見出し画像

7月22日は「下駄の日」#400字小説

原宿の宿場から疾走。

見えてきたのはすでに長蛇の行列。

あぁ遅かった。友達に伝書鳩飛ばすも友達もまだ未到着。

仕方なく最後尾に参戦。

並ぶ連中は全身でお洒落さをアピール、他のやつらとは一緒にするなと言わんばかりだが、みんな同じ林檎印の洗練された電話機に夢中で、小学生並みにきちんと整列。

夏の暑さを、ものともしない奴らの集合体。光る汗は我慢の一滴。

やってきました巳ノ刻。動く行列、心配する俺の心は四分五裂。

思い出す昨日の瓦版の見出し。

『ナイキの新商品、購入後に盗賊に奪われる』

俺は決めていた。目当ての品を買うことができたなら、一目散に品を風呂敷に包んでとんずらしようと。

いよいよ、俺の順番。

「らっしゃい! なんにしましょ」

店員の髪がオシャレで俺はビビる。なんだよその髪型は、南蛮の髪型か。

俺は言う。

「エアマックス天保 下駄カスタムください」

やはりナイキのエアマックス最高。最近質屋で偽物が出待っているらしいから、本店に直接買いに来てマジ正解。

俺は急いで、Supremeの限定風呂敷にエアマックスを包みとんずらこいた。

7月22日は「下駄の日」




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?