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香川うどん県の起源 動く大地と幻の大河

香川県で本場の讃岐うどんを食べたことある人も少なくないだろう。

ツルッともっちりしたおうどんに、瀬戸内海産のいりこだし。香川の方々は、うどんに限らずいりこだしで出汁をとるらしい。香川では、セルフうどんのお店をよく見かける。ご自分でお好みに。セルフは、香川の県民性のなのか、あのガソリンスタンドのセルフも香川が発祥だという。

セルフうどんの店 竹清本店

祖谷に向かう道中、数日香川県に滞在した。特に考えもせず、美味しいうどんのお店を巡った。祖谷で動く大地が見せる絶景を調べている中で、香川に流れていた幻の大河の話を伺った。動く大地と幻の大河が、実は讃岐うどん誕生に関わっているらしい?!今日は、大歩危でみた神秘の川の続編です!

動く大地と幻の大河

四国山地の内側に流れ込む水をすべて集め流れていく吉野川。西から東へ、南から北へ、池田に流れ出す吉野川。その吉野川が池田からそのまま北へ香川県に流れていたという。それは、はるか昔の話。吉野川は香川の地を潤していた。

吉野川流域(農林水産省)

300万年前から、地殻変動で徐々に隆起したのが讃岐山脈である。ある時を境に、南から北へ流れていた吉野川が、池田で90度方向転換をし、すべての水が東に流れ出した。今では、香川県に流れる大河はなく、瀬戸内海気候により、全国的に見ても雨の少ない香川県は、水不足に悩まされている。

香川の水不足問題

香川県を空から見ると無数の溜池がある。こうして水を確保していたのだ。それでも豊富な水がなければ水田をひくことはできない。そこで選ばれたのが、小麦うどんというわけだ

ミツカン水の文化センター

昭和41年には吉野川総合開発計画に策定され、昭和49年には香川用水ができ、今では水不足は少し改善されたが、今もなお香川はうどん県として愛されている。

四国山地とうどん県

もちろん、うどん発祥には諸説あり、その歴史も戦後以降のお話と聞く。しかし根源には、四国山地が織りなす壮大な物語がある。讃岐山脈の南では増水に備え、北では水不足に対応し、工夫して暮らしているのだ。

実演手打ちうどん杵屋

祖谷そば・そば米雑炊

せっかく祖谷に滞在しているので、祖谷の話もしよう。

実は、この地域で選ばれたのも穀物だった。理由も、水田がひけないから、と同じである。祖谷の場合、険しい山々で平地が確保できないことが水田をひけない理由である。それでもお米への憧れを捨てきれない人々はそばの実をお米で代用したそば米を雑炊にしてを食べたとされる。それが祖谷の郷土料理 そば米雑炊として今に伝わる。

祖谷で育てられていた穀物

ぜひ祖谷の郷土料理については、noteにまとめているのでみてほしい。

水不足でなくても、食べられないお米。日常的に食べられることをありがたく感じてくる。祖谷の人々は、わずかに緩やかな傾斜地を見つけては、段々畑をつくらず斜面地に畑をつくる。そのような "にし阿波の傾斜地農耕システム"は世界農業遺産に登録されている。次回は、祖谷の人々の暮らしに迫ります!

斜面地に暮らす祖谷の人々


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