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【雑記】書物占いってけっこう面白くない?〜何でも簡単に占える、古典な辞書「言海」でやるビブリオマンシーのおすすめ〜


職業柄、クリエイティブに携わることが多いのですが、そうすると、どうも身の回りにいらぬ資料があふれます。いつか何処かで使うだろう、なんてことを考えて、様々な書籍や資料、図録等に手を伸ばしてしまう。

それは、仕事で必要に駆られて用意するものもありますが、全く使わないものもあるんですよね。そんな資料の代表がこの「言海」という辞書です。


言海ってなんスか?

『言海』(げんかい)は、国語学者の大槻文彦が明治期に編纂した国語辞典。「日本初の近代的国語辞典」とされるものだそうです(wiki調べ)。その発行は1889年。今から130年以上前です。

扱われている言葉は、今でも使われている言葉に加えて、明治時代において一般的な物事、用語などが文語で書かれています。文語ですから現代人にはややとっつきづらい辞書でもあります。

ほんで、辞書なんてものは、殆どの場合、ネットでググれば済む時代ですから、正直な所、僕の業務上あまり必要ではなかったりします。

それでも、なにか心惹かれてしまうものがあります。辞書からにじみ出る歴史と伝統、格式に加えて、開けば目に飛び込んでくる文字通りの言葉の海。無作為に浴びせられる言葉、文字列と意味の刺激が楽しい。パッと見開き、文字をなぞれば「へー、ふーん」となり、運が良ければトリビアが1つ増える(そして忘れる)。

そもそも、なんでこんな物を買ってしまったのかというと──旧仮名遣いの絡んだ仕事をする必要があり、ならば買っておけ先輩に言われたからだったりします。結局使わなかったのですけどね。

そして、しばらく忘れていたのだけれど、後にはたとこの辞書の思い出すことになります。

その理由は三浦しをん原作の「舟を編む」というアニメを見たから。

みなさんご存知「舟を編む」は、辞書を作る物語で、劇中この「言海」が言及されたのです。辞書をつくるという行為が、どれほどの労力を必要とするものであるのか、その長い年月の上に生み出された分厚い書籍の価値にあらためて気付かされるお話になっているんですよね。

だからといって使い所がさほどあるわけでも無いのだけども──


それで、じゃあこの本棚の隅においやられていた書籍を改めて使えないかと考えるわけです。辞書としての使い方と、本棚の安定したブックエンドがわりと、カップラーメンのフタ以外での用法をちょっと思案してみたのです。

その結果、書物占い/ビブリオマンシーという使い方もあるよなあ、と思い至る。

書物占い/ビブリオマンシー?

書物占いとは、文字通り、書物を使った占いです。

用法としては、書籍を一冊用意し、診断したい内容を頭に思い浮かべ、その本に触れ、ページをめくりそのページ内を指でなぞる。そしてその指先の示す言葉、文節、前後の文脈から意味を拾って、自身の占った内容に関連するヒントを引き出す、という占いです。

この占いは、実はけっこう昔から行われているもので、歴史的に遡ると、古代ローマにソーティーズという書物を使った占術があったそうです。その時代では、ホメロス、ベルギリウス、聖書のどれかを使って行われていたとのこと。

で、その書物占いというのは、古くは、宗教に紐付いたもので、掲示を得るために行われていたのですが、これが簡易で汎用性が高いことから、現在も、密かにやっている人もいます。

手順は先に述べたとおりですが、細かくは以下の通り。

  1. 答えが書いてありそうな本を手にする

  2. 本の背を下にして立て、自然に開くに任せる。あるいは無作為に手で開く。

  3. 目を閉じて、文節を指で選ぶ。

ちなみに、図書館などでランダムに本を選ぶところから始めるという手法もあります。図書館にいく⇒無作為に本を取る⇒ページを開く⇒文節を指差す、というプロセスですね。もはやここまで来ると、辻占いみたいか。

文節の読み解きは、想像力に任せます。タロットとかやったことがある人は、けっこううまくやれるんじゃないかな。

その単語なり文章なりから、ネガティブなことボジティブな事を想像して、一つの結果を見出します。あるいは、連想ゲーム的に、問いの答えを導きだしたり、迷っている物事に方向性をつけたりするのです(占いは、当たる当たらないではなく認知の整理整頓手法)。

開いたページに、そのままの回答が書いてあることもあれば、すこし考えないと示唆が見えないようなものもあります。ですが、言葉に想像をめぐらす余地がある、というところも含めて、面白い占いだと思います。

本は何でも良かったりするのですが、一方で専用の書籍も売られていたりします。

古本屋で探してくるような、古い辞書や古典書籍が書物占いにお薦めではありますが、案外「火の鳥」とか「AKIRA」とか「ナウシカ」とか、人生が詰め込まれている長編漫画でもビブリオマンシーできるんじゃないか、なんてことも最近おもったり。

うん「ワンピース全巻占い」とかやったら、一旦エグいか。

それはそれとして、やっぱり辞書でやるのは、わかりやすくて雰囲気があります。とくに古語が出てくるようなもの、ということで──言海はおすすめなんですよね。文庫サイズの手軽さがいい。

さらに雰囲気を出したい人は、書物占い用の書籍を革カバーでつつんだり、タロットクロスなんかを敷いて、使わないときはくるんでおいたりすると、気持ちが乗るかもしれませんね。

興味がある人は手をだしてみてください。

占ってみる

で、最後に──せっかくなのでこの記事が伸びるかどうか占ってみます。
出てきたのはこちら。

きやつ:彼奴ノ約「人ノ命ヲ断チ殺スモノナレバ、きやつ二物ノ寂シサヲ知シラセムト思フナリ」

言海より

なんだかちょっと物騒なのでてきました。

言海が書物占いにおすすめなのが、用語に対して割と変な用法が併記されることです。これがおみくじとかの変な文語に見える占いっぽくて。

そして、上記から意味を取るなら「イキって調子こいてると足元すくわれるぞ」とか、「用法を間違えると危険だから注意してね」とかか(文語苦手)、僕が拾って感じた意味はそんな感じでした。いずれにしても、シンプルにあんま良い意味ではない、警告っぽい答えが出てる気がするなあ。

駄目じゃん。

本の絵:かのえの


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