#9 お父さん・お母さんになった日

16週1日で産まれた赤ちゃんは、体重20g身長12cmの女の子だった。
旦那さんに似て、足が長いスタイル抜群の女の子。
顔だちもハッキリしていて、きっとモデルさんになれたね~なんて話をして。
無脳症の赤ちゃんだから、頭がちゃんと形成されていないだろうし、ちゃんと対面できるかな…と、不安な気持ちもあった。
でも、生まれてきてくれた我が子は本当に可愛くて愛おしかった。

まだ皮膚はできあがっていない段階だから、触ると傷つけてしまいそうで怖かったけど…旦那さんが用意した棺に移して、服を着せて※ほぼかぶせるだけ。布団をかけてあげた。
一番小さいサイズの服にしたのに、それでもぶかぶかだった。

お手紙を添えて
旦那さんの汗と私の涙を沢山すった、手作りの刺繍ハンカチを入れて。
笑顔で送り出してあげた。

時間としては1・2時間だったと思う。
ほんの少しの時間だったけど、親子3人の時間は、悲しみだけではなく、ちゃんと温かみのある幸せな時間だった。

一緒に赤ちゃんも家に帰って、自分で火葬場に連れていって、納骨まで立ち会う、という手段もとれたけど、私は全部産院の提携先に委託した。
後日、お参りに行こうと思う。

その後は、足が動かせるになるまでしばらく分娩室で安静。
やっと部屋に移動できるぞって思ったら、麻酔の後遺症?なのか頭がふらふらで歩けない。
栄養を摂取したほうが良いかも…と思い、コンビニまで旦那さんに行ってきてもらい、分娩室でおにぎりを食べる。
この時すでに13時頃。
分娩室に来てから、すでに12時間が経過している。
まさか、おにぎりまで食べることになるとは…

やっとの思いで部屋に戻り、支度をして産院をでる。
旦那さん以外面会NGだっため、朝からずっと外で待っていてくれていた母とも合流し、タクシーで家に帰る。

家に帰ってからは、ほぼずっとベットで横になっていた。
母と旦那さんの、2人の会話が聞こえる。
「二人とも、もうちゃんと、お父さん・お母さんだね」
母が言う言葉に、涙が溢れた。

私たちを、お父さん・お母さんにしてくれてありがとう。

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