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「はらりはらり、と」 2
わたしは世界で一番汚れている女の子。重たい黒髪はべたついているし、肌はがさついている。唇の皮膚なんてひらひら浮いていて小学生みたいだし。あと恥ずかしいけど、全身はとてつもなく毛深い。身体の年齢は高校生くらいなのかもしれないけれど、まとっている空気は幼いこどものようだ。
そんなことばかり考えて、わたしはいつも俯いている。父の車の窓から見る風景は、灰色にしか見えない。紺色の制服の袖は、うちで飼ってい
「はらりはらり、と」 1
未来はここにある、という気持ちを込めて名付けたという。『種を蒔く』、ここは不登校のこどもを持つ保護者と、こどもたちのために設けられた、非営利のサロンである。労働福祉会館の貸室を月に一度借りている。参加したい人は百円を払って、リプトンの紅茶と甘いお菓子を食べながら、今を語る。そんな場所にしたいのだと聞いた。わたしの名前はアカリという。みんな任意の名前を名札に書いて、呼び合っている。ニックネームでもい
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