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デザイナーの頭の中をのぞき見できるブックリスト

デザイナーが著者であり、自身の思考や知識、デザイン哲学などを書いているデザインの本が好んでよく読んでいるのですが、今まで読んだ中で面白かった本を紹介していきます。
第一線で活躍しているデザイナーの方々の思考を覗けるブックリストになっているかと思います。

原 研哉 『白百』

白があるのではない、白いと感じる感受性だけがあるとかつて書いた。白が、色ではなく白いと感じる感受性や心理であるなら、その現象を連ねていくという方法で、白に接近してみるのも自然である
(書籍紹介文より引用)

原研哉さんといえば「白」のイメージがありますが、そんな「白」の具体的な事象をコラム形式でまとめたもの。
「何を白と感じるか?」という視点で紡がれる言葉たちは、原研哉さんの独特の雰囲気もはらんでいて、現実に起きていることなのにお伽噺のように感じてきます。

こんなふうに美しく世界を切り取って生きていってみたい、と思わせてくれます。夜寝る前に読むと、素敵な夢が見れそうな1冊です。

深澤 直人 『ふつう』

人は「違和感」に気づきやすいですが、「調和」とは何をして感じられているのかはわかりくいものです。(省略)
私は「ふつう」とは何かを絶え間なく考えているのです。

ふつうということがいかに素晴らしいかということを、人は暗黙知のうちにわかっていると思います。
(本文より引用)

「ふつう」の本質に迫る本。この本を読んで「ふつう」という言葉が好きになりました。深澤直人さんの著書は『デザインの輪郭』が有名ですが、個人的には断然こっちを推したい。

我々が普段から無意識に触れている「ふつう」という概念を紐解く1冊です。

ブルーノ・ムナーリ 『モノからモノが生まれる』

企画するのは、そのやり方を知っていれば簡単なことである。
問題の解決にいたるための手順が分かれば、どんなことも容易になる。
(本文より引用)

企画の方法論と述べられているが、この本はいわばムナーリのデザイン論です。
問題発見から解決のアウトプットまでの過程をムナーリ自身の活動とともに細かく解説されています。まさに頭の中をのぞき見れる1冊です。

山中 俊治 『デザインの骨格』

人々が当たり前と思って見過ごしてしまうことに意味を求め、誰もがそう信じていることを確かめずにはいられない。それは私のデザインの源泉でもあります。
(本文より引用)

山中俊治さんのブログで書かれていた記事をまとめた本。
Suicaの改札機のデザインは有名ですが、それ以外にも様々なプロダクトや、世に出ていないアイディア段階のものまで載っています。
ところどころに載っている美しいスケッチも必見な1冊です。

菅 俊一 『観察の練習』

さあ観察を練習しょう。そして世界に溢れている面白さに気づいていこう。それさえできれば、きっと前よりも少しだけ、生きることが楽しくなるはずだ。
(本文よ引用)

日常における「観察」という行為を記録した本。
日常の中にある違和感が写真とともに綴られています。たくさんの文字を読むのが苦手、という人も楽しく最後まで読めるはずです。
本のタイトルである「練習」という名に相応しく、観察の視点の手がかりを掴むことができる1冊です。

松田 行正 『ピーカブック たのしい知識』

本書の著名『PEEK-A-BOOK』は、英語の「Peek-a-boo(いないいないばあ)」の文末にただ「k」をつけただけです。「のぞく本」ですね。いわば「知識をのぞく」です。
(本文より引用)

たくさんの文字を読むのが苦手、という人も楽しく最後まで読める本Part2です。
古今東西の様々な知識を遊び心のあるグラフィックとともに紹介されています。雑多な知識の羅列のように見えますが、「これってこういうことだったんだ」という小さな発見がたくさん積み重なっていく感覚になります。

中身のグラフィックだけでなく、装丁も凝ったものになっており、ブックデザインとしても楽しめる1冊です。

『ふつうをつくる 暮らしのデザイナー 桑澤洋子の物語』

消費者は、新製品ーー新しい見かけのスタイルがどんどん変わることを望んでいるのではなく、ほんとうは性能が良くて、丈夫で、長く使いこなせるような、生活に密着したオーソドックスなものを望んでいるのではないでしょうか。
(本文より引用)

桑沢デザイン研究所や東京造形大学を創立した桑澤洋子さんの一生の活動を記した本です。
戦前戦後の荒波の中にいながらも、ファッションという観点から新しいライフスタイルを提案していき、最終的にはデザイン教育にまで発展していく桑澤洋子さんの考え方や視点は胸を打たれるものがありました。

COVID-19により大きく社会やライフスタイルが変わり、先行きが予測しづらくなっている今に読むからこそ、近しいものを感じ勇気づけられました。

冒頭にデザイナー自身が著者の本と言いつつ、この本だけは違いますが、お許しください。そして自分の振り返りnoteでも紹介したのに、また紹介するという…。
そんな何度も紹介したくなるくらい、色んな人に読んでほしい1冊です。

終わりに

読んでみたい本は見つかりましたでしょうか?

あわよくば、この中からみなさんの人生の刺激になるような1冊と出会ってもらえたら嬉しい限りです。


読んでいただきありがとうございます。Twitterは @tajima_kaho でやってます。