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フリーランスのWebサイト制作受注単価

フリーランスとして、企業WebサイトやECサイトの制作を受注する際、どのような金額設定で請け負うべきなのでしょうか?

非常に密接なお付き合いのある企業から、「かじくんならウチに相談が来る制作案件そのまま振るよー」というめちゃめちゃありがたいお話を頂いたので、改めて「Webサイト制作を受注するにあたり、どれくらいの見積もり・単価が適切なのか?」ということを考えてみることにしました。

見積もりに悩んでいるフリーランス・個人事業主の方のお力になれれば幸いです。


ざっくりとしたWebサイト制作のお見積り

一つ例として、「新しく通販サイトを立ち上げたい」という依頼を頂いた時の見積もりを作ってみます。

企画・ディレクションも全部一括で担当するとした場合、基本的には下記の工程が発生します。

【ECサイトを制作する場合の基本工程】
1.企画:要求定義、要件定義
2.設計:Webサイト全体の構成図、ページワイヤーフレームなど
3.ライティング:各ページの細かな文章まで作っていく
4.デザイン:ページ構成案をもとに、PC/スマホのデザインを作る
5.コーディング:全体構成図やデザインをもとに、実際にサイトを作り上げていく
6.テスト:サイトテスト、商品購入テストなど

※他にも「商品登録」「商品撮影」「画像レタッチ」など、追加工程が発生する場合もあります。

サイト規模によって工数は変わってきますが、「ページパターン数が10ページ程度」「特殊なコーディングを行う必要がない」場合は、大体20~30人日くらいでしょうか。

仮に完成までに20人日(20日×8時間)かかり、人日単価を5万円とした場合、単純計算で制作費用は100万円ですね。

さらに「制作進行費用」として合計金額に10%~20%上乗せするパターンもあるので、10%を上乗せして110万円
これがこの通販サイト制作の受注単価と仮定します。

(わたしは本来人日10万円なので、20人日だと200万円×110%で220万円です)


さて、この110万円ですが、自分がクライアントと直接交渉している場合はこの金額で進めていけるものの、間に紹介者(企業)が入っている場合は、何%かのマージンが発生します。

ここでは仮に、案件を紹介してくれたA社が20%のマージンを貰うとしましょう。

この場合、A社の取り分は110万円×20%=22万円、フリーランス側の取り分は残りの88万円となります。


A社は紹介と契約周りの業務を担当してもらうとしても、企画からサイト制作・テストまで含め、約1ヶ月間で88万円

クライアントによっては厄介な進行になることもしばしばあるので、制作進行が難航する可能性もあります。


そう考えた時、この88万円という金額が「割に合わない」と感じるか、「十分割に合う」と感じるかで、自分の単価を決めてしまっていいと思います。


ただし、「自分一人で全ての工程がこなせる」という人は稀だと思いますし、大抵そういう人は別件で悩殺されたりしているので、デザインはデザイナーにコーディングはコーダーにお願いするケースも勿論あります。

デザイナーの工数が5人日、コーダーの工数も5人日とした場合、

・デザイナー:88万円×(5人日/20人日)=22万円
・コーダー:88万円×(5人日/20人日)=22万円
→残り金額:44万円

という感じの取り分になります。
※デザイナー・コーダーの単価はちょっと安い場合もあります

さて、1日の単価5万円・20人日という見積もりにして、デザイナー・コーダーと組む場合は、1件あたりの自分の取り分は44万円となるわけですね。


ここまで計算していくと、わたしははっきり言って「作業量と内容に対して、金額が釣り合わない」と思います。

そのため、「単価を上げる」か、「見積もりの工数を少し甘くする」かのどちらかで見積もりを調整する必要があります。

わたしが1日単価を10万円としているのも、上記工程で自分の取り分が88万円になるならまぁまぁかな、と判断しているからです。


ただし、「ページパターン数が10ページ程度」「特殊なコーディングを行う必要がない」程度のWebサイトの場合、感覚値としては100万円~200万円くらいが相場だと踏んでいますので、あまり釣り上げないよう注意しましょう。


悲しいことに、世のフリーランス案件はもっと安い

さて、ここまで長々と「自分がWebサイト制作を請け負うのならどれくらいの金額感なのか」を書いてきたわけですが、残念ながらフリーランスがこの金額感で受注できるのは難しいです。

・クライアントや紹介会社から信頼されている場合
・業界における自分の知名度が高かったり、実績が十分だったりする場合

この2パターンでないと、もっともっと安くしないと受注できないわけですね。



「Web制作を学んで場所に囚われず生きて行きたい!」という方も見かけますが、創意工夫を施さないと相当厳しいと思います。

(毎月新しいクライアントを見つけ、一からコミュニケーションを図り、納品したらまた次のクライアントへ…という仕事の仕方は、正直辛いと思います)

ただ、手が無いわけではないです。

そのやり方で考えつくものを、これから記載していきます。


Web制作初心者が、どうやって割に合う仕事を作っていくか

1.企業案件で信頼を勝ち得て、その企業の制作案件を継続的に振ってもらう。もしくは紹介してもらう

一番オーソドックスなスタイルですね。

企業案件を受注した時に、1回きり・単発で仕事が終わってしまうと、次の仕事を得るためにまた新しいクライアントを探す必要があります。
新しいクライアントとは関係性を1から構築する必要があるのですが、関係性の構築にも結構時間がかかるので、延々と繰り返してしまうと負担が大きいです。

オススメなのは、1つの会社にじっくり関わって信頼を勝ち取り、継続して案件を受注してもらったり、その会社から別の会社を紹介してもらう、というやり方です。

フリーランスとしては深い関わりがある企業が1社でもあると、経済的にも精神衛生上も楽になります。

このやり方の前提として、深い関わりを築く企業は「良い企業」である必要があります。
「悪い企業」と無理にお付き合いしてもしんどいですし、何かが破綻する可能性もあります。

「良い企業」と一言で言っても、人によって定義が分かれると思いますので、あくまでわたしが「良い企業」だと思える会社の特徴を参考程度に記載します。

・契約周りがきっちりしている
・無理難題をふっかけてこない
・担当者のITリテラシーが相応にある
・余裕を持ったスケジュール設定をしてくれる
・約束を反故しない
・単純に担当者や関係者の人柄が良い
・財務的に健全

こんなところでしょうか。

こういった「良い企業」を見つけるのは、やはり人に紹介してもらったりするのが一番確率が高いのですが、
今まったくコネがないという方は「良い企業」を引き当てるまで単発案件を繰り返す「企業ガチャ」をする必要があります。

これはこれで意味はあるので、全くコネが無い方は、ランサーズやクラウドワークス・ココナラなどで低単価案件の受注を頂きつつ、「良い企業」に当たるまで案件を繰り返し続けてみましょう(というか、それ以外にあまり有効な手がない)。

正直運に頼るところが大きいですが、自分の実力がそれ相応に高まっていけば、いずれは「良い企業」に目をかけてもらえることは間違いないと思います。

そのために実績を作り、自分の勝ちを高めるための自己PRや情報発信をしっかりやっていきましょう。

2.高単価の仕事を持っている人と組んで仕事をする

こちらはより手っ取り早い方法ですね。

「自分でクライアントを探してきて契約する」のではなく、「すでにクライアントから仕事をもらっていて、忙しい人を手伝う」というやり方です。

全く何のコネもない人の場合は結構厳しいのですが、周りに制作案件を抱えている人がいたら、「なにか手伝えませんか?」と声をかけてみましょう。

もしかしたら「じゃあお願いしようかな…」と、制作案件がスタートするかもしれません。

ですが、あなたの実力によっては、いきなりお金になる仕事を任せてもらえるとは限りません。

すでにデザインやコーディングなどが出来る人の場合は、最初から制作案件を一部任せてもらえるかもしれません。

しかし、「Web制作を始めたばかりです」「デザイン勉強中です」というスキルレベルの場合だと、いきなりお金が絡む仕事を任せるのはリスクが大きいんです。

そのため、まだまだ制作スキルに自信がないという方は、自分から「タダでもいいので、なにか手伝えないでしょうか?」「スキルを伸ばしていきたいので、お金はいりません」という提案をしてみましょう。

人によっては簡単な仕事を任せてもらえるかもしれません。

そうしてお金にならない仕事を経てスキルを積み重ね、信頼を勝ち取ることが出来れば、どんどん高単価の仕事も任せてもらえるようになるでしょう。

また、ちょっと手伝ってみて、「この人とは合わないな」「なんかヤバそうだな」と思ったら、1つの案件が終わった後に即時撤退した方がいいです。

撤退の仕方は気をつける必要がありますが、こちらも無料で手伝っている状態なので、比較的関係性は終了させやすいです。

この2つ目のやり方の場合は、「この人とは組めるな」と思える方と組むのが一番重要ですね。

3.自分の実績をしっかりPRし、インバウンド提案をもらう

これは1と2に比べて確実性は低いのですが、自分の実績をしっかりとPRすることで、「企業側から仕事の相談を受ける」というやり方も存在します。

かなりのスキルレベルと実績・自己ブランディング力が必要ですが、向こうから仕事の話が来るというのは最高です。
こちらが断ることも出来るわけですし、金額や条件も交渉しやすいからですね。

こういったことが出来るようになるには、自分のホームページやnote、Twitterなどでの情報発信をしっかりと行い、クライアントが「この人に任せてみようかな」と思えるような状態に自分のブランドを仕上げておきましょう。

制作とは関係ないのですが、例えばInstagramであれば企業側からオファーが来るのは「フォロワーが10,000人以上」の人が対象になっています。
そのため、Instagramでインフルエンサーとして活躍したい人は、とにかくフォロワー10,000人を目指すわけですね。

制作系のお仕事の場合でも、「この人になら仕事をお願いしたい」と思える基準が各社必ずあるはずなので、自分をブランディングしていきましょう。

以上です。
今回は、「Web制作案件の受注単価」「そこそこ高単価の企業案件を受注するには」ということについて書かせて頂きました。

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