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今あらためて、さくらふぶき 〜前編〜

前回のnoteでは認定NPO法人桜ライン311さんが主催されている「春の植樹会」への参加レポートを書きましたが、今回はそちらの代表であり、鉄瓶『さくらふぶき』のデザインを担当いただいた岡本翔馬さんへのインタビューを記事にさせてもらいます。

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岡本さんと当方の代表である田山は、時期は違えど東日本大震災をきっかけにUターンし、復興に関わる若手有志で結成した団体を通じて知り合いました。
同学年ということもあり意気投合し、2018年、震災の記憶の伝承や伝統工芸の継承、また、そこに込める想いなどを次の世代に繋げる一環として「さくらふぶき」というコラボレーション鉄瓶が生まれました。

今回は、その制作の裏側や想いについて、改めてお伺いしました。
*以下、岡本さんを「岡」、こちら(kanakeno)を「k」とさせていただきます。

k)
改めて、さくらふぶきのデザインに込めた想いについて教えてください。
岡)
私たちは東日本大震災の記憶を後世に伝え残す「伝承、追悼」ということをテーマに桜の植樹をしている団体なので、そのテーマを鉄瓶にどう落とし込むか、というのを結構考えました。私たちの活動としては、防災、減災ということをやっていますが、実際に鉄瓶を使う人たちにはそういうことは縁遠いはず。なので日本人にとって身近なもので、私たちの活動にも通じる「桜」をデザインすることでちょうどよく両方の想いを重ねることができるんじゃないかなと思い、デザインしました。最終的に出来上がったものは、桜のはかなさがよく現されていて、とても素敵な作品が出来上がったなと思っています。

打診させていただいた際には、「今までの鉄瓶っぽさ、伝統工芸品ということを意識しないで作ってほしい」とお伝えしました。
岡本さんはプロダクトデザインをされるのは初めてとのことでしたが、建築関係の仕事を以前にされていたことや、なにより興味を持っていただいたこともあり、このコラボレーションを快諾いただきました。
それからデザインを考えていただき、職人とも協議を重ねました。

k)
製作過程で印象に残っているエピソードなどはありますか?
岡)
そうですね〜
わがままをいって作ってもらったなぁという印象ですね。
例えば、この蓋の縁の花びらをぎりぎりのところまで描いて欲しい、とか、花びらの凸凹が強く出ているのでもう少し浅めにして欲しい、みたいなことをお願いしました。

最初につくった鉄瓶(プロトタイプ)は、岡本さんのイメージとは異なるものでした。
花びらは少し大きく、岡本さんの指摘通り、肌の雰囲気も少し強く出ていました。はかなさというよりも力強いさくらふぶきになっていた気がします。

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*上がプロトタイプ、下が現在のさくらふぶき

岡)
取引先でもあるが友人でもあるので、気兼ねなくやらせてもらえましたね。最終的に仕上がったものを見たときに、佇まいがとてもきれいだなと思いました。田山さんが元々持っている技術だったり使い勝手や軽さなどそういうことも含めて、プロダクトとしてクオリティの高いものを作ってもらったと、そして鉄瓶そのものが持つ美しさと、私たちのテーマをうまく重ねて作ってもらえたなと思っています。

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k)
さくらふぶきの鉄瓶を使う方へ、メッセージがあれば教えて下さい。
岡)
当団体としては重めのテーマを扱っていますが、使う方には気兼ねなく使ってもらえたらいいなと思っています。桜という日本人にとって親しみのあるものを通して、防災減災という大きい課題に対するハードルをどれだけ下げていけるか、というところが私たちとしても課題でもあるんですよね。なので桜だから可愛い、ということで使っていただいて全然良いと思うし、その中でたまにこの活動について思い出していただく、それくらいで良いのかなと思います。あとは長く使ってもらえたら嬉しいですね。そうすることで次の世代の人たちに防災や減災、そして伝統工芸品を伝承していくということにも繋がるんじゃないかなと思います。

(後半へ続く)
後半では岡本さんがkanakenoに期待すること、また、桜ライン311さんの今後の展望などについてお伺いします。

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