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10月30日は「香りの記念日」

むせかえるこの匂いは、そうだまさしく夏の匂いだ。では具体的に何の匂いかと聞かれると構成要素は答えられない。草の匂いとセミの抜け殻の匂いと太陽に照らされた地面の匂いとだいたいの生命が生きようとする匂いで恐らくは構成されていると思う。

今度はつーんとくるこれは……ワサビ? いいや違う。これは……そうこれはプールの匂いだ。プールの水が鼻に入った時のあの感じ。
結構深刻に鼻が痛いのに、友達にそれを悟られまいと必要以上にはしゃいで、急にバタフライをする。その時の匂いだ。

今度もなかなか刺激的で、目にくる。あぁ、しみる。これは花火のけむりだ。なぜか手持ちの花火の煙が自分の方向にばかり来て、集中して花火を楽しめない時の匂いだ。いくら場所を変えてもぼくを追うように風はけむりを運んできた。最後の線香花火のころには目がしょぼしょぼして、他の子の三倍は線香花火がきれいに見えた。

日曜日に行った「香りの記念館」でお土産に「夏の香り缶」を買ってきた。今日だけで3缶も開けてしまった。残りは1缶。
明日に取っておこうか迷う。

外からは冬の匂いがした。

10月30日は「香りの記念日」


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