貝野やら

22年にIT外資をレイオフされたゲーム業界人(41歳 男性 無職) モラトリアム謳歌し…

貝野やら

22年にIT外資をレイオフされたゲーム業界人(41歳 男性 無職) モラトリアム謳歌していたがまさかの日系に転職。 とあるITエンターテインメントの会社で海外事業の立ち上げ中。 https://note.com/kaino_yara/n/n231142d3d572

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シン・かの国戦記 第1話「軍靴」

これはわたくしという40代の男が170カ国程度に展開する日本で一番大きい自動車企業と同じくらいの売上規模のIT外資企業で、担当のエンタメ事業が小さくなり、結果レイオフされクビになる全12話の物語だ。 主要な登場人物 わたくし --- 41歳の男性。BD(Business Development)。 職歴最強先輩--- BDの先輩。北米外資を中心に渡り歩く人。同じチーム。 越南の人 --- エンジニア。国籍取得し極東の島国の住人に。同じチーム。 上司 --- わたくし

    • 昨晩公開済み。シン・放浪戦記 第4話「黄泉」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n9bdf06c1e822

      • シン・放浪戦記 第4話「黄泉」

        戻橋 かれこれ1時間ほど景色を眺めていた。目の焦点は外界のどこに定めるべきかわからないまま彷徨った。空を見ても橋の下の石畳の中世の舗装路を見てもそれは変わらない。酔っているせいだろうか?これではいけない気がした。1点を凝視して黒目の眼球を小刻みに震わす。あたりの景色が余計ぼやけ、外界に向いていた意識を内省的し思考を集中させる。最初は秩序だった思考だったものが徐々に連想ゲームになり、そして解き放たれていった。 場面から場面へフェードインしてはフェードアウトしていく。親しかっ

        • 【市場分析】日本のモバイルゲームをUSへ輸出(海外展開)しないと死ぬよ?マジで。

          タイトルは煽ってしまったが、いろいろ調べ物をし終わっての第一声だ。ゲームを商売(市場や事業)として分析してみようというノリでご一読いただければ幸いだ。 前提 ふと気になって、世界のゲーム市場を俯瞰的にまとめることになった 無料で公開されている情報のみにソースは限定している 開発の現場にいたのは2012~2015年頃なのでちょっと開発費の総額見積は最新事情と合っているか不安 世界ゲーム市場やっぱ伸びていた。でも直近で成長が鈍化。 ファミ通ゲーム白書によると、2012

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        シン・かの国戦記 第1話「軍靴」

          シン・放浪戦記 第3話「空蝉」

          維納 長い泥酔のトンネルを抜け、目を覚まし、CAに水を所望する。ウィーンにつくとまずは少し両替して市内に向かう。ユーロはまだまだ目新しくこれが授業で習った統一通貨ってやつかとまじまじと眺めて財布にしまう。クレジットカードは持っておらず、そのため全身に現金を抱いての旅だ。睡眠薬強盗や温泉に入って全部盗まれたらその時点でこの旅はゲームオーバーだ。首から下げるパスポート入れに60万、帰りのチケット10万円相当、財布に10万円、ポケットに20万円。 ウィーンについたころはままなら

          シン・放浪戦記 第3話「空蝉」

          退職の果ての悠久の時というのは思い返せば、学生の時に原体験があるよねぇと思い直し、約20年前の出来事を書き始めました。 https://note.com/kaino_yara/n/n62b06ca92e51

          退職の果ての悠久の時というのは思い返せば、学生の時に原体験があるよねぇと思い直し、約20年前の出来事を書き始めました。 https://note.com/kaino_yara/n/n62b06ca92e51

          シン・放浪戦記 第2話「旅立」

          羅門 深夜特急の漂白の旅人というイメージにあてられたせいだろうか?それとも、ユーラシア大陸を横断するという響きにあこがれたせいだろうか?はたまた、直近で勤めていた企業が旅行関係だったせいだろうか? わたくしは10か月程度残った休学期間を旅することに決めた。 デジタルハリウッドという教育機関を卒業し、華やかさとIQの低さに満ち溢れ不快の源であった大学から距離を取り休学。学生兼業で働き始めた会社はスキルはあった自負はあったしそれなりに結果も残せたが、あまりに若すぎて退職。次

          シン・放浪戦記 第2話「旅立」

          シン・放浪戦記 第1話「退職」

          わたくしは学生だったが、サラリーマンでもあった。ミレニアムという聞きなれない単語が隆盛を極め、そしてすぐ廃れていった2000年代初頭。ITバブルといううさん臭さと拝金主義のハイブリッドの輝きは学生には抗しがたく魅力的で、特に、大学入学に浮かれて遊びまわる同級生に嫌気がさしている小生意気なガキにはその輝きは魔性のそれであった。デジタルハリウッドのウェブデザイナーコースを半年で卒業するとわたくしはウェブ制作会社のアルバイトだけにあきたらず、旅行会社(いわゆるtour operat

          シン・放浪戦記 第1話「退職」

          シリーズ完結の最終話。とりあえず、次に何を書こうか。 シン・かの国戦記 第12話「後日」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/nc6c715b63378

          シリーズ完結の最終話。とりあえず、次に何を書こうか。 シン・かの国戦記 第12話「後日」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/nc6c715b63378

          第12話を予約投稿完了。本日21時公開予定。 シン・かの国戦記 第11話「血戦」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n2c4cf405d2e2

          第12話を予約投稿完了。本日21時公開予定。 シン・かの国戦記 第11話「血戦」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n2c4cf405d2e2

          シン・かの国戦記 第12話「後日」

          事後 面談後、まずは上司が会議室から出ていった。残った人事担当者に適当に親身なアドバイスはしたが、言語の問題か、いや、おそらく聞いていないだろう。事ここに及んでも善人面する様は我ながら滑稽だ。 彼を会議室に残してドアを閉める。すると後ろから同期通訳がスッとついてきた。 「寂しくなりますね。」と言われたので、 「ご飯でも今度しましょう。」と笑顔を返しておいた。 結果はどうあれサインした以上わたくしは次の会社を見つけなければならない。とはいえ、最後にわたくしはなんで妥協し

          シン・かの国戦記 第12話「後日」

          シン・かの国戦記 第11話「血戦」

          水曜日。会議室に入ると人事担当者と通訳がいた。 ”またのらりくらりとやって引き延ばすか”と思いながら相手から条件が書いてある紙が出てくるのを待つと自分の中で方針を決めた。が、同時に他の就職先も好調だったので条件が良ければサインもありかなと思うほどには余裕があった。後から考えるとこれがよくなかった。 とはいえ、まずは引き延ばすために変な条件だったら、判例主義について講義をぶって時間を浪費するつもりではいた。長引けば長引くほどわたくしに有利になることは間違いない。交渉が長引い

          シン・かの国戦記 第11話「血戦」

          第11話を予約投稿完了。本日21時公開予定。 シン・かの国戦記 第10話「前夜」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n66f13da1fd37

          第11話を予約投稿完了。本日21時公開予定。 シン・かの国戦記 第10話「前夜」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n66f13da1fd37

          シン・かの国戦記 第10話「前夜」

          本土 少し元同僚たちの話を続ける。もちろん無許可である。後日クレームがきたら謝罪の代名詞である鈍器になりうるとらやの羊羹で相手の頭部を殴って忘れてもらうしかない。1個50gの羊羹が96個入りだと3万円程度なので無職のわたくしが購入するのは勇気がいるが、重量4.8kgなので軽度の記憶喪失を誘発するには十分といえる。 本土からの出向組は上司も含め一定数チームにいた。最後に世話になったのは本社との交渉役としてパートナーに必要なリソースを集めてきたり、交渉して勝ち取ってくる職種の

          シン・かの国戦記 第10話「前夜」

          第10話を予約投稿完了。 シン・かの国戦記 第9話「越南」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n11484d5b8ae4

          第10話を予約投稿完了。 シン・かの国戦記 第9話「越南」|貝野やら @KainoYara #note https://note.com/kaino_yara/n/n11484d5b8ae4

          シン・かの国戦記 第9話「越南」

          前述のように社内はなかなか国際色豊かだった。日系メーカー黄金期に北米ビジネスを経験したベテラン日本人の次にふさわしいのは、彼かもしれない。 いつもランチを一緒に食べていたのはベトナム出身のエンジニアだった。化学で飛び級になった特待生で、アニメとサッカー好きがこうじて来日。日本国籍を取得する際にはサッカー日本代表の著名選手の苗字にしていたのは純朴な彼らしかった。母語であるベトナム語は無論、仕事は日本語と英語でしていたが、エンジニアなので書いているのは機械語だった。ゆえに"自分

          シン・かの国戦記 第9話「越南」