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腰椎分離症を理解する


こんにちは!
理学療法士の荻尾です!

今日は、育成年代に多い腰椎分離症について書いていこうと思います!

アスリートをサポートしている中でかなりの選手が腰椎分離症を既往歴として持っています。それくらい多く起こっている疾患です。

今日はそんな疾患について、全てをまとめていこうと思います!

では早速いきましょう〜!


腰椎分離症の疫学

腰椎分離症とは、腰椎椎弓に起こる疲労骨折です。
成人に起こる場合は発育期に起こる疲労骨折が治癒せず、偽関節に陥っている状態を指します。

発症率としては一般的に5%ほどしか発症しないと言われていますが、スポーツ選手となると15〜40%に上ると言われています。
アスリートとなるだけで、ここまで発症率が上がるもんなんですね。

好発年齢は育成年代である12〜17歳に多いと言われています。
さらに、小学生など低い年齢で発症した場合は体の構造が未成熟であるため、腰椎分離症から滑り症に進行しやすいとされています。


腰椎分離症の発生メカニズム

腰椎分離症は疲労骨折であることを先述しました。
疲労骨折であるということは、負荷を蓄積させる腰椎の運動を考えることが必須になります。

腰椎椎弓に負荷がかかる運動は、
腰椎伸展・回旋運動
になります。

そして、もう少し深くお話しすると、
回旋時の負荷は、回旋方向と反対側に大きくなります。

例えば、右利きの野球選手やバレーボール選手の腰椎分離症は左に多く発症します。


腰椎分離症の病態について

腰椎分離症は病期として、①分離初期、②分離進行期、③分離終末期の3つの病期があります。
腰椎分離症の痛みはそれぞれの時期によって異なります。

分離初期:椎弓部に骨吸収像が線状に見られる
分離進行期:明らかな骨性の空間が見られる
分離終末期:骨性の空間がありながら骨硬化像が見られる
      いわゆる、偽関節を生じる


腰椎分離症の痛み

腰椎分離症の痛みはそれぞれの時期によって異なりますが、「分離初期から分離進行期」と「分離終末期」の2つに分けられます。


分離初期から分離進行期の痛み

この時期に関しての痛みは疲労骨折そのものの痛みです。骨折部の痛みなので、圧痛点がはっきりしていることが多いです。

しかし、骨折部の出血や浮腫が周囲の軟部組織に及んでしまうと、神経根性疼痛や背部の筋性疼痛を生じることもあり、腰椎伸展時のみではなく、腰椎屈曲時にも疼痛が発生することがあります。


分離終末期の痛み

分離終末期には腰椎椎弓部は偽関節となります。
偽関節となってしまうと、分離部周囲に発生する滑膜炎が疼痛の原因となります。

炎症が激しくなると、上下の隣接椎間関節にも炎症が波及することで、椎間関節に負荷のかかる腰椎伸展位での疼痛が強くなります。


腰椎分離症の評価

腰椎分離症の評価には5段階の評価を用います。

腰椎分離症は腰椎の伸展・回旋動作で発生しやすいため、それに対する評価を行っていきます。

段階1:クッションを腹部に入れた腹臥位で疼痛発生
段階2:段階1で疼痛が発生しない
段階3:腹臥位で疼痛が出現しない
段階4:クッションを腹部に入れた腹臥位で股関節自動伸展
しても疼痛発生しない
段階5:腹臥位で股関節自動伸展しても疼痛発生しない

そして、各段階の運動療法としては、

段階1:背臥位での股関節ストレッチ、ドローイン
段階2:段階1に座位での体幹筋の等尺性収縮を追加
段階3:腹臥位で腸腰筋や大腿直筋のストレッチを追加
段階4:股関節周囲筋の積極的な筋力強化を追加
段階5:座位、立位での積極的な体幹筋強化、スポーツ活動にそくした動作を開始

が推奨されています。
もちろん、これ以外にも患者さんの状態に合わせて追加指導したり、始動を減らしていく必要があります。


腰椎分離症の運動療法の考え方

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