【読書日記】1/8新大河始まったけど。『はじめは駄馬のごとく/永井路子』

はじめは駄馬のごとく ナンバー2の人間学
著:永井路子 / 文春文庫

 新しい大河ドラマ始まりました。今川義元(By野村萬斎氏)の舞、素敵でした。いきなり桶狭間で首になってましたが。
 でも、私はまだ「鎌倉殿」から抜けていないようです。
 もともと古代史から鎌倉初期までの歴史が好きなのと、永井路子ファンなので鎌倉初期を舞台とした小説を中高生の頃によく読み、私なりの登場人物像を持っていて、ドラマを答え合わせ感覚で見ていて思い入れがあるのです。
 とはいえ、中学生には小説はやや難しかったのでむしろ好んで読んでいたのが、「歴史を騒がせた女たち」シリーズのエッセイでした。教科書的な歴史ではあまり扱われない女性たちに光を当てていて、物事を違う角度から見る大切さを教えられました。
 この同系統の『はじめは駄馬のごとく』は、華々しいナンバーワンの陰であまり目立つことのないナンバー2たちについて考察を加えています。
 ここで扱われている人物たちにはキャッチフレーズがついているのですが「はじめは駄馬のごとく」が、北条義時です。
 小規模の豪族の次男坊から権力者へとなっていく過程での身の処し方や、義時が常にナンバー2の位置を維持していたこと(最終的に表にたったのは北条政子)、ナンバー1の座は狙わないけれどナンバー2候補は徹底的につぶしたことなど永井氏の視点での解説が面白いです。 
 本書には失敗したナンバー2として「スタンドプレーが怪我のもと」源義経も取り上げられているので、比較して読み、そして「鎌倉殿」を視るとまた違った味わいがあるのです。
 なお、今年の大河の主人公は徳川家康ですが、本書では息子の秀忠が「花咲くモグラ戦術」として取り上げられています。秀忠の登場はドラマでは当分先でしょうけれど。
 歴史小説を読んでいると、つくづく物事は見る視点でいくらでも様相を変えるものだと思います。真実がひとつであるはずがない、のです。