「うっせぇわ」違和感をキャッチする若者たち

子供のころ、今とは違った歴史教育を受けていた。
終戦後、歴史の教科書を、「ここは墨で消してくれ」と言われた。
昨日まで真実として教わっていたことは何なのかと思った。
私たちは、世の中の真実を疑うようになった。
世の中の常識、大人の言うこと、そういうことは信じまいと。
真実はもっと他にあるのではないか。
常識と真理は別にある。
自分で見て触って勉強して、納得したものでなければ、信じるのはやめよう。
建前はウソばかりだ。
と、私たちの世代は思った。
野坂昭如氏も同じことを言っていた。

美輪明宏氏のトークから抜粋

美輪明宏氏の、このトークを聞き、私は、
ナポレオン前後のフランス人や、
ナチスドイツ時代のドイツ人(フランクル、ヘッセ など)
戦後を生き抜いた日本人に、深い思想を持つ人が多いのは、
「常識を疑う」感覚を原体験としてもっているからかもしれない
と思った。

時を変えて、現在、私たち。
世の中の常識を、「守るべきもの」と、とらえていないだろうか。
年上の方の意見、上司の意向を「従うべきもの」と、とらえていないだろうか。
SNSの声を、「炎上させてはいけないもの」ととらえていないだろうか。
それって面白いの?

その皮一枚をはがしたその先に、「自分自身でいられる」本当の人生があるのかもしれない。

・・・なんて思いながら、ちょっと前に流行ったadoの「うっせぇわ」、
最近再生回数が伸びているらしい「エリート」の歌詞を見てみる。

ちっちゃな頃から優等生 気づいたら大人になっていた
ナイフの様な思考回路 待ち合わせる訳もなく
でも 遊び足りない 何か足りない

最新の流行は当然の把握 経済の動向も通勤時チェック
純情な精神で入社しワーク 社会人じゃ当然のルールです

一切合切凡庸な あなたじゃ分からないかもね
嗚呼よく似合う その可もなく不可もないメロディー

酒が空いたグラスあれば直ぐに注ぎなさい
皆がつまみ易いように串外しなさい
会計や注文は先陣を切る 不文律最低限のマナーです

ado うっせぇわ 抜粋

「言うこと聞かなきゃいけません」ってママ言うけれど
「大人も大体間違えてる」ってパパは言った

あなたにゃ到底分からない
こっちゃこんなに苦労してんだぜ?
僕が世界で一番真面目真面目真面目真面目真面目真面目

エリート 抜粋

「うっせぇわ」は、既存の価値観に従い、レールに乗っかる大人に対し、「あなたたちと同じ世界線には乗りたくない」という若者の意思表示に見える。
「エリート」は、大人に押し付けられた価値観に従って生きることの息苦しさをダイレクトに表現している歌詞に見える。

両方とも「このままではハッピーではなさそうだ」ということを察知している。
冒頭で紹介した、戦後に美輪明宏氏が感じていたこととも近しいようにも思える。

今は、「縛られて窮屈な時代」ともいえいそうだし、
「価値観が変動するタイミング」ともいえそうだ。
さて、その状況を知ったうえで、大人も、子供も、これからどう生きるか?

ご参考 大人の感じている苦しみについては以下記事にて。


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