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日本は女性が「生きづらい国」なのか


女性が生きづらい国、日本

「日本は女性が生きづらい国だ」
この言葉はよく聞くし、私自身も海外在住の友人や外国人の話を聞くと生きづらいんだろうな、と思う。
ただ、本当に日本の女性達は「生きやすくなること」を望んでいるのだろうか。
私はもっと、生きやすくなってほしいと感じる一方で日本の男女格差が改善されない理由はそもそも、女性の意識にあるんじゃないか、と考えるようになった。

きっかけはこの動画。日経テレ東大学の動画で、村上フレンツェル玲さんが出演されている動画を拝見した。

彼女は日本の女性政治家を育てるための塾「パブリックリーダー塾」にて、
政治家を目指す女性に対して多額の支援(寄付)をする、という活動をしているそうだ。

彼女は日本における女性政治家を育てたい、と思った動機として
「日本だと女性が生きづらいと感じたから」と仰っていた。
彼女自身、ヨーロッパやカナダ等多くの国で暮らす中(現在はシンガポール)で、日本に関しては著しく暮らしづらいと感じたそうだ。
具体的な出来事に関しては明言は避けていたけれど、

・根本的な部分で女性にバイアスがかかっている
・そのバイアスを基礎として、文化や制度が完成してしまっている
・セクハラが多い
・復職した際「休みやがって」みたいな目を向けられる
・一人親への制度が足りていない

ということを仰っていた。

ジェンダーギャップ指数から見る日本

日本は女性が暮らしづらいということをもっと客観的に示すとしたら恐らくジェンダーギャップ指数だと思う。
事実、日本は116位(146カ国中)で、先進国の中では最低レベル、ASEAN諸国より低い結果(中国や韓国より低い)となっている。

ジェンダーギャップ指数を測る分野は4つに分かれている。

・経済
・政治
・教育
・健康

そして日本は教育と健康においては世界トップクラスを誇っている。
じゃあ、どの分野が足を引っ張ってるの?って言ったら、「経済」と「政治」である。

「経済」の分野で測られてる項目は以下となる。
・労働参加率の男女比
・同一労働の賃金格差
・収入の格差
・専門技術の男女比
管理職の女性割合

太字にした管理職の女性割合が特にひどくて130位。ものすごく簡単に言うと、「日本だと女性は管理職にはなれない」っていうのが世界から見た日本。

「政治」の分野で測られてる項目は以下。
国会議員の男女比
閣僚の男女比
最近50年における行政府の長の在任年数の男女比

政治分野だと経済よりもっと酷くて全項目が著しく女性割合が低く、「日本だと女性は政治家にもなれないし、なっても閣僚や総理大臣にはなれない」と世界から見られている。

日本人女性の考え方

確かにこのジェンダーギャップ指数を見ると、日本は女性が蔑ろにされているように思える。
ちなみに、ジェンダーギャップ指数の「教育」の項目に「大学進学」は含まれていない。
大学進学率(2020)は男子57.7%、女子50.9%と、高校までの進学率は男女で差がない(むしろ女子のがやや高い)にも関わらず、大学進学率は男子のが高いのである。

日本の女性は男性と比較すると、大学に進学することも叶わず、
大学進学して卒業して就職したとしても、会社で管理職に就くこともできない。
政界に興味を持ったとしても当選もできないし、当選できたとしてもその世界で地位を確立することはできない。

確かに、現代とは思えないほど女性が虐げられてる国の様に思える。
思えるけど、一方で、女性はそういった活躍を望んでいるのだろうか。

因みに私自身は大学に進学して、就職した。年齢的に管理職はまだ先だけれど、なろうと思っても恐らくなれないだろうと思う。
主な理由は2つある。
・前例がなく、現在の経営陣にそのアイデアがない
・産休や育休を考えると転勤や出世の希望を出しづらい

まず、なりたいと思っても“すごく頑張らないと”なれないし、“空気を読まないで働く”ことをしないとなれないし、“周りから疎まれる勇気”を持たないとなれない。「私が会社の第一人者になろう!」と目をキラキラさせるほどの気合を正直私は持ってない。

男性だったら、ある程度仕事が出来さえすれば評価される部分で「因みに結婚したりしないよね?」とか「2年以内に子ども出来たりする可能性ある?」とか聞かれたりする。そんなの私自身にも分からない。曖昧に返事をするしかない。

そんなことを乗り越えないといけない。それが現代日本で女性が管理職になる、ということだ。
そういうことを考えると、正直「そんなに仕事頑張らなくていいかな…」と思えてくる。
そして「管理職にならなくてもいいです」という結論に行き着く。
結果「管理職を望まない女性」が誕生する。

よく「日本は専業主婦が容認されてるから!」と言う人がいる。
確かに日本の専業主婦の割合は諸外国と比較すると高いけれど、31%という数値で、殆どの家庭は共働きだ。(2021年)
なので「女性はそもそも専業主婦になりたがってるんだ!」という主張は少し極端かなと思う。
なりたくてもなれないことを現代女性は理解してるし、そんなわけでそこまでの夢も見ていないと思う。

でも、じゃあ私が「管理職を望めない現状に不満があるか」と聞かれると、正直そこまで不満はないし、不安もない。
確かに同期の男子達がどんどん出世していくのを横目に私はなんとなく主任やリーダーあたりをフラフラし続けるのかな、と思うことはあっても、「まあ管理職になると責任が増えるしなあ」とか「帰る時間遅くなるしなあ」とか「結婚して夫がバリバリ稼いでくれたら世帯年収は1000万超えるし、それがいいかなあ」とか、
正直「それはそれで別に不幸ではない」と思うのだ。

私なんて、日本人女性の中ではまだ“意識高い”方だと思う。(なんて表現すればいいのか分からない)
短大や専門に進学した女友達は高校生の時点で「別に勉強好きじゃないし」と言っていたし、
結婚して仕事を辞めた女友達も「そんなに言うほど仕事好きじゃないんだよね」と言っていたし、
子育てに注力したいとパート勤めになった女友達も「これはこれで子どもといられて幸せだよ」と言っている。

誰も自分を不幸だとは思っていないし、今の日本が生きづらいとも思ってはなさそうなのである。

政界に進もうと考える女性が周りにはいないので、想像になってしまうけれど、恐らく出世の時の私の考えと大きくは違わないだろう。
私の働く会社なんかより、更に男社会だろうからもっとガッツや気合いが求められるだろうし、
そんな中で頑張らないといけないのは想像しただけでもあまり気乗りしない。

そこまで強い気持ちのない日本人女性

端的に言ってしまうと、日本人女性はそこまで「ガッツ」や「気合」を持って日本を変えたいと望んでいないのだと思う。

そんなことしなくても、過去の男性が築き上げた社会で十分、自分の居場所を見つけることが出来ているのだろう。

フェミニズム運動を牽引される方々は皆、強い気持ちを持っているように感じられる。
なんとかして女性の地位を向上させ、女性の生き方を社会的に認めてもらえるように努めている。

だけど、その運動に対して確実に男性が反論しているのを見る。
少しでも批判される運動に参加するのは、正直しんどいし、今の“そこそこの”幸せを手放す理由にするにはあまりにもリスクが大きい。

セクハラされた、と正しい主張をしただけで
「冤罪じゃないの?」とか「色目使ったんじゃない?」とか言われる社会だ(私の実体験)。
運動に参加するほどの勇気、少なくとも私にはない。

割と仕事を頑張りたい私ですら、そう感じるのだから、そもそも仕事を頑張らなくていいと思ってる女性からすると、「日本人女性は生きづらい!」という主張はただの迷惑でしかないんじゃないだろうか。
「いや、私はそんなこと思ってないよ!」と夫や恋人に言わないといけない生活は想像しただけで息苦しいと思う。

国民性という言葉はあまり好きじゃないけれど、日本人は「自身の権利を獲得するために能動的に戦う」ことはあまり好まない人種だと思う。
耐えることを美と考えるのは決して女性だけではないはずなので、
男性からしても「俺たちだって文句言わずに働いてるだろ!」という気持ちになるのだろう。

日本人女性が生きやすくなるには

冒頭でも書いたけれど、日本の女性の生きづらさは日本の女性の意識に根付いてるのではないかと思う。
「こんな社会おかしいよね」という活動家の人たちの問いかけが共感しづらいのではないか。

例えば「日本は他国に比べて育児の制度が遅れている」という主張に反対する人は男女共に殆どいないと思う。

そういう、どの立場から見てもおかしい部分を少しずつ伝えていかないといけないのに、いきなり
「日本って海外に比べると女性政治家少ない!」と言われても
殆どの女性は政治に参加する気はないし、あるいは参加をきちんと理由を付けて諦めたし、男性はそもそも女性に参加してほしいとは思ってないので、共感してくれる人が存在しなくなる。

日本で暮らす女性が生きやすくなるためには男性の意識改革ではなく、女性自身の意識改革が、まずは大切なのかもしれない。

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