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【一級建築士】スパンドレルってナニ?オイシイノ?

こんにちは、かねっつです。
本日もnoteをご覧いただきありがとうございます!

今回は、スパンドレルについてお話したいと思います。

そもそもスパンドレルって何なのか?設計製図の試験において、どのようなときに必要なのか説明していきます。

※この無料記事を読み終えるのに、約8分かかります。


■スパンドレルとは?

スパンドレルとは、防火区画に接する壁や床において、延焼の拡大を防ぐために設けられた外壁のことを言います。

言葉で説明しても、ややこしいですよね…。下図をご覧ください。

例えばA室から火災が発生した場合、A室とB室の間仕切り壁は防火区画しているため内部で延焼する恐れはありません。しかし、火災がA室の窓を破り、外壁と外気を介してB室に延焼した場合、B室に火災が延焼してしまいますよね?
このように、面積区画、高層区画、竪穴区画と接する外壁については、防火区画相互間の延焼を防ぐ目的から、スパンドレルを計画しなければなりません。

スパンドレルの種類には、大きく分けて3つあります。

  1. 防火区画に接する外壁について、接する部分を含み幅90cm以上を準耐火構造とする。

  2. 外壁面から50cm以上突き出した、庇、床、袖壁を設ける。

  3. スパンドレルとした部分に開口部を設ける場合は、防火設備とする。

設計製図の試験では1番と3番を採用することが主流です。

■スパンドレルの種類

1.防火区画に接する外壁について、接する部分を含み幅90cm以上を準耐火構造とする。

防火区画の壁に接する外壁は、幅90cm以上で準耐火構造の壁とします。

断面図で表すと、下図のようになります。

防火区画の壁が柱型と交差する場合、柱型の寸法は800角(750角)で計画するので、柱型を含めたスパンドレルの幅が90cm以上になるように、接壁を計画するか、開口部の位置を柱型に近接しないように計画する必要があります。
イメージ図で説明すると、下図のようになります。

▲柱型800mmであれば両袖に50mmずつ袖壁を計画し、総幅900mmの壁を作る

設計製図の試験では、比較的フリーハンドでも描けて作図量も少ないのでオススメする計画です。


2.外壁面から50cm以上突き出した、庇、床、袖壁を設ける。

▲突出した袖壁で火災の延焼を防止する計画

外部側に50cm以上の壁を計画する方法です。
設計製図の試験においては、通り芯を中心に柱を作図するので800角の半分400mm(750角であれば350mm)しか突出しないため、袖壁を追記しなくてはいません。
①作図量が増えること、②袖壁の記載漏れを犯してしまうリスクが高くなるため、設計製図の試験ではオススメではありません。

ここで、『幅90cm以上の壁』と『50cm以上の突出した袖壁』の内容について、建築基準法施行令でも確認しておきましょう。

建築基準法施行令 (防火区画)
第112条第16項
第一項若しくは第四項から第六項までの規定による一時間準耐火基準に適合する準耐火構造の床若しくは壁(第四項に規定する防火上主要な間仕切壁を除く。)若しくは特定防火設備、第七項の規定による耐火構造の床若しくは壁若しくは法第二条第九号の二ロに規定する防火設備又は第十一項の規定による準耐火構造の床若しくは壁若しくは同号ロに規定する防火設備に接する外壁については、当該外壁のうちこれらに接する部分を含み幅九十センチメートル以上の部分を準耐火構造としなければならない。ただし、外壁面から五十センチメートル以上突出した準耐火構造のひさし、床、袖壁その他これらに類するもので防火上有効に遮られている場合においては、この限りでない。

建築基準法施行令 | e-Gov法令検索


3.スパンドレルとした部分に開口部を設ける場合は、防火設備とする。

90cmの壁や50cmの袖壁を計画しない場合は、それぞれの室の開口部を防火設備にする必要があります。

設計製図の試験では、【〇防】表記を2つ書く手間が増えますが、延焼ラインにかかっている【〇防】と同じタイミングで記載すれば大した手間ではないため、設計製図の試験ではオススメします。

次に、下図のようなプランの場合を例として挙げます。

2階以上にある、ホールと吹抜けが隣接しているプランです。
この場合、ホール側に接壁を計画し吹抜けの開口部に【〇防】を計画します。

吹抜け側に、幅90cmの接壁や突出した50cmの袖壁を採用せず【〇防】で対応した理由は2つあります。
吹抜けは、なるべく日照を多く取り入れたいので開放性のある大きな開口部としたい。
②前段でも記載のある通り、50cmの突出した袖壁は記載漏れのリスクがある。
これら2点を踏まえても、やはり【○防】が最善の対応といえます。

『スパンドレルの防火設備』について、建築基準法施行令ではこのように書いてあります。

建築基準法施行令 (防火区画)
令第112条第17項
前項(令第112条第16項)の規定によつて準耐火構造としなければならない部分に開口部がある場合においては、その開口部に法第二条第九号の二ロに規定する防火設備を設けなければならない。

建築基準法施行令 | e-Gov法令検索

■試験元はスパンドレルを考慮していない?

例えば令和元年の10月に行われた『美術館の分館』において、試験元が発表した標準解答例では、外部に面する吹抜けとアトリエ室が隣接した形で計画されていました。しかし、両室共に開口部は柱型まで大きく計画されていたにもかかわらず、90cmの壁や防火設備等のスパンドレルが計画されていませんでした。また、ここ最近の某資格学校の解答例でも、スパンドレルを考慮した【○防】を記載していません。

考えられる理由としては、課題文の中で面積区画や竪穴区画等の防火区画については要求されていますが、面積区画、竪穴区画と接する外壁の構造についての要求は明示されていないからだと思います。

ですが、講師の方の多くは、ランクⅣになるリスクを防ぐためスパンドレルが発生する箇所については、防火設備等で対応するよう指導をしている講師が多いです。

■迷ったら、とりあえず【〇防】

スパンドレルについてお話してきましたが、勉強していくうちに「ここはスパンドレルが必要かな?」と迷うこともあります。

迷ったら、とりあえず【〇防】!!

これで間違いないです。
設計製図試験では、【〇防】の過多は減点されません。必要なところに【〇防】が欠落している方が、よっぽど恐ろしいです。迷ってしまったら、とりあえず【〇防】と記載しておきましょう。


最後まで、ご覧いただきありがとうございました!

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