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数馬酒造の「ものづくり方針」

数馬酒造の「ものづくり方針」

弊社では、2015年から季節雇用の杜氏制度を廃止し、当時27歳の若手社員を醸造責任者に据えた醸造体制に切り替えました。

その体制に切り替えて以降、毎年若手醸造社員を採用し続け、チームづくりを大事にしてきた結果、IWC(インターナショナル・ワイン・チャレンジ)2023においてカテゴリーの最高賞であるトロフィーを受賞することが出来ました。

ロンドンで開催されたIWCの授賞式

これは一重に、毎年着実に技術を向上させ、挑戦し、成長し続ける社員さんはじめパートナー農家やお取引先様、そして日々竹葉を飲んでくださるお客様のおかげでございます。

今回は「能登を醸す」を経営理念に掲げる弊社の「ものづくり方針」と取り組みについて記載しました。

能登を活かした持続可能なものづくり

世界農業遺産に認定される能登の美しい自然と文化を守るため、地域資源を活かしながら、ひずみのない循環を目指したものづくりで、豊かな能登を次世代へと繋ぎたいと考えております。

そのため、弊社が使用するお米は全て能登産。
そして、石川県が開発した品種を出来るだけ使用するようにしております。
今回の受賞酒の原材料は能登産「ゆめみづほ」という石川県の独自品種の飯米を使用しています。

また、「能登を活かした持続可能なものづくり」の実現のために下記のことを行っております。

100%能登産の原材料を使用

パートナー農家の水田

弊社では日本酒造りで使用する原材料は、すべて能登産米かつ契約栽培米です。
そのため、すべて生産者が明確なお米です。
こちらは当たり前のことを言っていると思われるかも知れませんが、お酒を仕込む際にすべてのお米が「どの農家さんのお米を仕入れているか」を把握されていない酒蔵、逆に農家さんが「どの酒蔵に自分のお米が供給されているか」を把握されていないケースは結構多かったりします。

加えて、弊社は1商品を単一農家さんのお米で仕込むため「どの農家さんのお米がどの商品になっているか」も把握できます。
そのため、商品が受賞すると農家さんから「その商品はウチのお米だよね」とご連絡を頂戴しますし、受賞が農家さんの社員さん達のモチベーションアップにも繋がっているとのことです。

そのため、お米についてのフィードバックやお互いの改善点などを農家さんと共有しながら、ものづくりを行うことができます。

例えば、メインパートナー農家であるゆめうらら様は、能登の土壌や気候を分析してお米の品種毎に能登の風土にあったオリジナルの肥料で弊社の原材料を栽培してくださっています。


水田作りからの酒造り

開墾中の耕作放棄地

2014年からパートナー農家である株式会社ゆめうらら様と一緒に、能登にある耕作放棄地を開墾して水田に戻すという活動を行っています。
2023年現時点で開墾した耕作放棄地は東京ドーム約6個分の面積になりました。

最初は2社での取り組みから始まりましたが、地域の大学生や弊社のお取引先様や飲食店様のご協力のもとここまで来ることができました。
この取り組みを見て、他の能登の地域でも耕作放棄地を活用した酒米づくりを行う団体も出てきたことは大変嬉しいことです。
そのお米も弊社で仕入れさせて頂き、その地域のオリジナル日本酒として販売させていただいております。


フードマイレージの削減

数馬酒造の自社精米所

弊社では前述した、100%能登産米使用かつ100%自社で精米を行っております。
能登で収穫された原材料をパートナー農家さんから直接仕入れるため、原材料調達時の輸送距離をできる限り短くし、輸送時の二酸化炭素の削減することでフードマイレージの削減に取り組んでおります。


再生可能エネルギーへの切り替え

製品を貯蔵する氷温冷蔵庫

酒蔵では、品質管理や衛星管理のため多くの電力を消費しています。
そのため、弊社では使用する電力を100%再生エネルギーに切り替えました。
酒造りは地元の豊かな自然にはぐくまれた米と水あってこそと考えておりますので、環境へ配慮した電力への切り替え踏み切りました。


持続可能な醸造体制の構築

こちらの取り組みに関しては、長くなりますので、詳しくは下記をご覧ください。
◾️数馬嘉一郎「note」
醸造環境の改善のために、これまで取り組んできたこと

◾️社内メディア「醸しコラム」
《社長レポート》私が進めた醸造現場の働き方改革①
《社長レポート》私が進めた醸造現場の働き方改革②

◾️醸造社員インタビュー記事「能登の人事部」
能登半島、未来を醸しだす酒蔵で働く【前編】
能登半島、未来を醸し出す酒蔵で働く【後編】


食の時を楽しむものづくり

お酒の「おいしさ」が伝わるのは「お客様の口に入った時」です。
四季を大切にする食事のきっかけや、安らぎのある食事の役者として
そのひとときに寄り添えるようなお酒でありたい。
そのため、数馬酒造のお酒の基幹酒質を「口当たりの良さ」と「キレイな味わい」と設定しています。

食と楽しむための基本酒質

数馬酒造の仕込み水

口当たりの良さ
こちらは弊社で使用している超軟水の仕込み水の特徴を活かすことで実現しています。
この仕込み水は、先代が酒質を向上させるべく探し回り、たどり着いた能登の山間から湧き出た水で、タンクローリーで汲み取り使用しています。

キレイな味わい
衛生管理を大事にし、オフフレーバーなどのマイナス要因が酒質に現れないようにコツコツした日々の改善の積み重ねで実現しています。
酒質が向上する可能性があることは積極的に試すことはもちろん、そのための土台として変化を前向きに捉えられるチームや社風があることが大切だと考えています。
常に昨年の自社の酒質を上回る酒質を心がけ、年々品質の向上を目指しております。


食材特化シリーズ

食材特化シリーズ

「食材特化シリーズ」は地域食材にフォーカスし、新しい挑戦心で醸した日本酒です。
2018年の「竹葉 能登牛純米(のとうしじゅんまい)」の発売を皮切りに、2019年「竹葉 いか純米」「竹葉 gibier(ジビエ)純米」、2020年に「Chikuha Oyster(チクハオイスター)」、2021年に「竹葉 とり純米」を発売し、シリーズは現在5種類になりました。

味わいのみならず、能登の生産者を取り巻く背景や地域課題を共有し、資源の循環やテロワールの考えを大切にした商品開発を行っています。

この「食材特化シリーズ」は数馬酒造の掲げる【「醸しのものづくり」で、能登の魅力を高める。】という使命に基づき、酒造りを通して地域食材の魅力を最大化するための商品です。これらのお酒を通じて、地域食材への関心を高め、味わい、楽しみ、能登へ想いを寄せてくださることを願っています。


ペアリング提案

醸しコラム

◾️社内メディア「醸しコラム」
醸しコラム内「食の時を楽しむ」というコーナーにて
日本酒とお料理のペアリングのご提案を行っております。


Fun Fan Chikuha!

◾️日本酒定期便サービス「Fun Fan Chikuha!
2020年から、毎月720ml:2本のお酒を季節や飲み頃に合わせてお届けするサービスを行っており、そこでもペアリング提案を行っています。
<サービス特徴>
・醸造責任者による醸造解説
・国際唎酒師による味わい解析
・能登や酒蔵にまつわるおまけ
・簡単マリアージュレシピ
・手に入りにくい季節限定酒や試験醸造酒などの限定酒もお届け


挑戦し続けるものづくり

伝統を敬いながらも、柔軟性と挑戦する心を大切にし、既成概念にとらわれないものづくりで、能登から社会へ新しい価値を提案します。
ひとりひとりの強みを活かす環境づくりで、生き生きとした地域企業のあり方を追求していきます。

責任醸造制度

お酒造りを行う蔵人

弊社には「責任醸造制度」という醸造社員が1人小タンク1本好きにお酒を仕込める制度がございます。
今回のIWC受賞酒もこの責任醸造制度から生まれた商品です。

N-project

N-project 第1期生が手がけた日本酒「Chikuha N」

2014年から石川県の大学生を中心に「若者が能登も農業も日本酒を盛り上げる!」をコンセプトに、大学生が同世代向けの日本酒を米づくりから行うプロジェクトを行っています。

地域や団体、異業種とのコラボ

能登島エリア限定酒「純米 能登島」

その他にも、特定の地域のお米で醸した地域限定酒に取り組んだり、過去には祭りの音を聴かせて熟成させたお酒や海底熟成酒など多くの方々と様々な切り口でコラボレーションをして商品を開発してきました。
1社では生み出せない付加価値を他社とのパートナーシップによって生み出す取り組みは、毎回多くの学びと気づきを与えてくれます。


新たな原料は、迷わず試験醸造

のとキリシマツツジは石川県の天然記念物に指定されています。(引用:能登町観光ガイド)

地域発祥の新しい原材料に出会った時は、必ず試験醸造を行うようにしています。
現在着手しているのは、のとキリシマツツジから採取した酵母による酒造り。これまでに、能登の海藻から採取した「Misaki酵母」を使用した商品も発売しており、IWC2020でリージョナルトロフィー(トロフィーの次席)やワイングラスでおいしい日本酒アワードにて最高金賞を受賞した実績があります。

ここでは書き入れないこともありますが、このように「ものづくり方針」に沿ったものづくりや取り組みを続けています。

最後までお読みいただき、誠に有難うございます!始めたばかりで、不慣れなことが多いですが「スキ」ボタンを押していただけると励みになります!