見出し画像

なぜデザイナーの給料は安いのか?独自のフレームワークで考えてみた

残業して頑張っているあなたへ。

夜中、時計がてっぺんを超えたあたり。一人きりのオフィスでクライアントから来た赤入れを見ながら、今夜も終電で帰れないことを悟る。これで何日目だろうか。

なんとはなしに給料を時給換算してみる。また今月も時給1000円を切ってしまいそうだ。

目前に迫る30歳。大学の同期は結婚して、家や車を買ったやつもいる。中途で未経験からデザイナーになれたのはいいけど、給料はいつまで経っても上がらない。結婚なんて夢のまた夢だ。

夜が来るたびに、不安で押しつぶされそうになる・・・。


というのが29歳の頃の僕です。


37歳の現在は、運良くデザインチームのマネジャーとして、何とかかんとか生きることをお許し頂いております。

なんでこんなことを思い出したのかというと、20代半ばにして既にデザイナーとしてのTwitterでの影響力がすごいことになっている「せんざきさん」のツイートがきっかけでした。

つい夜中のテンションで持論を展開してみたんですが、朝起きて考えてみたら自分の発言に対してなんかしっくり来なくて。

ちなみに2年ほど前、ブログでも「デザイナーの給料はなぜ安いのか?給料を上げる3つの方法」という記事を書いていまして、そちらでは『好きな仕事だから安くてもやる人が多いのでは』とあります。

しかし、「好きな仕事」だからといっては給料が安くていい理由にはなりません。考えが浅いぜ、2年前の自分。

今改めて考えると、おそらく理由は一つではありませんし、置かれている環境によっても変わるので一概に「これ!」と断定できません。

なので、仮説を立ててみましょう。

アートボード-1-のコピー-4

『なぜデザイナーの平均給与は全職種平均よりも50万円以上低いのか』というイシューに対して【自分】【会社】【外部環境】というフレームワークを使って考えてみます。

【外部環境】需要と供給のバランスが崩れている

十数年前に比べると、参入障壁はかなり低くなったと思います。一般大卒で中途未経験でデザイナーに、という例は枚挙に暇がありません。特にWeb・UIデザイナーはここ数年で急激に数を増やしたと思います。

その結果、デザイナーひとりひとりの価値が相対的に下がっているのではないでしょうか。供給過多。

例えるなら、毎年イカの漁獲量が増え続けるみたいなものです。流通量が増えればイカの市場価格は下がりますよね。一杯100円でイカが食べられるようになった消費者は、同じクオリティのイカを一杯400円では買いません。

イカと違うのは、デザイナーは成長をするというところです。ただ一杯100円の初値をつけた以上、最初の給料から大幅に変動することはあまりないでしょう。あるとすれば、イカが逃げそうになった時です。

上司「えっ?転職考えてるって?そうか〜残念だな〜。来期から年収+100万の評価を考えていただんだけどねぇ〜」

イカ「人間キタナイ・・・グヌヌ」

【外部環境】【会社】経営層やクライアントがデザインの重要性や価値を理解していない

先日、グッドパッチさんがデザインファームとしては相当珍しいマザーズ上場という快挙を成し遂げました。

制作会社が資金調達したり、上場したりって一昔前だったら考えられないことです。本当すごい。

ただ、グッドパッチさんのような例はまだまだ稀。

デザインの重要性はなんとなく理解はしていても、デザインを見る目が養われていなかったり、本質的な部分が理解されていなかったり。または外部パートナーというよりも、業者として制作会社のデザイナーを見ていたり。それが結果的に低賃金を招いているのかもしれません。

【会社】会社への貢献度が可視化されにくい

Twitter上でも言っていますが、デザイン制作というのはKPIを測りづらいものです。すると、企業としては「このデザインで、いったいどれくらい会社に利益がもたらされたんだろう・・・」と考え、つい値切ろうとか、安く仕上げてくれるところに依頼しがち。

我々のようにダイレクトマーケティング業界でレスポンス広告だったりグッドパッチさんのようにUIであればKPIはある程度測れるんですが、ブランディング広告とかだと難しいのかもしれません。

結果、デザインの価値が経営層に理解されず、給料が低いまま、ということに。

【外部環境】競合が強い

例えば制作会社によって、それぞれの強みがあります。ブランディングが得意とか、紙ものが強いとか、化粧品・健康食品専門とか。唯一無二の強み、というのはなかなか無いので、同ジャンルの競合がおそらくいるはずです。

その競合が、仮に自分の会社よりクオリティが高ければどうなりますか?しかも単価も安かったら?

仕事が減る→安い価格で受けざるを得なくなる→売上が減る→人件費上げられない

となるのが想像できますね。

【自分】デザインは上手いけど交渉力が低い

制作会社の社員でも、インハウスデザイナーでも、フリーランスでも、自分の価値を相手に伝える作業は大事です。

ニューギニア周辺に住む鳥、ニワシドリはメスへの求愛行動として大きな巣を作ります。

この巣の出来映えで、つがいとなるかどうかが決まるのですが、どんなにステキな巣を作っても見てもらえなければ何の価値もありません。なので、ニワシドリのオスは一生懸命鳴いてメスを呼びます。そこは泥臭い(笑)

仕事も同じように相手に価値を伝えた上で、交渉することが必要です。つまり、「今期これこれやって、こんな結果でした。会社の目標に対してこれだけやったので来期から給料◯万円上げてください」と言えればいいです。

が、なかなかそれが難しい。KPIが可視化しにくかったりするとなおさら。特にデザイナーという職種的に、そういうのが得意じゃない人が多い印象。

【自分】そもそも会社が求める期待値に達していない

「これくらいできたらアシスタントデザイナーからデザイナー」

「ここまでできたらアートディレクター」

というように、会社によってそれぞれ役職とスキルと給与の基準があると思います。

会社が求める期待値がどこに達すれば、給料がどれくらい上がるのか。はたまた年次が上の社員を見る限り上がらないのか。明確に決まってないのか。自分はどんな評価を受けているのか。

というのを確認してみると、色々なことがわかるかもしれません。

終わりに。みんな満足のいく給料がもらえますように

今日伝えたかったことは、「問題の原因は多分一つだけじゃないし、人によっても変わってくるから、そこをクリアにしてから対策しようぜ!あと、めっちゃ応援してるよ」ってことです。

ここで出した仮説以外にも、他の可能性は全然あると思うし、仮説を立てて検証してみると解決の糸口が見つかるかもしれません。

冒頭の通り、僕が20代の時はだいたいダークサイドにいました。ダークサイドに落ちかけてる人や、落ちてしまった人が一刻も早くフォースの力に目覚めることを願ってやみません。

このnoteが、給料問題に悩むデザイナーさんの解決の糸口になれば幸いです。それではまた。

書籍やレビュー商品の購入に使わせていただきます!