引っ越しの日に思うこと

※引っ越し当日に書いたものを時間差で投稿。

今日、私は引っ越しをする。
結婚して初めて二人で住んだ部屋を後にする。

入るときは二人だった。
出るいまは三人になった。
二人の間にはちっちゃな元気っ子。家族の幸せはこの7年間で何倍にも膨れ上がった。

どんどん荷物が運び出されていく。

私は邪魔にならないようすみこで体育座りをしながら、ふわふわ思い出に漂う。

二人の新居を内見した日。
不動産さんの車であちらこちらを見て回った。
ワーママになる自分が少しでも楽にできるよう、交通と買い物に不便がないようにと探した。それは未来の自分へのエールだった。

妊活と仕事の間に挟まれて、上手くいかなくて悔しかったときもあった。パートナーがいたから頑張れた。

コウノトリがやってきてくれて妊婦生活が始まった。ただただ楽しいかと思いきや、娘の成長具合に一喜一憂するアップダウンの日々だった。つわりが酷くてもシステムメンテナンスや開発は止まらない。憤ったこともある。都会の冷たい風を浴びながら、とにかく耐えに耐えた。

反面、家に赤ちゃんを迎える準備は、とても幸せだった。コンセントカバー、クッション、引き出しにストッパーを付けた。

出産日。その日が出産日になるとは知らない私。
流れ出た水に戸惑い、病院に電話。病院からは「破水じゃないと思う」と言われたけれど心配で、朝イチで病院に向かった。とぼとぼ歩いて。結局そのまま病院から帰ってこれなかった。

1か月後に赤ちゃんと一緒に実家からこの家に帰ってきた。
ばあばの手助けがなくて大丈夫かなと心配だった。実際一人であやすのは大変だった。夜泣き。黄昏泣き。寝ては授乳してまた寝る子を抱いて、パートナーの帰ってくるのをいまかいまかと待った。ばあばの応援もすごく呼んでしまった。

どんどん大きくなる赤ちゃん。
心配事は3か月後には勝手に解消してゆき、また新たな心配事がやってくる。
でも。そんなもんなんだなぁ。それが分かってきて。
命の尊さ、たくましさに、私もどんどんおおらかな気持ちになった。
あなたはあなたのままでいいのよと赤ちゃんにつたえるほどに、私も私のままでいいのよねと思えてきた。

そして仕事復帰。
最初はいてもいなくてもいいポジションだったのが、徐々にできるようになると、どんどんハードルがあがっていって。残業続きになり、ある日、めまいで起き上がれなくなった。しばらくだましだまし仕事をしていたが、とうとう休職。
悔し涙をいっぱい流した。
けれど会社という大きい流れにはじき出されてみて、はじめて分かったこともあって。
わたしは私の人生を大切にしたいと強く思った。

怒涛の7年間。

世情に揉まれながら新しい家族を作るチャレンジの過程。

この家はそれを全部みてきた。

私の涙も。破水も。娘の大泣きも。すべて受け止めてくれた。

ありがとう。

今日家族は次のステージへ。
私たちのお財布にあう、小さいし、新築でもないし、一軒家でもない、けれど確かにマイ・ホームへ。
まだまだこれからも、家族の冒険は続くのだ。