットがあればOK
・冷蔵庫、洗濯機、(設置されてなければエアコン)と白物家電を最優先で揃える
しばらくはとにかく体調と仕事と衣食住を最優先
・とにもかくにもまずは毒親や毒家族の居ない生活を楽しむこと(めっちゃ大切)

※なお私たちの場合は近場への引越しだったこともあり、脱出決意からここまで約三ヶ月であった

7:脱出後の対応と心構え

・新生活に慣れた頃に念のため毒親や毒家族に連絡を入れておく(毒専用電話からならなおよし、ただし連絡することで著しい支障が出る可能性がある場合は絶対に無理しないこと)

・引き続き職場や友人への根回しは怠らず、新居や新住所の漏洩防止を徹底すること。事情を伝えた上でしばらくはSNSの更新や友人との連絡も控えた方が良い

・何かあった場合は必ず信頼できる家族や友人、時には警察や役所といった然るべき機関に相談する

・万一毒親/毒家族と対峙してしまった場合は、「今は何も話せない」「今日は帰ってほしい」と言ったり他人のフリをしたりするなど毅然とした態度で対応する。特に無断来訪や付きまといについては、家族だからと言って躊躇うことなく警察へ通報すること

※今のご時世としてインターネットやSNS、興信所、職場突撃、住民票開示など、ありとあらゆる手段を駆使して血眼で子供の所在を探し出して連れ戻そうとする毒親も存在することを留意されたし

8:脱出はあくまで最終手段の一つ

 最後になるが、私が当記事でもっとも伝えたいのは「脱出したから終わり、ではない」ということだ。特に「脱出までしたら毒親も少しは反省するだろう」という考えはかなり危険である。かくいう私たちもかつてはそのような考えをわずかにも持っていたが、私の毒祖母は何一つして変わらなかった。(むしろ最近は悪化していると言っても過言ではない) 場合によっては毒親/毒家族の被害者面や同情を引くような言動で動揺してしまうかもしれないが、そんな“猿芝居”に決して騙されてはいけない。正直脱出にまで至るような毒親や毒家族が改心することなどあり得ないくらいに考えた方がいいと私は思う。

 そして毒親や毒家族との確執とは彼ら彼女らが息を引き取るまで続くのが現実であり、私たちもそれに苛まれている最中である。ただそれは「毒親/毒家族を持ってしまった人間の宿命」として“頭の隅”にでも置いておきながら、まずは毒親/毒家族の支配から解放された生活を少しずつ謳歌すべきであろう。
 
 冒頭でも述べたように脱出はあくまで“最終手段”の一つに過ぎず、毒親/毒家族問題における“正しい”解決方法とは限らない。ましてやその選択の先には、いくつもの困難や障壁が待ち受けている可能性が大いにある。脱出によって毒親や毒家族が改心することもなければ、むしろ彼ら彼女らの言動がエスカレートするケースさえも考えられる。それでもなお脱出を経て自分の人生を自分の手に取り戻せたと少しでも実感できたのならば、その選択は決して間違ってはいないと今の私は感じている。


【参考文献】

 以下のnoteやブログを参考にさせていただきました。ぜひご一読いただければと。




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