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能楽鑑賞教室(2023年6月)

 2023年6月23日(土)、国立能楽堂で能楽鑑賞教室に参加してきました。今年度は6月20日(火)〜23日(土)での開催で、各日午前と午後2回の実施でした。
 はじめに、解説:能楽の楽しみが入り、上演演目は、狂言が『伯母ヶ酒』、能は『羽衣』でした。

 以下、メモを残しますが、今回は個人的に反省する点も多かったです。解説と狂言の時間に結構眠ってしまい、本来記事を書く立場に無いような気もするのですが、能では新しく目が向いた点もあり記事を残そうと思います。(私の)能楽の理解は一進一退です。

■解説:能楽の楽しみ
 配布された手引きによると、(私が参加した回の)解説は金春流の能楽師である本田布由樹さんでした。
 能楽堂や能楽の歴史、今回の演目についてなどの解説がありました。豊臣秀吉公の話で、能『この花』の話が出て、どんな物語なのかなと思いました。あと、狂言で女性役に用いるかぶりものを「美男鬘(びなんかずら)」というのだな、と知りました。

■狂言:『伯母ヶ酒』

酒屋を営む伯母はけちで甥にさえ酒を飲ませてくれません。何とかして酒を飲もうと、甥は鬼になりすまして伯母に脅しをかけますが…。

国立能楽堂のHPより

 シテ/甥を井上松次郎さん、アド/伯母を今枝郁雄さんが演じられていました(手引きより)。
 お酒にかかわる狂言で、中高生も参加する鑑賞教室では少し意外な感じもしましたが、面白かったです。手引きによると、甥が鬼に化ける面は、「武悪」と呼ばれる狂言面だそうです。
 狂言は、能以上にシンプルな作りで笑いを追求しているように思います。(お笑いが少し苦手な)私はあまり見どころや本質を掴めていない部分があるので、一度時間があるときに、本や資料を読んでみたいです。眠ってしまうのではなく、もう少し上演舞台と空間の共有が出来たらな、と思います。

■能:『羽衣』
(1)簡単なあらすじ

漁師・白龍は三保の松原で天女の羽衣を見つけます。舞を見せれば羽衣を返すという白龍の言葉に、天女は清らかな舞を舞います。富士の高嶺を背景に天上世界が再現される、屈指の名作です。

国立能楽堂のHPより

 天女の羽衣伝説は日本全国にあるようです。私が子どもの頃に、読んだり聞いたりして覚えている話は以下のような内容でした。
 「天女たちが水浴びをしている。覗き見していた男が、天女たちの一人の羽衣を隠してしまう。天に帰れなくなった天女は、男と結婚し、子どもをもうける。数年後、天女は羽衣を見つけ、男(夫)と子どもを残し、天に帰ってしまう。」

 Wikipediaの羽衣伝説( → リンク )によると、大きく近江型(昇天型)と丹後型(難題型)の2つが挙げられ、パターンも色々のようです。

 能の『羽衣』は、男との間に子どもを残す訳ではなく、天女が舞を見せることと交換に、羽衣を返してもらい天に帰っていくという、明るくシンプルなストーリーでした。

(2)メモと感想
 手引きによると、シテ/天人は辻井八郎さん、ワキ/漁夫白龍は村瀬慧さんでした。
 冒頭の早い段階から、漁夫白龍が松の立木に掛かっている羽衣を発見し、本題に入ります。詞章も、天女と白龍のやり取り、三保の松原の情景、天を思う様子など、比較的分かりやすかったように思います。
 囃子も、最初は、笛・小鼓・大鼓だけでしたが、後半、天女の舞の場面に入ると太鼓が入り、テンポよくリズミカルに進んで行きます。
 何より明るい感じがして清々しく、屈指の名作と言われる作品であることを感じました。おすすめの作品です。

 その他、配布された手引きによると、名句「疑いは人間にあり、天に偽りなきものを」や、玄宗皇帝の話などについても記載されていました。漁夫の名前が「白龍」であるのも中国に由来するのでしょうか。装束も漁夫だと分かるような出立で、大変面白かったです。
 色々と調べてみたいことが出てくる作品です。詞章を読み返してみようと思います。

(3)能楽師の身体の使い方について
 今回、シテ/天人は辻井八郎さんでしたが、なぜか能楽師の方の身体の使い方(身体能力?)に意識が向きました。素人の私が本当に恐縮です。
 理由について、いくつか考えてみました。

  • 天人の前半の出立は「モギドウ腰巻姿」で上着を着ていません。羽衣を返してもらってから上着を着ます。上着を着ていないから、身体に意識が向いたのかな、と思いました。

  • 後半も特にそうですが、天人の「舞」がクローズアップされる作品だからかな、とも思いました。

  • 能楽師の方々は、身体を使う職業で、辻井さんを含め(辻井さん個人が?)身体能力に長けているのかな、とも思いました。

 安田登さんの本などで、能と身体に関するような本も出ているようなので、いつか読んでみたいと思います。(本当に積み残しが多いです。)

■最後に
 今回は、特に能ついては、調べながらというより、観て感じたことや考えたことを中心に記載してみました。もう少し丁寧に(調べながら)記載した方が良かったのかもしれませんが、これはこれで良かったように思います。

 写真は、reachskyさんの「三保松原」(能の羽衣の舞台)の写真を使用させて頂きました。

 少し長くなりましたが、本日は以上です。

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