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タイの「売春合法化」運動

私がよく見ているYouTube「ピムとタイ語」チャンネルで、タイの若者を中心とした「売春合法化」運動を取り上げていて、興味をひかれた。

タイの若者がセックスワークに対してどう思っているか(「ピムとタイ語」1月5日)


タイのバンコクやパタヤで売買春がおこなわれているのは公然の秘密というか事実で、かつて日本からパッポン通りのゴーゴーバーに行く男の動機の大半は、店の女性を連れ出しての買春であっただろう。

たぶん今もそれはあまり変わっていないと思う。

タイでも売買春は違法であるが、取り締まられることはほとんどない。タイ政府の公式見解では「観光地で売買春は存在しない」ことになっているそうだ。

そうした欺瞞に反発し、2018年頃から若者たちの間で、セックスワークを合法化しようという動きがあり、ピムさんも賛成だと言う。

「タイの若者は、この仕事があることを政府に受け入れてほしいと思っています。この仕事はタイにたくさんのお金を生み出し、この仕事が合法になり、税金をとれば、もっと健全になると思っています。働く人に安全と福祉、さまざまな薬物を使用する前に、予防することができればいいなと思っています。」


日本でもAV出演被害などセックスワークの問題が改めて取り上げられているが、「取り締まる」「非合法化する」ばかりでいいのかどうか。大麻の問題も含めて、考えさせられる。

私は日本でも、タイを含めた外国でも、買春をしたことはないが、ポルノは見るし、好きなAV女優もいる。

社会に実在するセックスワークと、自分の倫理観との折り合いは、各自でつけるべきものだが、社会・政治の問題としてどう考えるべきかについては、まだ私自身に定見がない。


タイもそうだろうが、日本で売春が非合法化されるまでには長い歴史があった。

いわゆる廃娼運動は、貧民の救済や、反戦運動とも重なって、日本の社会主義運動の重要な柱の1つだった。日清・日露で儲けた成金たちが、貧しい農家から売られてきた娘たちを抱く光景こそ、初期社会主義者たちの憤怒を呼び起こした。

しかし、そのイメージが強すぎて、現在のセックスワークへの現実的思考が妨げられているかもしれない。


ピムさんが言うように、ザル法であっても売春防止法に意味があるのは、人身売買への歯止めになるからだろう。合法化といっても、どこまで許すか、そのニュアンスも重要になる。

いずれにせよ、タイの若者たちと同様、日本の若者たちは、より現実的な考えから、非合法化とはちがう方策を編み出すかもしれないと思う。

一部のフェミニズムの人とか、あるいは反フェミニズムの人とかの声だけを突出させるのではなく、社会全体での冷静な議論が必要だと思う。


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