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浜松注染そめ 工場見学してきました

浜松は、東京や大阪と並ぶ、注染そめの産地。でも、新型コロナウイルスの影響でお祭りやイベントが中止になり、手ぬぐいやゆかたといった注染の注文が激減している状況です。

そんなとき、DORPの1人として市の担当者から、「注染とクリエイターでなにかできませんかね」と相談があり始まった注染プロジェクト。詳細は、こちらに書いています。

浜松界隈のクリエイターに声をかけ、まずは注染工場へリサーチしに行くことに。デザイナーやイラストレーターをはじめ、建築家、カメラマン、ビデオグラファー、編集者など、多彩な顔ぶれ。

僕は仕事で何回か注染工場を見せてもらっていたので、参加したみなさんが何に興味を持つのか見ていました。
http://kaigi.chu.jp/?p=2785

いざ、工場見学

最初に伺ったのは、二橋染工場さん。

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板場(糊置き)や紺屋(染色)といった作業工程はもちろん、あしもとにあるおがくずにも興味津々。干し場にゆらる洗ったばかりの生地を見て、「この風景がもっとみんなの目に触れれたらいいのにね」と。僕もそうと思います。

次に訪問したのが、武藤染工さん。

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何回かに分け染めることで、色を重ねられる染める細川を見学。生地を同じ長さで重ねていく作業を体験。捨てられた生地もきれい。

3社目は、和田染工さん。

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一般的な注染そめの横幅が1メートルほどなのに対し、絵羽ゆかた用は3メートル20センチもある! 絵羽ゆかたを注染で染めるのは、日本でもここだけだとか。手彫りした伊勢型紙も見せていただきました。

クリエイター視点で、何ができるのか

新しい染色方法を探ったり、これまでの染色技法を極めたりと、各社さまざまな取り組みをされていました。個人的に気になったフレーズが、「注染の魅力は、ゆるさにある」という言葉。

これって、活版印刷に似ているなと思いました。

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(出典)https://bit.ly/3dwawu9

今の活版印刷が受けているのは凹みや、かすれ。あと、厚紙や薄紙ならではの風合いも。でも、高齢の職人さんにとってはオフセット印刷のように、凹まさず、きれいに刷るのが腕の見せどころ。

だから、ガツンと凹ましてくださいというと、困った顔をされたり、怒る方も。高齢の活版職人さんに会うときには、凹んでいない名刺を渡したほうがいいという笑い話もあるほどです。

(補足)凹ませることで余分な力がかかり、活字や印刷機が傷んだりするのも職人さんが嫌がる理由の一つ。

活版印刷は廃れていく技術だけど、凹みやかすれといった手ざわり感がを面白がるデザイナーたちの手によって価値を見いだされ、ここ10年ほどですっかり定着した感があります。活版ワークショップもたびたび開催されるほど。

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活版印刷と似たような例をもう一つ挙げると、リソグラフ。かすれやズレ、色の重なりをあえて魅力ととらえ、オフセット印刷にはない印刷ができると世界中のアーティストに親しまれています。

レトロ印刷ジャムが古くから有名だし、ここ数年は、リソグラフを体験できるお店が増え、手軽にリソグラフを依頼することができる環境が整っています。

なんとなく、ここに注染を楽しむヒントがあるように思います。

個人で注染を依頼しようと思っても、現状ではさまざまな手間があります。ちょっと注染でてぬぐいでも作ってみようかなと思っても、まだまだ壁があります。

注染は意外と細い線も出せるし、ぼかしたり、重ねて染め足りすることができ、表現を楽しむことができる。使うほどに色があせるけれど、味と解釈することだってできる。

次回は、参加したクリエイターさんたちとミーティングをするので、どんなアイデアがでてくるか楽しみ。DORPのnoteでも、進捗をお知らせしていきますね。

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