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『アンチ・オイディプス』読了

5月と6月の読書記録。
サティの「ナマコの胎児」を聴く。

楽譜が読み物として面白いらしい。ピアノは弾けないけど、いつか買って読んでみたい。

『ゴッドドクター 徳田虎雄』山岡淳一郎

小学館、2020年に電子版を販売。
2017年『神になりたかった男』の加筆訂正。

周囲の人物へのインタビューからつくった、徳田虎雄の一代記小説。徳田虎雄は徳洲会病院グループを作った医師で、離島医療や治療費の一時負担など他にない施策を打ち出し国政進出も果たしたが、スキャンダルと病に倒れた波乱万丈の人物だ。

社会ライターの視点から医療、人と時代が書かれ、挿話も多くとても面白い。解説は阪大の仲野徹。

『農村医学からメディコ・ポリス構想へ 若月俊一の精神史』川上武

勁草書房、1988年。

「佐久病院史」よりも前、88年時点での川上武の佐久病院概論。若月の精神史について本人と近い距離の医事評論家がまとめた良書。

『アンチ・オイディプス 資本主義と分裂症』ジル・ドゥルーズ/フェリックス・ガタリ

1972年出版。2006年の宇野邦一訳を使用。

読書会で他の人びとに助けられながら、二年かけてやっと読了した。
ドゥルーズ『ザッヘル・マゾッホ紹介』に引き続き、二冊目のドゥルーズ。
二冊目のフランス現代思想だ。

ドゥルーズ+ガタリが、「欲望機械」「脱領土化」「分裂分析」などの新たな概念を創出しまくり、ウイスキーを飲みながら書いたというのも納得の凄絶な文体で使いこなしている。僕はロートレアモン伯爵の『マルドロールの歌』を思い出した。

一見身を持ち崩す破滅思想にも思えるが、実際は分裂と組織の間のバランスを謳っている。現実的にはバランスをとっていくしかないと言いながら、自由な欲望の流れ、無数の性を肯定している。勇気がもらえる本。

『ドゥルーズ+ガタリ〈アンチ・オイディプス〉入門講義』仲正昌樹

2018年、作品社。

読書会を進める上で大変お世話になった。入門書を片手に本を読むという体験を初めてしたし、その有用性もわかった。

仲正昌樹は東大原理研での活動経験がある点、時事的にも読みがいがある。

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