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アシドーシス 分類 まとめノート

 こんにちは、すい@医学生です。
 今回は、アシドーシスとアルカローシスをどう判定するか、また呼吸性や代謝性の分類、代償性かどうかはどう判断するかについて説明していきます。
 生理学において必ず学ぶ範囲です。
 血液ガス検査や尿検査を見る時にも必要になります。 

1.全体像

 まずは、全体像にあたる表を示します。こちらを理解するのが最終目標となります。

アシドーシス、アルカローシス

 まず表の成分についてです。そもそも、

 アシドーシスとは体が酸性の状態になっていること
 アルカローシスとは体がアルカリ性の状態になっていること

です。
 では、表にあるPaCO2とHCO3⁻とは何のことでしょうか?

 PaCO2は血液中に溶けている二酸化炭素量のことで、

 血液中のCO2は、
     CO2 + H2O → H2CO2 → H⁺ + HCO3⁻

となり、H⁺すなわち酸、を放出する酸性物質であると言えます。
 つまり、PaCO2とは酸性物質とみなすことができるのです。
 以後、ここからはPaCO2を酸として扱っていきます。

 次に、HCO3⁻についてです。

 血液中のHCO3⁻は、
     H⁺ + HCO3⁻ → H2CO2 → CO2 + H2O

と反応します。
 注目してほしい点は、HCO3⁻「酸であるH⁺を吸収している=アルカリ性物質」ということです。
 以後、こちらもアルカリ性物質とみなして扱っていきます。

 では、この表を理解するために、アシドーシスとアルカローシスについて順番に解説していきます。
 代償性については最後に説明します。

2.アシドーシス

アシドーシス

 そもそも、ヒトの血液中のphは7.35~7.45を正常値としています。
 よって、phが7.35より小さい場合は、アシドーシスになっていると判断することができます。

 したがって、アシドーシスでは「酸性物質が増えている、または、アルカリ性物質が減っている」状態ですね。
 つまり、PaCO2は増えているか、もしくはHCO3⁻が減っているのです。

 このうち、CO2は主にから排出され、HCO3⁻は血液中にあるので主に腎臓から排出されます。
 したがって、CO2が増えてアシドーシスになっている時を呼吸性アシドーシスといい、HCO3⁻が減ってアシドーシスになっている時を代謝性アシドーシスと言うのです。

 これらをまとめると、
 CO2↑が原因でアシドーシス ⇒ 呼吸性アシドーシス
 HCO3⁻↓が原因でアシドーシス ⇒ 代謝性アシドーシス

3.アルカローシス

アルカローシス

 phが7.45より高い場合をアルカローシスと言います。
 こちらは、アシドーシスと逆で「酸性物質が減っている、または、アルカリ性物質が増えている」状態ですよね。
 すなわち、PaCO2が減っているか、HCO3⁻が増えているかです。
 考え方はアシドーシスと同じなので、ややこしい説明は省いて、まとめておきましょう。

 CO2↓が原因でアルカローシス ⇒ 呼吸性アルカローシス
 HCO3⁻↑が原因でアルカローシス ⇒ 代謝性アルカローシス

です。

 これを理解するだけでも十分なのですが、人間の身体はすごいもので、アシドーシスやアルカローシスになると頑張ってphを正常に直そうとします。
 これを代償性反応といい、これによってまたアシドーシスやアルカローシスの分類があります。
 ただし、ここまでの内容を理解し、覚えていればこの先は考えたら分かります。
 そのため、代償性になるとどう動くかを覚えるのではなく、必要になったときに、自分で考えて作るのが良いかと思います。

4.代償性反応について

 どのように代償されるかをまず表でまとめます。

代償性アシドーシス、アルカローシス

 考えたら分かるのですが、例えば、あなたは今呼吸性アシドーシスとしましょう。
    呼吸性アシドーシスではPaCO2が増加していますよね。

 そうすると身体は、
 「困った。CO2が増えてアシドーシスになった。なんとかアルカリ(HCO3⁻)を増やして中和させよう」となるわけです。
 このように他の場合についても同様にして、代償するわけです。

 簡単ですね。
 私は代償性は覚えるのではなく、作れるようにすると頭の中がスッキリしました。

5.疾患

 では、最後にどのような疾患がアシドーシスやアルカローシスをきたすのかご紹介いたします。
 なかでも国試に出題されているものに絞っていますので、ぜひ読んでみてください。

 ・過換気症候群(過呼吸)
   呼吸が必要以上に行われ、CO2が排出されすぎる疾患。
  CO2↓ ⇒ 呼吸性アルカローシス

 ・低換気(肺疾患など)

  呼吸が足りず、CO2が蓄積する。
     CO2↑ ⇒ 呼吸性アシドーシス

 ・嘔吐
  胃酸が排出され、HCO3⁻が相対的に上昇。
  HCO3⁻↑ ⇒ 代謝性アルカローシス

 ・ケトアシドーシス
  糖尿病やアルコールによって、ケトン体(酸)が産生され、中和に使われるHCO3⁻が消費的に減少する。
  HCO3⁻↓ ⇒ 代謝性アシドーシス

 ・乳酸アシドーシス
  敗血症、出血、心疾患などによって起こる。乳酸が増えることで、中和に使われるHCO3⁻が消費的に減少する。
  HCO3⁻↓ ⇒ 代謝性アシドーシス

 ケトアシドーシスや乳酸アシドーシスについては、生化学や生理学の知識も必要かと思いますので、少し難しいですね。
 ケトン体や乳酸が酸だと覚えていれば、ややこしくHCO3⁻を介さなくてもアシドーシスと分かるので、あくまでも考える際の一例だと思ってください。

 ちなみに、肝臓には、糖を貯蓄する役割やアルコールなどを解毒する役割、糖の代わりのケトン体を作る役割などがあります。
 糖尿病では、細胞に糖の利用を促すインスリンが不足するので、糖が血中に増えることで高血糖になります。細胞内は糖が不足しているので、糖の代わりとなるケトン体を合成するのです。


 以上で、アシドーシスとアルカローシスの見分け方はおしまいです。
 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 



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