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「おもしろい!」の作り方1 『シーンの繋ぎ』

こんにちは、神岡です。
「おもしろい!」の作り方の第一回です。

今回は最後に例として、コードギアスの第一話を取り上げますので、是非見てください!
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オールハイル! ルルーシュ!

では、始めていきます。

概要

この記事では以下のことについて書きます。

・シーン転換は見る側にとって負担である
・シーン転換は見る側の意識に沿って行う

物語の構造

物語は、掌編小説やショートショートといったもの以外では、基本的に複数のシーンによって構成されています。
推理シーン、告白シーン、バトルシーンなど、それぞれのシーンには物語を成立させるうえでの役割が存在します。また、シーンごとによって場所、時間、登場人物などが変わります。

シーンの転換には、小説の場合、空行アスタリスク、漫画や映像作品の場合、「X時間後」といったテロップ、演劇の場合、暗転や照明の色などが用いられます。

完全に時系列順で進む、一人称視点の小説であっても、シーン転換は存在します。
シーン転換が無ければ、朝起きて、朝食を食べて、身支度をして、といった描写をいちいちしなければなりません。
それでは読者を退屈させてしまうでしょう。

逆に冒頭から事件が発生したり、素敵な異性(または同性)と遭遇したり、死体が転がってきたりすれば、私、気になります。

つまりシーン転換とは、日常の退屈な部分をそぎ落として、純度の高い面白いを抽出する作業であるといえます。

シーン転換=負担

ここまでで、シーン転換は物語を面白くするために必要だと言ってきました。しかし、むやみやたらに使いすぎては逆効果です。
なぜなら、シーン転換とは、見る側からすれば少なからず負担であるからです。

シーンを変えるということは、今まで追いかけてきた登場人物、時間、場所といった状況を、いったん全てリセットするということに他なりません。
そして、新しいシーンになれば、その状況を理解するために、多少の時間を要します。その一連が負担となるのです。

さらに時系列が散逸したり、登場人物が入り乱れれば、見る側は混乱してしまいます。そうなれば、物語を負うことをやめてしまうでしょう。

「そんなことで諦めないでよ! あとから絶対面白いよ!」と引き止めたくなる気持ちは分かりますが、読者はいつでもページを閉じる権利があり、観客はいつでも劇場を出ていく権利があります。

そうさせないためには、結局のところ、私たちが頑張るしかありません。

コードギアスに学ぶシーン転換

さて、そんな話をしたところで、コードギアス第一話、見終わりましたでしょうか?
「コードギアス ~反逆のルルーシュ~」は、TVシリーズ全50話で、登場人物は優に50人は超えると思います。
彼ら全員が世界中で、ちゃんと意思を持って行動しているので、それを描くためにもシーン転換は非常に多いです。
しかし、それをあまり負担に感じないところが、この作品のすごい所です。

なぜだろうと思い、いろいろ見返した結果、見る側の「意識に沿った」シーン転換をしているからではないか、という考えに至りました。

第一話のシークエンスバー5分42秒から8分14秒までを再生してください。

Aシーン「ルルーシュとリヴァルが会話する」
Bシーン「クロヴィスが将軍を叱責する」
Cシーン「パイロットがナイトメア(ロボット)に乗り込む」

と、わずか2分半のうちに、流れるようにシーンが移っていきます。

場所も人物も違うシーンが続くので、一見混乱しそうに思われますが、実はこれらのシーンは全て繋がっています。こんな風に……

Aシーン「ルルーシュとリヴァルが会話する」
A→B「ルルーシュが街頭テレビのクロヴィスを見つめる」
Bシーン「クロヴィスが将軍を叱責する」
B→C「クロヴィスが「ナイトメアを出せ!」と命令する」
Cシーン「パイロットがナイトメア(ロボット)に乗り込む」

どうでしょうか?

登場人物が、シーン転換の直前、その前振りのような動作を行っています。

それによって見る側の意識は移り、直後にその移った対象(クロヴィス、またはナイトメア)へとシーンは転換します。

このように、見る側の意識の移ろいに沿った形で、シーンを転換していけば、負担は軽くなります。
なぜなら、見る側が「見たい」「知りたい」と思った瞬間に、そのシーンを提示することができるからです。

まとめ

これまでをまとめます。

・シーン転換とは、純度の高い面白いを抽出する作業である。
・シーン転換は、見る側の意識に沿って行うことで、負担を減らす。

見る側に少しでも興味の火が付いたら、絶対に消させないという意識で、シーンの紡ぎ方を考えましょう。

ここまでお付き合いくださり、ありがとうございます

ではでは、次回もお楽しみに。

感謝です!