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意外とデキる女、かもしれない話。(後編)

前回、私が料理を始めるようになったきっかけを、つらつらと1,500文字、書かせて頂きました。

いよいよ、料理の開始です。

仕事は休業中だし、緊急事態宣言が出されている最中だしで、時間だけはたっぷりある。

前編でお話した、JORA(日本オーガニックレストラン協会)で学んだ料理を、一つ一つ、出来そうなものからチャレンジしていきました。

食に対する意識が強い家庭で育った訳ではなかったので、オーガニックな食材も家になく、家から歩いて30分弱のところにあるオーガニックスーパーに、歩いて買い物に行きました。

今思えば、突然娘が、昼過ぎの時間帯に台所を占拠し始めるなど、母親としてはとても邪魔だったろうと思います。(昼食はバラバラでとることが多い家庭だった為、私は基本的に、自分の分だけ作っていました。)

しかも急に、オーガニックの食材なんか使い始めてね。
意識と行動が、今までとは真逆の方向に向かう娘を、親が何と思ったかは今でも知りませんが、まぁ何も言わずにそっとしといてくれて、ありがたかったな、と思います。

そういう訳で私は、親の力を借りずに、講座で習った事を元に、自力で料理に励みました。

最初は本当に、小さなことにも、時間がかかったものです。

火がちゃんと通っているか心配で熱を加えすぎたり、逆に加熱が十分でなく、野菜が少し固かったり。
鍋も何度か、焦がしました。

だけど、自分で作ったものだから、基本的には全て頂いていました。

それは、無理して食べていたという訳ではなく、多少失敗したとしても、「これはこれで食べるか。」というレベルを下回ったことが、本当に、殆どなかったのです。

その理由の一つには、やっぱりオーガニック食材は美味しい、ということが挙げられると思います。
オーガニック食材は高いイメージを持たれがちで、大量生産された食材や加工食品に比べて高いのは、確かだと思います。

だけどやっぱり、美味しさが違う。野菜の味の濃さが違う。素材そのものの、栄養分たっぷりの味がする。だから、多少料理の仕方が上手くいかなくても、美味しく頂けたのだと思います。

それともう一つ、私が受けた講座が、やっぱり凄かった。

普通、料理教室に通っても、うまく作れるのはその場だけで、なかなか日常に落とし込めなかったりするものです。私のような料理素人からすると、行程が多くてなかなかついていけなかったり。

でも私が学んだJORA(日本オーガニックレストラン協会)では、料理初心者でも簡単に実践出来るメニューがいっぱいでした。

それに加えて、ここの協会では基本的に、調味料を計らないのです。
全部、「適量」。

そんなの無理!ちゃんと言ってくれないと作れない!って思う人も多いと思いますが、そんな事はないんです、本当に。

私は初心者の頃から計量スプーンは使わずに、料理をしていました。
講座を受けたら分かると思いますが、何とかなります、本当に。

そして、この協会では、単発のメニューではなく、それを展開したメニューや、保存の仕方まで教えてくれるので、毎回毎回一からメニューを考えることなく、系統立てて日々の献立を作る事が出来ました。

そんな訳で、失敗や試行錯誤をしながらも、それなりに美味しい料理を作る日々が2ヶ月ほど続き、その後私は、実家を出て、1人暮らしをするようになりました。

人生初の1人暮らし。

台所は狭く、一口コンロだったので、最初は戸惑いました。
日本のワンルームのキッチンって、何を想定して作られてるんだ?という気がします。

でも、そんな事言ったって始まらないし、1人で暮らす事を決めたのは私。

今まで広いキッチンでやっていた事を狭いキッチンに応用し、段取りを工夫し、自炊を続けました。

そういう日々が段々と力をつけてくれ、ちょっと面倒な料理にも、挑戦するようになりました。1人で夜な夜な栗を剥いて栗ご飯を作ったり、汗だくになりながら手作りケチャップに挑戦してみたり。そうそう、糠漬けも始めてみたり。

今はもう、その部屋には住んでいないので、いい思い出です。
あのキッチンで1人、たくさんの知恵を身に付けました。

そこから1年半ほど時が経ち、今度は転職を機に、上京しました。それが去年の4月のことです。

キッチンは2口コンロになったのですが、次は物価の高さに悩まされる日々。

東京が元々物価が高いことに加え、昨今の物価高ですからね。食にはお金を厭わない私も、何せ安月給なので、ひぃひぃ言う羽目になります。
これは現在進行形です。現在転職活動中なので、大変なことこの上ないです。

だからなのか、東京に来てからは、栗も剥かなくなりました。ケチャップも作ってません。糠漬けだけは、細々と続いております。

と、ちょっと下降気味のように見えますが、それでも自炊は継続しています。

外食も好きなので、外にも食べに行きます。お酒も大好きです。
お惣菜(出来るだけ無添加のもの)を買う事もあります。

でも、全体を通して見れば、自炊している方だと思います。
何をもって「自炊している」と豪語していいのかは、分からないけれど。
多分、6〜7割は自分で作ってるかな?

だから私は偉いんだ!料理をしない人は怠けてる!

とか、そういう事を言いたいのでは、全くありません。

ただ、あんなに苦手だった料理を、ここまで続けて来られたのは、結構凄い事なんじゃないかと、ちょっと思ったのです。

その原動力が何だったのかを考えてみると、多分、「食べる事は生きる事」だと知ったからだと思います。

私は所属した協会にて、食べる事の本質的な意味を知りました。

今でも、料理は嫌いです。苦手です。特に落ち込むと、自炊意欲が減退します。

だけど、めんどくさいながらも、どうにかこうにか料理をするのは、「私が口に入れた食べ物が私の体を作るんだ」と、脳にインプットされているからかもしれません。

だったら少しでも美味しく、少しでも健康的に食べようよ、と。そんな感じなのかな。

いや、もっと違う言い方があるのかもしれないけれど、今の私には思いつきません。

長くなりましたが、私の自炊の歴史はこんな所です。
食に関心を持ってから、食べる事が心から楽しいと、思えるようになりました。

料理の味も大事ですが、その時の空間や、誰と一緒にいるかとかも、重要ですよね。

これからの人生で、私はどんな料理に出会うのだろう、と思うと、人生が少し、楽しみになる気がします。

〜おまけ〜  

自炊を始めてからというもの、医者要らず、薬要らずの健康体で生活しています。アレルギー性鼻炎も治ったし。髪はかれこれ3年くらい、毎日湯シャンです。

20代は、どんな食生活をしてても健康で綺麗でいられるかもしれないけれど、これが年を重ねると、そうもいかなくなる。
いつか私の健康法や美容法に需要が出てくる日が来るんじゃないかと、密かに思ってみたり。笑

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