日本は有事の際には米国と交わした「指揮権密約」により、軍事的に米国の命令に従わなければならないことをご存じか?

日本という国はアメリカの属国であるが、残念ながら、その事実を最も認識していないのは日本人自身だ。
日本がアメリカと何らかの取り決めをする際に、いつも日本に不利益でしかない約束が取り決められることが多い。
そのような事実を見ていれば、日本は何かアメリカと不平等条約的なものを結ばされているのか、それと同等の状態にあるために、日本はアメリカに頭が上がらず、アメリカの言いなりになっていると本能的に感じている人は少なくないだろう。

そんな中、原口一博議員が1952年に日本がアメリカと結んだ密約に関する機密文書について、国会答弁の場で岸田文雄政権に対して同密約に関する実情が質問された。


この指揮権密約と呼ばれる日米間の秘密合意文書には、1952年7月26日の日付で、「TOP SECRET=機密事項文書」として、以下のことが書かれている。

私(マーク・クラーク米国司令官)は7月23日の夕方、吉田氏(吉田茂首相)と岡崎氏(岡崎勝男外務大臣)、マーフィー駐日大使と自宅で夕食を共にした後に会談をした。
私は我が国(アメリカ)の政府が有事の際の軍隊の投入にあたり、その指揮権の関係について、日本政府との間に明確な了解が不可欠であると考えている理由を詳細に説明した。
吉田氏はすぐに「有事の際に単一の司令官の存在は不可欠であり、現状ではその司令官はアメリカによって任命されるべきである」ということに合意した。吉田氏は続けて、「この合意は日本国民に与える政治的衝撃を考えると、当分の間、秘密にされるべきである」との考えを示し、マーフィーと私はその意見に同意した。

この内容を要約すると、1950年から始まった朝鮮戦争真っ只中である1952年に、アメリカ軍の司令官とアメリカの駐日大使が、時の日本の総理大臣である吉田茂と外務大臣の岡崎勝男と会談し、「日本軍とアメリカ軍が有事に軍隊を投入する際、アメリカの司令官をトップとして、日本はアメリカの命令に完全に従うこと」を約束した上で、この内容を日本国民には知らせないことで合意したというものである。

朝鮮戦争当時、日本はアメリカが命令すれば、アメリカ軍の命令通りに軍事行動をとらなければならなかったという事実が、アメリカの機密情報開示によって明らかになったのだ。
さらに原口一博議員は国会答弁の場で、「この日本がアメリカの属国であることを示す密約は現在も生きているのではないか?日本はそのような危険な状態に今もあるのではないか?」という質問がなされたが、岸田文雄政権は沈黙して返答しなかった。

今回開示された、いわゆる指揮権密約と呼ばれる機密文書は日本とアメリカの裏の関係を表す重要資料であると言えよう。
日本国憲法の下では、この指揮権密約のような約束事は国家の重大な政治的な内容であるため、必ず国民に開示された上で国会で審議されなければならないが、実際には国会で審議されず、国民には秘密にされ続けていたのである。

日本国憲法は既にあらゆる面で守られていないのである。


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