NO IMPACT MAN~地球に負荷を与えない人とは?
「自分の価値観で生きたい」
そうインタヴューに答えるコリン・ビーヴァン氏は作家であり、
「NO IMPACT MAN」とも呼ばれる。
「地球に負荷を与えない男」
つまり「地球にやさしい男」である。
1年間、NYという都会に住みながら、環境を汚さない生活を送るという家族のドキュメンタリー映画「地球にやさしい生活」
田舎に引っ越し、スローライフを送る人は多いが、大都会の真ん中で「地球にやさしい生活」にチャレンジする、というところがおもしろい。
地球にやさしい生活、私にもできるかな・・・?
電球をLEDにしたり、エコバッグを使ったりとか、まず自分ができることから、ということではない。
彼らは実に徹底していた。
などなど。
海の汚染、空気の汚染、土壌の汚染、それらが地球に影響するものは生活から排除していこうというもの。
全てを試してみなければ、何が必要で何が不必要なのかは分からない。
消費がどのような影響を与えるのか、いわゆる人体実験である。
そのうち、トイレットペーパー、電気のない生活へ移行していく。
想像してみると、確かに地球には負荷はかからないかもしれないけれど、自分には負荷がかかりそう。
とはいえ、夫婦はエコロジストでもなく、
奥さんのミシェルさんは、ブランド志向で、洋服やバッグなど新しいものを自分のご褒美として買う。コーヒー中毒で料理は作ったことがなく、テイクアウトで済ます。
ビジネスウィークで働く記者であり、キャリアウーマン。
忙しい人はこういう生活を送っているだろうと思われる。毎日の生活は仕事と子育てに追われ、ストレスを買い物で発散し、インスタントな食生活で済ます。
地球の環境問題なんて、今まで考えたこともなかったと彼女は言う。
しかし、コリンさんが新しいチャレンジをしてみようという事に関して彼女はとても嬉しく思った、と賛成した。
糖尿病前症状が出ていたミシェルさんは、この機会に生活を改めようとワクワクしていた。
一体どんな生活なんだろう。
世界のメディアからの出演や取材のオファーも増えた。
けれども有名になればなるほどアンチも増える。
メディアでも彼らを変人扱いする人も多かった。
エコを推進する環境保全家達さえも、彼らを批判した。
新しいチャレンジをすれば、注目されればされるほど批評する人や批判する人は誰かしら出てくるのはなぜだろう。
ふと子供の頃アメリカに住んでいた時に、母が私に言ったことを思い出した。
「アメリカでは、ものがたくさんあって、どんどん新しいものを買って使ったら捨てる、そのサイクルが、富の象徴なんだよ」
当時は母がなぜそんなことを言ったのか分からなかったが、日本のように「もったいない」という概念がない、ということだったのだろう。
使い捨てが当たり前の時代では、今のようにサスティナブルな活動はなかなか理解されなかったのかもしれない。
コリン氏は批判や問題と常に向き合い、批判するひとも含めいろんな人の話を聞いた。
そして非難する人々を批判で返すことはなく、それらを受け止めた。
彼らのスタンスは、
問題に直面した時には逃げない。
しかし戦わない。
話し合い、対話で
相手を理解しながら模索することを続けた。
それはなぜか?
私は思った。
なぜなら、何か自分がうまくいかないことがあったとしてもそれは必ずしも間違いということでもないからだ。
妥協点を見つけるのではなく、必ず解決するところがあると信じているからだと思った。
この活動を反対する大人たちに反して、子どもたちがどうしたら地球にとってより良いやさしい生活になるのか、コリン氏に真剣に聞いている姿が印象的だった。
コリン氏はこの1年のチャレンジを終えた後も、ブログや講演会などを通して、今もコーチングやコンサルタントとして活動をしている。
このチャレンジで彼らが得たものは、家族との絆でもあり、人とのつながりだった。
まずはたとえ隣にいる人と知り合いでなくても、自分が息を吐けば、誰かがその空気を吸う。
つながりを感じていなくても、世界の人々にはつながりが必ずある。
彼らは地球にやさしい生活を過ごし、地球環境に負荷を与えない、という利他の思いから、本来の、人として生きていくことのすばらしさ、人生の目的を見出した。
そして世界の本質を見抜いた。
人は幸せになるために生きている
と思っているが、
実は
人は幸せを表現するために生きている。
それはいかなる困難と思われる事も、目の前に起こる全ての事は、幸せを表現するチャンスである、ということでもある。
つづく
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