甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし

東アジアに生息

ツノがある方がオス

メスには立派なツノはないでしょう

メスには立派なツノはないでしょう

「はい、いったん止めまーす」

「はい、ありがとうございます」

「アイコさん、すみません」

「はい」

「カブトムシのこと言ってました？」

「はい？」

「カブトムシの説明をしてましたかね？」

「あ、えー、カブトムシという曲です、はい」

「あ、そうなんですけど、いただいてる歌詞とだいぶ違ってたので…」

「あ、すみません、2番の歌詞とか歌ってたりしましたかね？」

「いや、2番というか、どこにもないカブトムシの説明をしてたので」

「すみません、あれ？なんでやろ？」

「ちょっとサビのところからもう一回やらせてもらっていいですか？」

「はい！お願いしますすみません！」

「では、収録してまーす、いつでもどうぞ」

少し背の高いあなたの耳に寄せたおでこ

甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし

子どもたちに大人気

虫にしては少し硬い

「はい、止めまーす」

裏側　見るのは

「あ、いったんやめてください！」

避けるべきでしょう

「アイコさん！聞こえますか！？」

「は、はい！」

「カブトムシのこと言わないでください！」

「え、でも、カブトムシなんですけど」

「カブトムシなんですけど！カブトムシの説明が多いです！」

「えーそんな」

「そんなって、ちょっとカブトムシに脳が持っていかれてるんで、歌詞改めて確認していただいていいですか？」

「あ、歌詞はぜんぶ入ってるんで大丈夫です！」

「いや入ってないじゃないですか」

「入ってます！作詞者なんで！」

「じゃあ歌詞通りに歌ってください！」

少し背の高い

「まだ収録してないです！」

あなたの耳に寄せたおでこ

「はい収録してます続けてください」

甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし

「持ってかれないでくださいよ」

幼虫ぜんぜん違う

「おい！」

クワガタのライバル

「ライバルってなんや！」

樹液に群がる

「やめろ！」

違う虫も群がる

「群がるけど！」

意外と足が危険

「持つとき引っ掛かって痛いやつな」

持つとき引っ掛かって痛い

「言ったわ！」

甘い匂いに誘われたあたしはかぶとむし

「聞いたわそれ！」

黒いのと茶色いのいる

「ずっと浅いねん知識が！」

メスにはあまり価値ない

「なんてこと言うねん」

男尊女卑

「歌詞やとは思えへん」

育ててみたらメスだった

「聞いたことあるカブトムシのおもしろエピソード！」

家に出たらキツイ

「もう無いんやったらええって！」

殺さずに逃す1択

「絶対そうやけど家に出たら」

生涯　忘れることはないでしょう

「殺さずに逃す1択を？」

生涯　忘れることはないでしょう

「カブトムシが家に出たら殺さずに逃す1択を？」

「はい！」

「はいやないねん！撤収！」

「お疲れ様でした！いっぱい告知します！」