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上久保の言葉(2)「なぜ最初にゼミ長を決めないか」

3回生ゼミ・第2週(4月18日え、2限)の冒頭の言葉です。

上久保ゼミでは、4月に新入生が入ってすぐに、その代のゼミ長を決めません。他のほとんどのゼミでは、第1週にゼミ長を決めて運営を始めると思いますが、うちはそれはしません。

最初にゼミ長というリーダーを決めてしまうと、もうその他の全員が、リーダーの言うことに何も考えずに従ってしまうことになります。全員が、思考停止に陥るのです。そういう癖が組織全体についてしまう。

一方、自ら手を挙げてゼミ長になった人物も、ほんとはどんな力量なのかわからない。「やりたい」というのと「やれる」というのは違うわけです。

やりたいけど、力量のない人がゼミ長になったら、組織は悲惨です。極端にいえば、就活等のためにゼミ長という「肩書」がほしいだけなんて人もいる。ゼミ長になってしまうと、後はなにもしないということもあります。そうなると、ゼミ生全員、どうしたらいいかわからず「路頭に迷う」みたいになってしまいます。

そういうこと諸々のことを避けるために、ゼミ長を最初の学期に置かないのです。

ゼミ長が決まらなければ、ゼミ生全員、自分がここでどんな立ち位置になるのか、どんな役割があるのか、わかりません。とまどい、右往左往することがあります。混乱状態になる年もあります。

しかし、そんな状態だからこそ、ゼミ生一人一人の「人となり」がみえてきます。自然に「本当のリーダー」も現れてくるし、フォロワーシップもできてくるのです。

世の中、とかく「効率」です。教員としては、早くリーダーを決めれば、効率よく組織が動くのでやりやすく見えます。でも、時間がたつと、もっと非効率になってします。

効率的に進めたいのをあえてがまんして、自然にゼミ生それぞれの立ち位置が決まり、リーダーが出てくるのを待つのです。そうすると、全員が自分の役割を自覚し、全員が考えて行動し、学生主導で動ける組織ができていくのです。


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