香織

夜より昼の方が気持ちよく眠れる

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夜より昼の方が気持ちよく眠れる

最近の記事

親愛なるYへ

すごく綺麗に学ランを着ていて、広い肩幅に逆三角形の背中、細い腰と作り物みたいな腕の形。ギャハギャハ女の子見て意味もなく笑う一軍ぽい男子の中にいながら、あんまりそういうのに乗らずぽへっとしてる様子がとても良かったよ。君のそのスタンスが20過ぎた今でもあることを、とても嬉しく思う。 頭がいいのに頭の回転はあんまり良くなくて、よく私が調子に乗って君のことを話してしまってなんだか不貞腐れていたね。毎回気づいてあちゃ~申し訳なかったな、ってあとから後悔するんだけど、君は案外嫌じゃなか

    • after sunを見た一日

      朝10時から始まるということで、昨日の夜無理かなと思って寝た。が、運良く7時半には目が覚めていたので見に行くことにした。 「失われた記憶」というものにとても興味があったし、予告を見た時から絶対に泣いてしまうと分かっていた。わたしは3歳の頃に両親が離婚している。父と最近になってよく会うようになったから、別に悲観することは何もないのになぜか、昔から父親にフォーカスの当たるドラマや映画を見ると、泣いてしまうのだ。 映画自体2-3年ぶりだった。昔は予告を楽しく見ていたものだけれど

      • ラキスト

        去年と比べて本当に何もしてない秋で笑ってしまう。すごく平和。学校行く。帰ってきて妹が作ってくれた飯食う。寝る。たまにバイト行く。土日は外食。満たされている。 秋の空気なんて知らないはずがないのだ。あんなに夜ベランダで煙草吸ってたんだから。いちゃつく合図だった。意味もなく公園の周りをぐるぐる歩いたり。酔っ払って公園で暴走している友人を捕まえに行ったり。外に出てる時間が多かったから、今年もこの時期が来たと思うのは当然なのだ。 1年ぶりに吸った煙草は馬鹿みたいに美味かった。まだ

        • 高熱と別れた話

          平均体温35℃とかがネガティブを増加させているのかなと39℃近くになって思う。全身が溶けそうで、ゆっくり部屋が回転していたり、部屋が違うところのように感じたり。自分ちのレプリカに住んでいるのではないか、奇妙な感覚。些細なことがどうでも良くなっていく。 やっと熱が下がり、ものもちゃんと食べれるようになり、隔離が終わって健康をかみ締めている。と同時に学期末試験が終わり、夏の終わりと秋の訪れを感じている。 毎年テストが終わると秋になっている。19時前になってやっと空が暗くなってい

        親愛なるYへ

          付き合うということ

          noteで見かける彼氏のいる女の子の記事はどれも好きを沢山詰め込んだような綿菓子で、本当に羨ましいなと思う。いつかそんなでろでろに甘やかしてくれる人と付き合うかもしれないけど、同い年で同じ大学にいる対等な人間と付き合った泥臭いような日々も忘れないように書いておこうと思う。 恋愛とは学びだ。恋愛を経て成長するとは本当だったんだなあと実感しているところ。 友達には嫌なのに言わないことも恋人だと後々爆発の火種になるし、自分の御機嫌を取るのは大事だし、いい人ぶるとしわ寄せは必ず来

          付き合うということ

          全部去年に置いてって

          10月終わりに付き合ってから2ヶ月がほぼ今年の記憶を締めているような……訳でもないけど、色付いたのは確かかもしれない。付き合う前、バイトと宅飲みを行ったり来たりしたのも楽しかったし、友達が男1人しかおらず大学で孤独に勉強していた5月頃すら今思い出すと楽しかった気がする。 バイト先で色々揉めたことも、喧嘩をしてずっと引きずってることも。どうしようも無い気持ちは全部去年に置いていって、まっさらな今年が楽しいものであるといいな。

          全部去年に置いてって

          窃盗

            つい最近話を聞かされたばかりだからまだ全然整理がついていない。 あの人はもうここに住まないし、多分もうよりは戻らないだろう。 修復はないだろう。 彼女を思い出して笑顔になるのは時間がかかるだろう。 そのことがリアルな真実として、まだ納得がいかない心の中にただショックな音をたてて響いてきていた。    『アムリタ 下』よしもとばなな 空気が、別れの気配を吸い取って静かによどんでいる。昨日まで、この時間には同じ屋根の下で眠っていた人が、多分永久にその暮らしに戻ることは

          あやしうこそものぐるほしけれ

          暑いのは嫌いだけど夏は好き、という感覚を全部言わなくとも分かってくれたこととか、夏の空は真っ暗ではなくグレーだとなぜかキレ気味に言っていたこととか、電車で隣に座っている時もカフェで外を見ながらカフェオレを飲んでいる時もマルジェラの香水がずーっと香っていて、バイトをしていてもたまに夢みたいに香って、鼻から離れないとか。 でも会う機会が無さすぎて、自分からしなきゃ全然連絡すらなくて、でも食事を重ねる度態度は軟化していって、私のやっていることが正しいのかよく分からなくなっている。

          あやしうこそものぐるほしけれ

          シアンブルー

          前書いた日記を読み返したら、件の男友達を好きじゃないとか言いながら「……|д゚)チラッ」みたいな媚びる感じがにじみ出てて、純粋に気持ち悪くて泣いた。 黙示録は抜け、去年ほど病んで退屈な梅雨を過ごさなくてもよくなりそうでほっとしている。 ①男 学校や職場で毎日顔を合わせる機会があって、徐々に距離を詰めて発展する恋愛ってまじでどこに行ったん?って感じの大学二年目なので、普段知り合ってどれくらいで人々が付き合うか見当がつかないんだけれど、件の男友達は間違っても付き合わなくて良

          シアンブルー

          黙示録

          アンはそっとリンド夫人の腕をはずすと、とつぜん台所を横切り、広間をぬけて階段をもとの自分の部屋へとあがっていった。 窓辺にアンは目をうつろに見ひらいたままひざまずいた。やみはこく、畑に雨が打ち付け、森では大木に嵐が 身をよじってうめき、はるか遠くからは大波にくだける音がひびいてきた。そしてギルバートが死にかけているのだ!  聖書に黙示録の書があるように、誰の一生にも黙示録がある。アンは嵐と暗やみのなかで身も世もなくねもやらずにすごしたその苦しみの夜、彼女の黙示録を読ん

          黙示録

          コバルト短編小説の新人賞、もう一歩に名前が載っていた。本当に嬉しい。まじで嬉しい。最近また人間関係で病んでいて、もうやだなー怖いなどうしていいかわかんない誰が決めてくんないかなーって元気でなかったのが嘘のように、とても楽しい。世界が明るい。長編を書いてみようと思う。

          コバルト短編小説の新人賞、もう一歩に名前が載っていた。本当に嬉しい。まじで嬉しい。最近また人間関係で病んでいて、もうやだなー怖いなどうしていいかわかんない誰が決めてくんないかなーって元気でなかったのが嘘のように、とても楽しい。世界が明るい。長編を書いてみようと思う。

          My Own Private

          3年間帰る場所だった所へ旅行に行った。 厳密に言うと、帰る場所だったのは駅から電車で10分、さらにバスで20分行ったところ。だけど都会だから、駅やその周辺の商業施設目当てで何回か家族と旅行へ来ていた。今回も。 前までは、来る度にちゃんと、懐かしかった。いつも駅は急いで通り過ぎたよなあ、電車降りて地上へ出る階段駆け上がって、空は真っ暗、これから帰るぞ!っておなじ寮の子といたよなあ、高速バス乗り場はいつも辛気臭い疲れた顔した人達が沢山いた、でも帰るのがすごく楽しくてうきうきし

          My Own Private

          あいらーびゅうべぃーべーえええぇぇぇ

          恋が死んだ。これから育てていくはずだったのに!まだ単子葉類か双子葉類かもわからないのに!!きれいさっぱり燃えて消えた。さようなら。 結局、予測不可能なこと・突拍子のないことは起こらないのだという気がしてくる。 数か月前の自分の言葉に納得させられるなんてな。そうなのだ。表向きは付き合ってなくとも、もうそんな感じなのだ。あれだけ仲が良かったら。どんなに魅力的(超希望的観測)でも、立ち入れない二人だけの歴史がある。ぽっと出のやつがどうにかなれるはずがない。 だんだん、少しずつ

          あいらーびゅうべぃーべーえええぇぇぇ

          わたしの金木犀

          先日誕生日を迎えた。成人した。名実ともに大人になってしまった。年、とか時間の概念を考え出した人って誰なんだろう。中学卒業したての15歳から私を取り巻くものと時間はとろとろ区切りの無いように流れ、それもここにきていきなり20歳ダ!というハンコを押されたような気分。私の母親くらいの年になって振り返れば19歳と20歳は明確に違ったと感じるだろう、なんて、考えただけでうんざりする。 秋にばったり立ち会う回数が増えた。その瞬間瞬間で厳粛な気持ちになる。「ちいさいあきみぃつけた」のフレ

          わたしの金木犀

          月がとても綺麗だった

          「別れて、関係がそれで終わりになるのが嫌だから付き合わない」 やってることは恋人同士と変わらないのに、なんで付き合わないの?と聞いた時の返答。付き合ってもない彼女の交友関係に口を出してくるなんて、そろそろやばいだろと話を振ったところだった。彼的に彼女は自分の好みじゃないらしく、好みじゃないのに付き合うと他に目移りしてしまい結局別れる、でも彼女とはそういう風に終わらせたくないから付き合わないのだと言っていた。彼女とずっと一緒にいるために、大学では恋人を作らないとも。 自分勝

          月がとても綺麗だった

          秋の暮

          後ろからスクーターが、前には人1人通れる程の線路を横断する道。酔いは抜けていたからちゃんとどきどきしていた。走れ!って駆け出して線路の真ん中で急に視界が開ける。たくさんの人が通り過ぎるだけの、誰も留まれない場所。想像もつかない遠い所へつながっている鉄の道に足を踏み入れ、頭の中の何もかもが無くなった気がした。左肩に一瞬感じた熱は、渡りきった時にはもう、逃げていた。 どんな気持ちで、 酔ってて気が大きくなっていたのかもしれない。どこまでも近くに寄れて、近くに見えて。それでも何

          秋の暮