2019年6月23日(日)

松原俊太郎の【山山】を読んだ、この手の強度の高い裏返されたような言葉が強めの圧で並べられている作品は好物であるからおもしろく読んだ。生を口実に服従するな。

実家の裏庭に巣を作製した親鵯はどこでどの様にどの様な餌を仕入れてくるのかは今ひとつ判じかねるけれども、裏庭の裏にある家の裏にある道に生えている電柱から道なりに伸びている電線の上にまず降り立つ。ぴよぴよ(今から行きます)、ぴよぴよっぴー(お待ちしています)。という具合に親子で意思疎通を図ったのち、鵯にのみ見えている放物線の筋道を通って裏庭の裏にある家の瓦屋根にまずは乗り、そこから同じようにして我家の雨樋に飛び移り、それをまた繰り返してようやく巣を収めている庭木に辿り着く。たぶん次に実家に帰る頃には巣立ってしまっている。のびやかに生きて欲しい。同期と新橋で飲む。雲丹や牛肉を最初に食べようと試みた人ほど偉い人間は存在しないと思われた。

#日記 #エッセイ #コラム #小説 #創作


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