「レジ袋はご利用ですか？」

そうか、今日からレジ袋の配布がなくなったのか。あいにく財布しか持ってきてないから袋をもらうしかないか。

「すいません。お願いします」

「かしこまりました。店長！　レジ袋ご利用のお客様です」

……？　なぜそこで店長が出てくる？　ただレジ袋をお願いしただけだぞ。

すると店の奥から年配の男性がディスプレイを持って出てきた。

「お客様。申し訳ありませんが、レジ袋をご利用される際はこちらの映像をご覧いただく決まりになっていまして……」

するとディスプレイから映像が流れた。

海？　綺麗な海の映像だ。これが一体何だと言うんだ。
そう思っていると次々と映像が変わり、プラスチックのトレイやレジ袋が海にたくさん浮かんだ映像や、それを食べてしまう亀や体中に巻き付いてしまったシャチが流れた。

その映像を見せながら店長は、こんな悲しいことがあってはならないと泣いていた。そしてお客様本当にレジ袋いりますか？　本当にいりますか？　と聞いてきた。

そう言われると、家もすぐそこだ。手で持っていけば問題はないし、今度からはエコバックか何かの袋を持ってくればいいか。

「あ、いいえ、必要ないです」

そう言って商品を抱えて、家まで持って帰った。

「店長また上手くいきましたね」

「そうだね、こうやって少しでもレジ袋を削減できるといいよね」

バックヤードに戻った先ほどの店員と店長は人間から魚の姿に戻り、そんな話をしていた。

10月5日は「レジ袋ゼロデー」