前日、夜中3時まで女友達と酒を飲んでいた。二日酔いだ。
いつもよりも早く咲き始めた桜が綺麗だったので、公園のブランコで酒が進んでしまったせいだ。桜のせい。
今日は初デートの予定を組んでいた。マッチングアプリで出会った2歳年下の彼とは、2週間ほど毎日メッセージのやり取りをしていた。

朝から降っていた雨がようやく止んだ頃に待ち合わせて、ハイボールとビールで乾杯をした。日本人とデートするのはいつぶりだろうと思いながら、悪くないなと思っていた。緊張からか、二日酔いのためか、なぜか濃いめのハイボールを次々におかわりしてしまい。2時間後には眠くなってきた。カウンターで隣に座っている彼は、体を私の方に向けて楽しそうにおしゃべりが止まらない。そんな彼を見ながらあくびが出てしまった。

「眠いの？」
「うん、眠くなっちゃったから帰ろうか。」

お会計を済ませて、店を出た瞬間に気持ち悪さが込み上げてきた。ああ、どうしてさっきトイレに行った時に吐いておかなかったんだろうと後悔した。だが時は既に遅い。口いっぱいに込み上げてしまったものを出さないように、唇を決して開いてはならぬと自分に言い聞かせた。幸い黒色のマスクをつけていたおかげで彼からは見えないはずだった。突然無口になる私に彼が注意を向ける。どうしていいかわからない私は、吐き出すわけにもいかず、渾身のガッツでそれを飲み込んだ。

「トイレに行きたい」

ようやく辿り着いたコンビニのトイレで無事に吐ききり、スッキリして家路に着いた。電車に乗る前に彼がシメにラーメン食べにいかないかと誘ってきたが、雑に断ったのを覚えている。
そして彼とはそれ以降LINEが続かなくなった。私からメッセージを送ると返事はくれるけれど、会話が終わればそれで終わり。彼が自主的に連絡をくれることはなかった。

正直少し残念だった。完全に自分が悪い。
反省した。