見出し画像

「はじめまして」で始まるチームづくりの落とし穴と、潜むパラドックス

そろそろ、冬も終わり春がやってくる。4月は異動や組織再編が多い季節だ。

「はじめまして!これから、よろしくお願いします!」

やる気に満ち、新しいチームでやっていこう。
期待に胸が膨らみ、一緒に仕事をする同僚と挨拶をする。
組織図でチームのメンバーや役割を確認し、ひと通りの挨拶、そして懇親会を済ませ、さあ一緒にコトを為すために議論をするぞ…!

そうなったときにこんなことはないだろうか?

「あれ、なんで今この議論をしてるんだろう?なんだか話しにくい・・・」

期待をしていたからこそ、早く成果を出したい、早く進めて手応えがほしい。
そんな感情に対して、追いつかない現状に焦りを感じ、パラドックスは加速していく。


はじめましてのマネージャー同士でコトを推進していくにあたっての落とし穴

かくいう、自分も半年前に組織の体制が変わった。チーム体制というより、マネジメント体制の再編によりステークホルダーも変わったため、改めて事業や組織の方針を示していく必要があった。

日々のMTG以外にも合宿というロングMTGも行い、3時間、4時間…と長い時間をかけて何度も議論していく。しかし、どうにも霞を掴むような議論になり、一向に全員の腹落ち感が出てこなかった。

リーダーシップも十分にあるマネージャー陣しかいないにもかかわらず、うまく議論ができなかったのである。
理解したい、一緒に議論して進めたい…。みんなそう思っているはずなのに、なんでこんなことになってしまうんだろうか。

そんなときに同僚が書いていた記事を思い出して、読み返したのである。

相手が見ているようにものを見る、あるいは自分が見ているようにものを見てもらう。これを同時に成り立たせることができれば、豊かな関係のなかで出来事が生まれ、よいものづくりが進む。そのような出来事の中にぼくはいたいし、そのような出来事をつくりたい。感情経験記憶思考嗜好が入り混じった相手の景色を見ると同時に、自分の景色を見てもらう。これがこの文章でいう「同じものを見る」ということだ。

「同じものを見るとは何か? ー子育て、アート教育から組織づくりまで」より引用


まさに、足りていないのは「同じものを見る」ということだと気づいた。

そして、バッドパターンとして書かれている「同じゴールは見ているが相手がなにを見ているかは見えていない」状態に陥っていたのである。

二人の間に仕切りがあったとしても、同じものを見ることはできる。
しかし、それでは相手がどのようにものを見ているかがわからない。
「同じものを見るとは何か? ー子育て、アート教育から組織づくりまで」より引用


相手が「何を見ているか」を知っていくことの重要性

原因がわかったら、あとはその壁を取り除くアクションに取り組んでいく。

早く方針を決めて、動き出したい気持ちはあるが、まずはそれぞれが抱いているやりたいことや大切にしたいことに目を向けて対話をしてみる。
対話をしてみると、想いがどんどん場に出てくる。そんな想いやエネルギーに刺激を受けて、また別の人の想いが溢れてくる。

「ああ、〇〇さんが、あのとき言っていた意見にはこんな想いがあったんだな」
対話の時間を経ることで、そんな気づきを得ることができたのである。

仕事を頼むときは「こだわり」をすり合わせる」 より引用

一見、意見が食い違っているように思えても実はその下にある感情とのパラドックスを本人も抱えていたり、意外と相手も自分と同じような悩みを持っていることに気づいたり…。
そうやって壁がどんどん透明になり、なくなっていく感覚になっていた。

やることが山積みな中で、一見すると贅沢な時間の使い方のように思える。
しかし、議論の時間以外にも、対話の時間を取ることで、意見の論理の下に眠る想いや感情も見えてくるのである。

そうやって、少しずつみんながお互いのことを見られると、発言の下にあるその人の抱く感情もなんとなく体感していくことができる。
すると、あんなに何時間も顔を合わせてMTGをして議論しても一向に進まなかったモノゴトが、Slackのテキストコミュニケーションで議論しただけで収束したり、不思議なくらい進むようになったのである。

マネージャー同士もひとつのチームである。
だからこそ、マネージャー間でのチーム作りの大切さというのを学んだ出来事であった。

わたしは、相手の景色が見えているだろうか?

MIMIGURIでよく飛び交っていることばで「相手の景色を知る」というのがある。わたしはこの言葉が好きだ。

個人の中にあるパラドックス、チームでのパラドックス…人間は簡単には説明できない感情や思考で溢れているからこそ、その前提に立って、まずは相手がどんなことを考え、なにを見ているのかを立体感を持って知る努力をする。

チームでうまく話し合いができない、コトが進められない。
そんなときこそ、できていない理由を上げるのではなく、まずはひと呼吸を置いて「相手の景色はいまどんな景色だろうか?」という問いに立ち返ることが必要なのである。


最後にお知らせ

MIMIGURIでは、2024年3月12日(火)の昼に、組織変革のパラドックスを乗り越える「新時代のリーダーシップ」無料ウェビナーを開催します。

企業経営や組織変革時における「新時代のリーダーシップ」や“矛盾”を乗りこなすための鍵を、『パラドックス思考』著者の2人がお伝えしていきます。

今回のnoteで書いたようなパラドックスを持っている方々にとって、解決へのヒントにもなると思います。
リアルタイムが難しい方もアーカイブ配信ありますのでぜひご参加ください!


読んでいただきありがとうございます。Twitterは @tajima_kaho でやってます。