20190220 珈琲

珈琲に桜映してしんとする

***

春に東京へ遊びに行く計画を立てている。母と二人で行く。行きたいことややりたいことがたくさんあって、頭がいっぱいになる。東京に住んでいた頃に好きだった馴染みの街にも行きたいし、まだ知らない街へも行きたい。見たいものもたくさんあるし、食べたいものもたくさんあるのだ。またそれは、わたしだけじゃなくて、母もだから大変だ。どうしよう!

いろいろ迷うけれど、珈琲を飲みに行くことだけはぜったいに外したくないな。喫茶店…どこに行こうかな。どうしよう!

東京で暮らした街には珈琲屋さんがあって、ひとりでよく行った。ひとりで行って、本を読んだり、はかどらないのに仕事をしてみたりしたものだけど、その時に近くに座った、知らないひとたちの光景を妙に覚えていたりする。

今日また思い出した。これはたまに思い出す。

「なあ、朝礼の時、どうしようか。照れるよね」「ね、わたし、笑っちゃうかもよ」「俺もだな、気付かれないようにしよう」

そんな会話をして、くすくす笑いあっていた若いふたりのことを、思い出した。わたしは斜め後ろで文庫本を開いていたのだけど、つい聞いてしまった。社内恋愛かな、付き合いはじめたばかりかな、と想像なんかして。

まったく知らないひとなのだけど、今もふたり、しあわせに暮らしているといいなあ、と思う。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?