小説『エミリーキャット』第60章・孔雀の夢
閑静な住宅街が近づくとそれぞれの荷物を少女達は順番に一つずつエミリーの肩から取ってゆき、『ご苦労様』と言ってそれぞれの家の門扉を開けて帰っていった。
同じように梗子も『ありがとうガーティ』と鞄と傘をエミリーの身体から取り去り、抜き取ると伏し目がちに家の中へと帰って行った。
“ガーティって呼んだ…
梗子はもう私をダルちゃんとは呼ばなくなったんだ…”
エミリーは6人ぶんの荷物運びから解放されそれでもよろめきながらヒョロヒョロと細長い四肢を軋ませながらまるで長い影法師か独りぽっちの