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知識と能力(脳力)、思い込みによる能力退化

知識のある人と、いわゆる地頭のいい人は違うというのは良く言われることです。
知識とはたくさんの情報を持っていることと言い換えられるので、たくさんの情報をインプットする、つまり本を読んだり、人の話を聞いたりして情報を記憶することによって、知識を深めることが出来ると言えます。
これに対して、地頭がいいというのは、記憶力ではなく、入ってきた情報から、自分なりに何かを導き出したり、情報を加工してアイデアを発想したり、情報の裏にある真実や本質を追求する力と言えるのかもしれません。

知識と能力(脳力)は、そういう意味で別の力ではありますが、もちろん連携しているところもあります。
教科書を一生懸命に暗記することは、脳を刺激し、脳の筋力をアップさせます。
また、知識、つまり情報をたくさんインプットすると、自然に脳の中で処理する必要に迫られ、結果、脳の処理能力が増強されていきます。

子供のころの頭のいい子は、確かに教科書の内容をしっかり記憶している子たちなのですが、同時に情報を処理する能力も高かったのだと思います。情報処理能力が高いから、同じ時間、同じ本を読んでも情報吸収力に差が出るのだと言えるのかもしれません。

しかし、この知識と能力(脳力)のバランスは、年令とともに人による差が出てくるように思います。

知識や能力(脳力)の成長は、勉強の量だけでなく、生活の中での経験なども大きく影響してくるし、性格などによっても変わってきます。
さらに、社会人になると、仕事という専門分野を持つことで、日々インプットする情報が人によって大きく変わってくるし、会社や職種によって物事の考え方、思考プロセスにも差が出てきます。

そして10年、20年も社会人をやっていると、知識と能力(脳力)はどうなっているでしょう?

さぞかし成長していると思いきや、実は能力(脳力)の方は、あるところからほとんど成長しないのだそうです。もちろん、長く生きていれば知識の方は少しずつ増えていくのですが、その知識を使って情報を処理する力はあまり変化しないということです。脳が退化すると言われれば、そうかと合点がいくかもしれませんが、情報の処理能力が低下するというのは、納得したくない気がします。

さて、だれでも年を取っても成長はしたいものです。たくさん本を読みたいし、新しいことにもチャレンジしたいと、私も常に思っています。

ここで、もう一つ、情報の処理能力について考えておきたいことがあります。
それは、年令とともに深まった経験によって、蓄積された情報の中に良いものだけではなく、悪いものもたまってきているということです。
それは、「思い込み」というやつです。

仕事や生活の中で得た経験は、強い「思い込み」を作り、情報から新しいものを生み出す力を失わせていきます。
「思い込み」は、発想力を弱め、新たなチャレンジへの勇気をそぎ落としてしまいます。

人間の脳は無限の可能性があるものの、実際に人間が使っているのは、脳の可能性のほんのわずかなところだけだそうです。
つまり、年令とともに、能力(脳力)が減っていくのは、もしかしたら経験による「思い込み」が主な原因なのかもしれません。

もしそうなら、解決策があるかもしれません。

「思い込み」を排除することは、物事を見る(考える)ときのレンズのズームを変えることで、現物を直視するところから、抽象度のレベルを上げて物事を俯瞰してみるところへ、自在にレンズを切り替える力をつけることで排除できないでしょうか。

あるいは、常に物事に疑問を持つ習慣を今からでもつけられないでしょうか。

年令とともに、せっかく広い知識を持っているなら、自分の専門領域と、専門以外の領域の差について考える習慣はつけられないでしょうか。

「勉強をする」ということを、読書や勉強会で得る知識だけでなく、能力(脳力)つまり情報の処理能力の向上、あるいは維持ということにも気をつけて行う必要があると私は思います。

若い世代とて同じことです。知識と能力(脳力)は、車の両輪であって、バランスを考えて伸ばしていきたいものです。
さらに、このときに、能力(脳力)を減退させる要因として、経験によって悪化する「思い込み」があることも重ねて意識したいものです。

「思い込み」は、さらにコミュニケーションにも悪い影響を与えます。
「思い込み」は、人によって違うからです。
それぞれが、異なる「思い込み」のもとで会話をすれば、話が噛み合いません。
実は、多くの企業で、この「思い込み」によるコミュニケーションの問題が起きています。

人の心の奥にある「思い込み」を追い出すことはできないかもしれませんが、このお互いの「思い込み」を相手にも示すことは出来るはずです。

企業内でのコミュニケーションや、アイデア発想の場で、「思い込み」をコントロールする方法があります。
ご相談ください。

フューチャーシップ(株)


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