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初めての海外旅行で生牡蠣にあたった話

『海外旅行』みなさんはしたことがあるでしょうか。
このようなご時世になり、なかなか海外旅行にも行けない現在。
今日は僕がこれまでの人生で一回だけ行ったことのある、海外旅行の話をしてみましょう。大学生の時に、韓国に行きました。

一度も海外に行ったことのなかった僕は、初めての海外旅行に大興奮でした。
外面は大人の男性でも、現地に降り立った瞬間に「海外だ!やった〜!」と、脳内では裸足の半袖短パン男子が大暴れしていました。
初めての海外は、何もかもが新鮮。街に溢れる文字が日本語ではなくて、 ハングルってだけで「かっこいい文字ですね〜!」と、脳内男子が歓喜ジャンプしていました。

そんなハングルまみれの街なのに、ホテルのテレビを付けてみたら、
普通に妖怪ウォッチとかやってるんですよね。
ジバニャンがめちゃくちゃ流暢に韓国語を話している時点で結構面白かったのですが、 語尾はちゃんと「〜〜ニャ!」と言っていたので、もう最高かよってなりました。 友達含め4人での旅でしたが、同室の友達であるO君と大興奮です。

さて、韓国の夜になり、僕たちは街へ繰り出しました。 夜ご飯タイムです。
色んなお店があり、 定番どころはあらかた食べ終えていた僕たちは、 とある魚市場に入り、そこにあった名前もないようなひとつのお店に入りました。
韓国ってすごいんですよ。とにかくご飯がすっごいたくさん出てきます。
『は?そんなの頼んでないんだが?』っていう品目が雪崩のように出てきます。
さらにそのお店のご厚意で「牡蠣が余ったから、プレゼントしてやんよ!」と、 僕たちに4つ、生牡蠣をプレゼントしてくれました。
なんとラッキーなことか!
友達のうちの一人はほんのりと体調を崩しており生牡蠣を食べることができなかったため、友達のO君が二つ食べ、素敵な晩御飯となりました。

さて、晩御飯の後、韓国といえばカジノです。
普通にホテルの屋上とかでやってるんですよね。 新鮮!
頭の中は小さな半袖短パン男子が大暴れしていましたが、外見は大人なので無事入れました。 友達のO君は、ものすごい豪運っぷりを発揮し、めちゃくちゃ勝ってて、儲けを出し続けていました。僕はほんのり負けました。
日本では味わえない、その場内のなんとも言えない高揚感を僕らは味わい尽くしました。 感情高まるプレイヤーを対面しているディーラーさんの感情が一切なかったのも、面白かったです。 胃のあたりがふわふわとするような不思議な満足感を得た僕らは、ホテルへと戻りました。

さて、次の日の朝です。
O君と同室だった僕は朝、O君の嘔吐する苦しそうな声で目が覚めました。
「何事?!」と思い、飛び起きると、顔が真っ青なO君。
なるほど、ホテルのお水が合わなかったのか。
聞いたことがあります。海外のホテルのお水は飲んじゃダメだと。
とにかく大変です!別室で泊まっていた友達に連絡を入れ、 
すぐにホテルの人にタクシーを呼んでもらい、近くの病院へと僕らは急ぎました。
病院に担ぎ込まれたO君は即座に車椅子に乗せられ、
診察室へと運ばれていきました。
海外の病院で車椅子で運ばれる友達を見る経験は、この先もうないでしょう。
貴重なものを見せてもらいました。

病院で点滴を打つことになったO君。
診察が終わり、友人代表で、僕が医師の話を聞くことに。
その説明を受けているうちに、あることが起きたんですね。

「ん…?あれ…?僕も気持ち悪くなってきたんだが…?」

と思ったのも束の間。僕は立てないほど気分が悪くなり、
トイレまで這いつくばり、便器に顔を突っ込み、
しばらくうずくまることになってしまいました。

病院のお医者さんも、お連れの方が突然体調を崩し、診察室を這いつくばりながら退室していったため、不思議でしょうがなかったことでしょう。

なぜ僕は体調を崩してしまったのでしょうか。僕はホテルの水を飲んでいません。 
一体僕たちの身に何が起きているのでしょうか。

そうです。生牡蠣です。 間違いありません。
生牡蠣にあたりました。大当たりです。
「サービスしてやんよ!」と牡蠣を差し出してくれた店員さんの顔が、
怒りの感情とともに、何度も浮かびました。喉元を過ぎれば熱さを忘れる、と言いますが、この時ばかりは忘れられませんでした。
ということで、生牡蠣を二つ食べたO君は、より重症だったってわけです。
僕たちは病院のベッドを借り、しばらく休養することになりました。

しかし、この日は旅行の最終日。帰りの飛行機の時間は迫ります。
入院することもできません。
体調が悪すぎる僕とO君は、なんとかギリギリ歩けるくらいに回復したのち、
重い体と巨大な旅行かばんを引き摺りながら空港に向かうことになりました。
O君がカジノで大稼ぎしたお金は、全て診察料に消えました。
そこはちょっとウケました。

空港へ向かう帰路は行きの高揚感とは相まって、そこそこの地獄が待っていました。 まずは、電車移動が気持ち悪い。
何度も電車を乗り継ぎましたが、顔が真っ青なジャパニーズボーイが二人雪崩れ込むように電車に入ってきて、ポールにしがみつきながら床にへたっと座り込んでいます。きっと現地の方々を驚かせたころでしょう。
顔面蒼白ゾンビが二人、公共交通機関に乗り込んできたのですから。
でっかい銃で頭を撃たれなくて本当によかったです。

そして『あと何駅で目的地に着くのか』も分かりません。
だって韓国語、読めないし。
そして体調が最悪の状態であったら、普通にハングルの字体が気持ち悪く見えちゃいましたね。 馴染みのない言語は、体調不良との相性バツです。
帰りの飛行機も地獄でしたが何とか乗り込み、日本に向けて飛び立ちました。

全く無事ではないまま国内に戻った僕たち。
日本の空港の検疫所での体温測定で見事な高熱スコアを叩き出した僕たちは、
そのまま夜間病院に送られました。
「牡蠣にあたったみたいです…」とゾンビのような聞き取れるギリギリの発話でお医者さんに言ったのち、 なぜかインフルエンザの検査をさせられました。なんで?
普通に陰性でした。

 何が起こるかわからない海外旅行。
でもだからこそ、こうやって今でも記憶に強く残っているのかもしれません。
ホテルで見た妖怪ウォッチのジバニャン。アニメの最終回にはジバニャンが体調を崩し、最後に毛玉を吐き出す、という描写があるそうですが、完全に今回の旅の伏線になっていたということですね。綺麗な伏線をしてしまいました。
感染症の流行が落ち着いたのちにはまた、『海外生牡蠣チャレンジ』をしてみたいものです。嘘です。もう絶対食べません。

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