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世の中本当に便利になりました。様々なものがコンピューターで管理されるようになり、以前に比べて働く側は本当に楽になってきたとともに、いろんなものが複雑になってきたように思います。
新しいから良い。古いから悪いというのは、それぞれの価値観からくるものなので一概には言えないのですが、どうも世の中の動きとしては、

最新が最良であるという認識を持ってしまうのは、少し寂しいような気もします。

やはり人が見るというのは大切だと思っていて、特に介護の分野ではいかに人が関わって行くのかと言うのが大事です。その上でコミュニケーションというのは本当に大事になると考えます。
私はもう一線から退きましたので、現役の方々にああだこうだは言いたくはないのですが、しかしながら元プロとして譲れない部分もあります。
先日知り合いから、母親を老人ホームに入れたいので母親にあった施設を考えてくれないかと相談がありました。もちろん私がそういうことを決めるものではないという認識はあるのでお断りをしましたが、何も経験がない人だと、何を決め手にしたら良いかわからないとのことでしたので、相談だけは乗るよと伝えていました。
その方は経済的に裕福な方ですので、基本的にはお金に糸目はつけません。ですので超高級と言われているところも選択肢になるわけです。

とりあえず、「超高級だから優秀なわけではないよ」ということだけは忠告しておきました。

時は過ぎて、先日ちょっと一緒に施設を見てくれないかと相談がありました。ご自身で探していていいところを見つけたので、意見を聞かせてほしいとのことでした。そこはお値段も設備に関しても最新で、一般階級の私では当然届きようもないところです。様々なものがコンピューターで管理されており、様々な加算に関しても取れるくらいの充実した設備です。働く職員としては申し分ない施設ではないのかなと思いましたが、

「私には２つ違和感があるよ」と伝えました。

１つ目は様々な設備が充実されているおかげからか、職員が居室を訪問している様子がほとんどない。もちろんコンピューターと監視カメラが設置されているので、それで観察はできるのでしょうが、人の温かみというのが全く感じない。
２つ目は管理者の方はベテランのようで、経験は豊富なんでしょうが、発言に対してエビデンスが全くない。経験だけで物事を話して、その経験が正しいと思い込み、ましてやそれを家族や職員にも自慢げにひけらかしている。案の定私が少し突っ込むと、全く答えることは出来ず。認知症の方が興奮している状況でも、経験があると自信を持っていっている割には、全く落ち着かせることは出来ず、見かねて私が少し介入すると、すぐに落ち着いた状態になる始末。
知り合いには、「ね。高級だから良いということではないと言ったでしょ。大事なのは暮らしている方が、いかに穏やかに暮らせるかだから。やっぱり人なんだよ。」と伝えたところ、何を思ったのか、「全額融資してあげるから、施設を作ってくれない？」と突拍子もない提案をされたので、

「お断りします」と笑顔で返しました。