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連載小説『エミリーキャット』

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(2018年・8月~現在も連載中)画商の彩は誰もが認めるキャリアウーマン、優しい年下の彼と婚約中。 然し本当は人知れず幸せよりも生きづらさに喘ぐ日々を送っている。彩はある日、森奥… もっと読む
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#異世界ファンタジー

小説『エミリーキャット』第76章・メリーさんの羊

若い癖に寝つきの悪い貞夫は何度も寝返りを打ち、枕の上で荒々しいため息をついた。 そして思…

小説『エミリーキャット』第74章・abyss

『彩さん大丈夫?』 順子は車で自分の家へ共に帰った彩が、家に着くなり少し横にならせて欲し…

小説『エミリーキャット』第73章・シレーヌ達

『奇妙なもの?』 刑事はまるで何かに取り憑かれたかのような顔つきになって頷いた。 『彼女…

小説『エミリーキャット』第70章・サエリとキヨリ

店へ入ると同時に赤銅のカウベルが三段落ちの立体細工を施した、いかにも年代ものの扉の上でガ…

小説『エミリーキャット』第69章・Labyrinth

順子の家から帰宅した彩はマンションの鍵がかかっていることを確かめても尚、怯々と踊り狂う胸…

小説『エミリーキャット』第67章・燠の記憶

マンションの敷地内は延々と続き呆れるほど広かった。 彩は歩きながら果たして本当にこの地を…

小説『エミリーキャット』第60章・孔雀の夢

閑静な住宅街が近づくとそれぞれの荷物を少女達は順番に一つずつエミリーの肩から取ってゆき、『ご苦労様』と言ってそれぞれの家の門扉を開けて帰っていった。 同じように梗子も『ありがとうガーティ』と鞄と傘をエミリーの身体から取り去り、抜き取ると伏し目がちに家の中へと帰って行った。 “ガーティって呼んだ… 梗子はもう私をダルちゃんとは呼ばなくなったんだ…” エミリーは6人ぶんの荷物運びから解放されそれでもよろめきながらヒョロヒョロと細長い四肢を軋ませながらまるで長い影法師か独りぽっちの

小説『エミリーキャット』第57章・悲しみとダンス

日本へ来てエミリーが直面したことはアメリカに居た時から薄々感じてはいた幼い中、常に鈍痛の…

小説『エミリーキャット』第45章・可愛いアデル

『彩は明日、もう帰ってしまうのね…』 ブルーベルの花が一斉に咲き揃った、蝶達の舞う暖かい…

小説『エミリーキャット』第19章・森は生きている

大きく渦を巻くようなマジェンダの濃霧(のうむ)は、妖しく動く大理石模様のようにゆっくりと流…

小説『エミリーキャット』第5章・赫い泪

『あれは誰だ?あの女は誰なんだ、なんで妹は知っていて俺だけが何も知らない?』 慎哉は春寒(…