終わっていると思いたい症候群

どのSNSを見ても、だから〇〇は終わっていると言いたい人が多いのにびっくりする。
政治も経済も、地球も生活も、どこを切り取っても終わっているように見えるようだ。

そして、終わっているという投稿を気にし出すと、AI的にも、意識的にもそちらの情報を多く目にするようになるので、世界はより終わっているように感じるだろう。

そこから抜け出すのは非常に難しい。

そして、抜け出したいと思えないのも難しい。

外から、そこに入っている人を外に引き出してあげるのも難しい。

終わっているという空気が完全に蔓延した時に起きるのが、
終わっている社会を変えてくれるカリスマに自らの自由を差し出して熱狂を求める世間的な動きだ。

クロムウェル前のイギリス、
ナポレオン前のフランス、
ヒトラー前のドイツ、
トランプ前のアメリカ、

政権を取るまでの時代、経緯や手段は異なるが、
民主主義を求める社会の中で、起きるカリスマ独裁政治への熱狂。

どの政権も、現状を終わっていると捉える世間に対しての訴えが上手かったことが共通していると思う。

今の日本は、これらと似ている、とも言えるが、似てはいない。
なぜなら、日本は終わっているとも終わっていないとも本当は思っていない。
何も思っていないというのが本当の現状だろう。

だから暴動も起きないし、革命も起きない。
みんなが終わっているという雰囲気を出しているから一緒に言っているだけである。

そして、そもそも私有財産権を守るためでも、自由権を守るためでも、誇りを取り戻すためでもなく、そもそもが目指すビジョンが日本にはない。

つまり、日本は本質的には民主主義が始まってもいない為、終わることもないのだろう。

だから終わっていると言っている人たちは、どこから始まっていたと思っているのか、
どこの時代だったら民主主義だったと言えるのかと共に、何がどのように終わっているのかを主張した上で、代替案を出してほしい。

個人としては、始まってもいないのだから、終わっていると悲観するのではなく、
今からどうやったら始められるのか、変わるタイミングに備え、それまで試行錯誤しながら楽しむこと、そしてそれ以降も楽しみながら作っていく希望を持つことが大切だと思う。

終わっていると言いながら生きられている人が沢山いるという事実が、終わっていない証拠だと思うし、終わっているのだとしたら、終わって欲しいと思っているだけだと気づいて欲しい。難しい。

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