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生徒に好かれる先生とは

先日ふと思ったことを。

勤務している中学校に、定年退職を迎えて、再任用される先生や非常勤講師として60歳を超えても生徒の成長を見るのが好きだという先生方が何人かいる。本当にありがたいことだ。

その中に私が尊敬する先生がいるのだが、その先生、怒るとめちゃめちゃ恐い。今の先生は生徒を人前で叱ることはそんなにしないけど、その先生はしっかり叱る。その生徒が泣いても無駄。他の先生に対しても、お構いなくダメなものはダメとこんこんと叱る。生徒の前でも関係ない。

「うその涙は見せなくていい。泣くぐらいだったら、最初からやるな。言われたことを自分でちゃんと理解して、一生懸命やろうとする姿を見せろ。」

「なぜそんなに自分のスタイルにこだわるのか。先生のアドバイスや指示を信用してほしい。信用して、これでもいいかというぐらいやってみろ。」

こんな姿勢で生徒に臨む。決してひかない、手を抜かない。その分とことん付き合う。

最初は「怖い先生だ」と思われて、生徒も寄り付かなかったり、どう接していいのかわからなくて、おっかなびっくり会話したりする生徒が多い。

しかし、時間が経つごとに、生徒はその同僚の先生の取り扱い説明書(言い方は悪いけど)をだんだん理解してくる。その先生に叱られて泣いた生徒はその先生を避けるどころか、その先生を信頼してついてくる。その先生の周りにはいつも生徒の輪が絶えない。自分の子供のことを伸ばしてくれる先生だとわかっている保護者は、自分の子供に「あの先生のいうことはちゃんと聞きなさい」と言う。

その先生の教科や部活動の指導力はすごいものがあるので、その先生を信頼して頑張る生徒はどんどん力をつける。そうすると周りの生徒も「すごい先生だ」と認識し始める。ますます信頼を勝ち得る。

その先生は教科に関してこれでもかと準備や勉強して臨む。部活も未だに現役プレイヤーで、部活動の練習前に自分に課した筋トレに臨み、汗だらけになって、その後生徒と練習を始める。自分の生き方を見ろとばかりに。もちろん参加した大会は優勝カップをもぎ取ってくる・・・。

新年度が始まり半年がたつが、今では所属する学年部や部活動にはなくてはならない存在になっている。


生徒のやる気をつぶすまいと、過度に生徒の機嫌をうかがって叱ることをやめてしまった、あきらめてしまった先生たち、モンスターペアレントを恐れて、言うべきことを言わずにはれ物に触るように生徒を扱う先生たち。自分も含めて、そんな先生が普通になってきた中、この同僚の先生は本当に今は珍しい先生になったと思う。

でも、その同僚の先生がたくさんの生徒に囲まれて、楽しそうに談笑する姿を見たとき、本当に自分に力をつけてくれる先生、自分の考え方・生き方を変えてくれる先生には、生徒はちゃんとついてくるんだなと感じさせられる。

今日も自分が帰宅するときに、「今日10年前の教え子とその保護者と飲み会が久しぶりにあるんだよ~」と嬉しそうにその同僚の先生が言っていたのを今書きながら思い出した。

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