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映画『The Great Indian Family』

昨日9月22日公開の映画『The Great Indian Family』をINOX Patel Nagarにて鑑賞。
制作陣が豪華なのに、キャスティングがぱっとせず、プロモーションも目につかないので、どういうことなのか疑問で仕方なかった。

プロデューサー アーディティヤ・チョープラー
監督 ヴィジャイ・クリシュナ・アーチャリヤ
音楽 プリータム
振付 ボスコ・シーサー、ヴァイバヴィ・マーチャント
出演 ヴィッキー・コーシャル

たぶん、この作品を心待ちにしている人も、ご覧になる人もほぼいないと思うので、以下はネタバレありきです。
正直、あまり面白くなかった…。ひょっとしたら、すごい名作になったかもしれない可能性は感じるのだけど。ばちっとキマるシーンもなく、こだわりの絵コンテのVKアーチャリヤ監督とは思えない。歌もダンスも演技も印象に残らない。残念極まりない…。

ストーリーは…

舞台はバルラームプル(UP州、アヨーディヤーの北)。パンディット(ヒンドゥー教僧侶)の家系に生まれたビッルー。儀式に従って頭を丸めるのが恥ずかしいと思った子供時代もあったけれど、歌の才能があり、いまや宗教歌シンガー、バジャン・クマールとして活躍中。
パンディットの父が聖地巡礼で不在の間、ある手紙が届く。「実はあなたの息子の出生証明書の偽造を依頼されました。あなたの息子の本当の母親はムスリムです。死ぬ前に真実を伝えたかった」という内容。父は不在、母は他界していて確かめるすべもない。ビッルーには双子の妹がいる。
悩んだビッルーは友人に手紙のことを伝える。その頃シク教徒の女性との恋愛を巡って喧嘩をしていた友人が、そのことを別のパンディット、ミシュラに伝えてしまう。ミシュラは、長年ビッルーの父とは相容れない、拝金主義のパンディットだった。
パンディットの息子が実はムスリムの生まれ、というスキャンダルが街中に広まる。ビッルーの父が執り行うはずだった有力者の娘の結婚式も、ミシュラに横取りされそうになる。
ビッルーの父が巡礼から帰宅し、真実が明らかになる。ビッルーが生まれたのは、1992年12月7日。アヨーディヤーでヒンドゥー原理主義者によりモスクが破壊され、ヒンドゥー教徒によりイスラム教徒が攻撃される暴動が起きていた真っ只中。
暴動の中、病院でなんとかビッルーの妹を出産した母。同時に、血まみれで運び込まれたイスラム教徒の妊婦。妊婦はほぼ息絶えていたが、子供は救える…と出産させたパールシー教徒の医師。暴徒が病院にもやって来て、イスラム教徒を匿っていないか医師が問い詰められる。しかし、そこへ「誰も匿ってなどいない!」と一喝したビッルーの父。パンディットの言葉なので暴徒たちは引き下がって行った。生まれたての子供を見て、父母は自分たちの子供としてビッルーを育てることを決心し、出生証明書の偽造を依頼した。
真実を求めて、DNA鑑定を要求するパンディット・ミシュラと街の人々。ビッルーの妹のボーイフレンドが、うまく誤魔化せる…と協力を申し出るが、ビッルーの父は嘘をつくことに抵抗を覚える。
病院の前で公衆の面前で採血、検査を始めたが、ビッルーは検査を止め、語り出す。
「自分はイスラム教徒だ。…同時に、ヒンドゥー教徒だ。イスラム教徒の母から、パールシー教徒の医師の手により生まれ、ヒンドゥー教の歌を歌い、シク教徒の女性に恋をして、イスラム教徒のおばさんが作ったお菓子を食べる。この街の人は皆そうじゃないか…。」
ビッルーの言葉はSNSで拡散され、大団円。

ああ…なんともつくづく惜しい作品だった。インド独特の宗教事情や家族の絆や恋愛を取り上げていて、テーマは良いのに。
ヴィッキー・コーシャルが演じるヒンドゥー教歌シンガーって、「Dream Girl2」でもアユシュマンが演じていたけどポピュラーなんだろうか?? いまだ現実では出会ったことがない。ポップソング調のヒンドゥー教歌を歌うシンガーとして登場している。
舞台となったバララームプルは、実際のロケ地として使用したのかはわからないけれど、マトゥラーやヴァラナシのようなヒンドゥー門前町であり、イスラム教徒も少なくない街として描かれていた。UP州は気になる街が多い。もうちょっとヒンディー語が上達してから訪れてみたい。







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