4月5日は「ヘアカットの日」
「お客様本日はどうしますか?」とニヤニヤしながら言われたので、こちらもニヤニヤしながら「有村架純ちゃんみたいにお願いします」と言った。
「それには整形が必要です」と言われ、瞬間ふざけんなー! と叫んだ。
春の庭はなんて書き始めると、なんだか優雅な雰囲気がするがそんな優雅さは今後一切でてきませんので、期待した方はごめんなさいね。でも春の風は一瞬の迷いもなく春の風で、残念ながら桜の花びらは飛んでは来ないけれども、そんな所もわたしたちらしい春の庭です。
あおちゃんが髪を切るって言ったから、4月5日はヘアカットの日
なんだか俵万智風な感じですが、気にしないでください。気のせいです。
特設美容室には、てるてる坊主になり椅子に座るわたしと、さっきからわたしの髪をいじりたおす、あおちゃんです。鏡越しにその光景をみていると、他人ではないお友達のあおちゃんに髪を触られるということが、なんとも不思議で急に恥ずかしくなり、強めに目をつむった。
学がないもので何の花とかは知りませんが、外では春の花の匂いがしています。風の向きによってちょっと匂ってすぐ匂わなくなる感じが、わたしの苦手な柔軟剤とは真逆のなんとも控えめな、私立大学文学部2年生的な感じが好きです。
暗闇のなかではチョキチョキと軽快な、あおちゃんのハサミの音が響きます。目指すべき有村架純ちゃんに近づく足音のようです。このまま完成までは目をつむる作戦でいこうと思います。さっきから、あおちゃんはうーんだの、うーむだの主にうーからはじまる声を主に発して、チョキチョキを一時停止させてはまた再開を繰り返しています。
「あんたの髪は切りにくい」とあおちゃんは言います。
「ごめんなさい」と真剣に誤ったのちに、えへへと変な感じに笑いました。だってどうしたら切りやすい髪に生まれることができるのか分からないから。
心地の良い美容室で、ずっと目をつむっていたらなんだか眠くなってきました。強く目をつむるとなぜか宇宙の光みたいな、万華鏡の宇宙版みたいなものがいつもわたしは見えます。その広大な宇宙を見ながら、宇宙よりかは遥かにちっぽけで、宇宙規模からみればどうでもいいわたしのヘアカットの完成を待ちます。
「一応……完成……かな?」
「かな?」とな。しかし、あおちゃんが一生懸命にカットしてくれた有村架純ちゃんと対面です。こんにちは、架純ちゃん。
目を開けるとそこには、残念ながら架純はいませんでした。
あおちゃんは後々こう語ります。
「昔のジャッキーチェンみたいだったよね」と。
4月5日は「ヘアカットの日」
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