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この世で一番はじめに生まれた四角形

 たぶん、ぼくの家で一番多く見られる形は四角形だ。そしてそれはおそらく、どこの家庭でも同じだと思う。窓やドア、本にパソコン。人の作ったものは、往々にして四角形だ。

 しかし不思議なことに、一度人間界を飛び出して自然を目の当たりにすれば、四角形なんてほとんど存在しないことに気がつく。せいぜい風食された石が四角っぽい形をしているくらいで、あとはそもそも形をなしていないものがほとんど。

 でも人は四角を作った。このことが、とても不思議だなぁと思う。人はどこから、四角のインスピレーションを受けたのだろう。斧や刀を作る過程で、偶発的に生まれた形なのだろうか。四角はいったい、いつから、ぼくたちのそばにあるのか。

 ん、まてよ。これを、書いている途中で思った。

 歯か?

 歯が、ぼくたちにもっとも近い、四角形に近しい形か?

 自分たちのもつ歯が、口に入れた食物を噛み切れたりすることができる様子を見て、斧や刀のような「切る」に特化した道具を四角にしたのか?

 わるくない考察な気がする。実際、人の身体を絵に描く際、四角形を使うとしたら、歯だろう。

 地球は丸い。この世でいちばん初めにできた四角形は歯かもしれない。

 

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