見出し画像

【採用戦略】自社の採用力分析から始めよう

ここでは採用戦略を立てるうえで非常に便利なツール『HR Forcaster』をご紹介します。私のパーソナルトレーニングは初手でほぼ必ずこれを使います。

Forcasterは和訳すると『予測』。明日の天気を予測するように、このままだと採用できるかどうかがわかり、その予測をもとに「どう変われば採用できるか」も検討できてしまうツールです。

比較もなく、何故決め打ちでご紹介するかというと、他にこんなツールがないからなんですね。早速ご紹介しましょう。


システムの概要 このサービスでできる4つの事

HR Forcasterはパーソルキャリアさんがリリースしている採用力診断ツールです。転職サービスdodaが蓄積した100万件以上のデータをもとに、企業の採用力を可視化して戦略を立てやすくするツール。なのでアルバイト募集には残念ながら使えません。中途採用、契約社員採用の提案を行うときに活用しています。

このサービスでできることは大きく4つ
・現在の採用力診断
・採用するための戦略立案(何を変えれば採用難易度が下がるかの検討)
・求人票の作成(人材紹介へのオファー資料作成に超便利)
・採用市場動向の検索

利用は無料です(なのでおすすめしている)。ただし登録手続きは必要なので誰でもすぐに使えるわけではないですが、この4つが無料で使えるのは採用を当事者として考える人、サポートを行う人にとっては非常に有益ですので是非登録してみましょう。

採用力診断の進め方

ログインしたら、まずは本丸のこの仕組みを使ってみましょう。『ターゲット設定』のタブを開いて自社の(もしくは支援先の)求人情報、求める人材ターゲットを入力します。すると明らかになるのは以下です。

・採用難易度
・人材紹介をベースにした入社までの日数
・条件を満たす候補者の数(dodaデータ内の数)
・求人倍率(dodaにおける倍率)
・採用競合する同業他社求人数
・採用競合する企業の提示年収
・この業界を希望する求職者の転職理由
これらが一覧で可視化され、自社の採用力がどのレベルで、どれくらい戦えるものになっているのかがひとめでわかります。

実際に「年収240~320万円の契約社員の販売スタッフ」で診断を行ってみましたが、募集ターゲットの人数はかなりいて、ライバルも少なく(doda上では)採用難易度は高くないが、ネックは給与で、希望年収とは100万円以上の開きがある。といった結果が出てきます。

販売×東京の実際オファー年収300万円での画面  2024年2月作成
販売×東京の実際の画面 2024年2月作成

現時点での自社の採用力がどのレベルで、このままで戦えるのか、厳しいのか、そういった静止画の状態がほんの10分かからないうちに判明します。現時点では、採用したいターゲットは結構存在し採用難易度はそう高くはないものの、自社の募集条件では苦戦しそうな状況であることがわかります。

採用戦略の立案

静止が画わかった次のステップは、どうやれば採用力が上がるかの戦略立案です。シンプルな方法は給与を変えるという方法。オファー年収を現在の300万円(250~350万円の幅)から、350万円(300~400万円の幅)にあげるとどうなるか?というと

販売×東京の実際オファー年収350万円での画面 平均年収がグイっとあがる  2024年2月作成

平均年収での採用力スコアが2から4に一気に変わります。わかりやすいですね。そして、サイト上部にある『人材条件変更』をクリックすると採用ターゲット自体を広げたり、狭めたりできます。これは候補者数に影響するので採用難易度が変わってきます。

この企業は非常に有名な職場で、外国人観光客も多く訪れる人気のスポットです。本当は英語がある程度話せる人が欲しいのです。でも募集ターゲットをそこまで狭めると採用が難しくなると想定しており、門戸を広く販売職経験が半年以上あればOKとかなり難易度を下げて募集しています。
その甲斐もあってか現在の採用条件でも募集をすれば20名近く応募もあって、定期的な欠員補充レベルでは何とか採用は行えています。

販売×東京の実際の画面 2024年2月作成

でも今後のインバウンド増加を考えると、もともと英語が会話レベルで話せる即戦力レベルの求人も行いたい。そうなると募集活動にどれくらい影響が出そうか?そういったことも事前にリサーチができます。

さきほどの募集条件に、日常レベルの会話英語力を追加し、データ出力を行います。

販売×東京の実際の画面 2024年2月作成

この条件で、この企業の採用力はどう変化するかというと、、、

販売×東京の実際の画面 語学力の要件を追加 2024年2月作成

一気に候補者数が下がり、募集競争が過酷なものになっていくことがわかります。これを見ながら、「やはり募集時に高い語学力を求めるのはやめておこう」や「語学力が高い人をの即戦力は、契約社員を正社員に変えて募集してみよう」「給与や待遇を上げて、違うポジションとして採りに行こう」などの戦略を立てていくことができます。

応募者層をイメージすることもできます

求人条件に合致した人物はどんなイメージになるのか?実際の登録者をベースにした具体的な人物像のサンプルも提示してくれます。
この募集条件で求人活動を行うと、どういった経歴の人が応募してきそうかが把握できると、仮に人材紹介を使って求人活動を行うならエージェントに募集ターゲットを伝えやすくなり、彼らも候補者を探しやすくなります。求人広告で公募する場合も、広告代理店の原稿制作担当が求人広告を作成しやすくなります。人事担当者とパートナー企業の意思疎通が図りやすくなり、手戻りも少なくなり、仕事が進めやすくなります。

販売×東京の実際の画面 2024年2月作成


他にもこんなことができる

このほかにも、HR Forcasterには求人票作成をナビゲートしてくれるヒアリングノート機能、最新の採用相場を提示してくれるトレンドキャプチャーという機能が搭載されています。

ヒアリングノートは、表示されるナビゲーションに沿って必要事項を入力すると、結果的にその企業の特徴や他社との違いがしっかり記載されたうえに、求職者が知りたい情報が網羅される求人票が作成されるようになっています。これを人材紹介のエージェントや求人パートナー企業へ提供することによって、採用力を高めることもできます。

トレンドキャプチャーは、採用難易度がどう変わってきているのか、求人数や候補者の数がどう推移しているのかを3年単位で把握するデータ機能で、候補者数の増減傾向を見ることで、どの時期に募集をすると難易度が軽減されるのかの傾向がつかめ、募集時期の検討に役立ちます。提示年収額の傾向を見れば、横ばいなのか上昇傾向かで募集時の提示額を変えるべきかどうかの判断ができます。戦略立案の補助機能として使えます

最後に

このツール、もともとは経営や現場の無茶な要望に人事が困らないよう、人事の理論武装を助けるために作られたツールだと聞いています。これを見せながら、社長や営業部長と採用の戦略を立てる。「社長のおっしゃることはわかるので募集給与あげていただけませんか?もしくは募集費用をもっと出してもらえませんか?」「部長が欲しいレベルの人材は数がいないので、レベルを妥協するか採用完了日数を待っていただくかをお願いできませんか?」という会話が行えれば人事の方も言われたい放題の世界から解放されて気持ちが楽になるのではないでしょうか。

求人活動における戦略の立案は、求人広告の営業やエージェントに丸投げすることが多く、経営層や採用担当者が採用環境やツール相場をつかみに行こうにもどこから情報をとったらいいのかわからないのではないでしょうか?

このツールを活用する事で自分たちでも採用戦略を立てることができれば、これからの採用難時代に負けない方法を検討することができ、自社の採用力を高める事にもつながっていくのではないでしょうか?


おまけ

現在、投稿しているnoteの内容をまとめ、ITが苦手な人でも採用~離職防止までの活動を便利に進める入門書籍を作成しようと進めております。順不同の五月雨でどんどん投稿してまいりますので、応援をよろしくお願いいたします。


この記事が参加している募集

採用の仕事

仕事について話そう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?