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「組織を動かしていくために重要なこととは何か?」〜ある経営者の話から考えたこと〜

こんにちは、お金が入るでかねいりです。

今日は、組織を動かしていくために重要なこととは何かについて考えたことをお伝えできればと思います。

■再建を任されたある経営者の話

先日、ある経営者(Aさん)とお会いしました。
その方は、とても穏やかで、物腰が柔らかく、社長という風格はさほど見られない、そんな雰囲気の方でした。
そこで、社長就任時のお話を聞いたところ、その印象とは裏腹に、大きな負債を抱えた子会社の経営再建を託され、社長に就くことになったということでした。

大きな負債を抱えていたことも大きな問題でしたが、その子会社はもうひとつの問題を抱えていました。
それまでの子会社の社長
は、親会社から派遣され、数年おきに交代。そのため、子会社のプロパー社員からは、「がんばっても社長や役員になれない、がんばっても無駄」という雰囲気が充満していました。再建をしていく上で切っても切れない問題です。

そして、その経営者Aさんも親会社から派遣された方でした。しかし、この方は、これまで派遣されてきた社長とは違い、保守的な親会社の中で、異質な存在で、保守的な雰囲気を良い意味で無視して会社にもの申すことができる方でした。そうしたキャラクターが買われ、経営再建を託されました。

■社長就任時からの変わらない想い

そんなキャラクターであることは、もちろん子会社の社員は知る由もないため、子会社の社員からすると、「また親会社から派遣されてきた人が来た」という印象を持っていました。

子会社の社長に抜擢されたAさんは、就任当初から今も変わらず、次のような想いを持っていました。

「会社は、あくまで働くための箱に過ぎない。言い換えれば、舞台があるだけ。舞台のためにがんばろうって思う俳優さんや芸人さんはいない。舞台に立ちたい、舞台に立って観客に喜んでもらいたい、というのが健全な姿。会社も同じ。社員が会社という舞台で主役になって活躍し、喜びが感じられるようにしていきたい。」

その想いを実現させるために重視したのが、「経営者としてリーダーの本気度を見せること」でした。

「がんばっても社長や役員になれない」という状況を変えることを子会社の全社員へ宣言。そして、親会社から派遣されてきた形だけの役員を切ることを決断し、実行しました。
親会社から反発を食らい、更迭される可能性もあるこの決断は、なかなかできるものではありません。

それ以降は、できる限り組織をフラットにしようと考え社長と社員がコミュニケーションを取る機会を作ったり、部署間の関係性を深めるために社員が主役の社内交流誌を毎月発行したりと、社員が自分の意見を発信できる環境づくりに邁進

その結果、社員主導でのプロジェクトや委員会活動が立ち上がるとともに、活発に動くようになり、地域の中でも「おもしろいことをやっている会社」という認知が拡がっていきました。

就任から約5年で負債は完済
そして、ついに約10年をかけ、プロパー社長が誕生しました。

■本気度=一貫性

経営者のAさんの
「社長と社員の信頼感がすべて」
「どんなに偉そうなことを言っても、社員は社長が本気なのかどうかをしっかりと見ている」

という言葉が印象にとても残っています。

言うだけではなく、言ったことを実現させるためにリーダー自身が行動をしているか。

社員は、言葉と一緒にその行動を見ている。言い換えると、一貫性がない行動を取っていると、社員に本気度は伝わらない

小宮コンサルタンツ代表の小宮一慶氏は、社員との信頼関係をつくるには、「小さい約束こそ守る」ことが大切だと説きます。

「例えば、部下に「今度、飲みに行こう」と誘ったとします。しかし、ずっと飲みに行くことが実行されないと、部下は「この人は約束を守らない人だ」と捉え、日常的な上司の指示を話半分で聞くようになる。こうした小さい約束ほど守り続けないと部下は信頼して動いてくれなくなるもの」と言っています。まさに日々の言葉と行動の一貫性の重要さを語っています。

想いや信念に沿った一貫性を持った行動が、リーダーの本気度として伝わり、組織が動くのだだということをこの経営者のお話から学ぶことができました。

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