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儚くも情熱的な人生交錯 『LA LA LAND』の芸術家ロマンチシズム

私はミュージカルと称される作品が少し苦手だ。
『メロディー』ではなく『台詞』という言葉の中に
ほとばしる演者の魂みたいなものが、
口から魔煙のごとく溢れ出る感じが好きなのです。

だが最近、先入観や思い込みで損しているかもしれない∙∙∙
と思うようになり、
評価が高かったものや、推しや友人が進めている作品は見るように心がけている。

で、今回観たのは、私が苦手だったミュージカル作品
「LA LA LAND」

結果。
私にとっては、思ってた100倍素晴らしい作品で、
出会って良かったと思える作品になった。

ただ、この作品に関しては、観る人のこれまでの人生の歩みや価値観、
周りの交友関係などで随分と印象が変わる作品だろうなぁ。。と思う。

あと、前以って、絶対に触れておきたいのが
「LA LA LAND」という言葉の意味というか、使われ方。
「LA」は、夢が溢れるハリウッド、ロサンゼルスという意味もあるのだが、
「現実離れしてる状態」や「夢の国〜夢の世界」などの意味もあり、
例えば「She must be in la-la land 〜彼女、自分の世界に入っちゃってるよ」と
空想や妄想でボ〜ッとしている人に向かって使う言葉だそう。

売れない女優であるミア(エマ・ストーン)と、
こだわりが強すぎるがゆえ、うまく立ち回れないジャズピアニストのセバスチャン(ライアン・ゴズリング)。
この2人の出会いからの半生が描かれた、ラブストーリー。

これだけ見れば、とても単純明解な王道のストーリーのようだけど、
驚くことに、2人のサクセスストーリーが、感動的に描かれるでもなく、
激しく燃え上がるような、激情の恋愛物語でもなく、
ただ、そこに<夢を持つ男と女の葛藤と愛とロマンチシズム>が、
折に触れてそれぞれのシーンが、切り取ったスクラップのように
美しく描かれているかのようだった。

現実と夢、生活と夢、お金と夢、愛と夢。
それは、理想と現実、信念と自信、そして運に翻弄される物である。
夢を持つ人、夢を持っていた人なら、
切なくも楽しく共感するシーンや台詞や曲が、
必ずどこかに散らばってあり、ぎゅぅっと心が揺さぶられると思う。

『成功』というのは、どういうことなのか。
『夢を叶える』というのは、どういうことなのか。
『幸せになる』というのは、どういうことなのか。
残酷で、儚く切ないが、心の奥底が熱くなる人生ストーリー。

だから、結末は勿論、
約2時間のストーリーの中の全ては、観ている人の人生観や経験によって
感想や評価も全く違うと思う。
ラストのシーンからの感想は、本当に十人十色の意見があると思います。

あと、この作品はミュージカルだという通念だと思うが、
そこまで本格的なミュージカル感も無いので、
通の人にとれば物足りなく、圧巻でもないだろうし、
私のような初心者にとれば、観やすく違和感もなかった。
なので、主役の2人が心のまま流れるように歌い出しステップを踏む様は、
ミュージカルという概念より、音楽映画 的なカテゴリーかなぁ。

夢を叶えれた人も、叶えれなかった人も、追いかけている真っ最中の人も、
是非、観てみて、ラストの甘美な『LA LA LAND』の世界に何を思うか。
そして本当のラストカットに何を思うか。
感じてみてほしいです。

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