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脳裏で感じる、香りの情景とは。

香りの情景とは、脳裏で見ている香りの景色になります。
ボクが、それが感じられるようになったのも嗅覚が徐々に成長するにつれて、より具体的に感じられるようになり、そしてコメントとしても表現できるようになりました。

そして、不思議なのですが、脳裏で香りの情景が感じられるようになると、美術館に行って絵画などの見え方が変わってきます。
目で見ている絵画を、脳内の風景として感じられるようになるため、音や動きを脳裏で感じられるようになり、そして色の三原色で描かれた絵画なのに、優れた作品からは、とても美しい”光”の色彩を受け取ることができるようになります。
以前は、美術館に出向いても、何を見たらよいのかすらわからなくて、ただ漠然と絵画を見ていたのですが、香りの情景が感じられるようになってからは、優れた美しい作品は感情に届き、受け取れるものがあるので自然と立ち止まり、見入ってしまえるようになりました。
それもこれも、テイスティングにおける副産物であるのだと感謝をしています。
ですので、香りの情景が感じられるようになると、今までとは感覚の感度が違っていることを実感し、いろんなことを感じ取れるようになっている自分に気がつけるようになります。
なのでテイスティングの本質を伝えたいのです。
素晴らしい世界観を感じるためのスキルだと思っているからです。

香りの情景のロジック。

香りの情景の背景にあるものは、香りの分子には重さが関係している(分子量約300以下の揮発できる分子が香りの分子となる)ため、脳裏で香りの広がりという立体感と、その密度感を感じることができ、その広がりは色を帯びている。
それらを一般的には、ボディと呼ばれている。

ボディ感は、香りの情報で感じられるものであり、よくコクとボディは同義語であると述べられているが、ボクは別物であると解釈をしている。
ボディは香りの情報の粘度や広がりのボリュームであるが、コクは口内で感じる味覚情報と触覚情報の強さや重さであると考えている。

その香りの情報であるボディ感をより厳密にキャッチすることで、キチンとしたマッピング(配置図)を脳内に描き記憶することが可能になってくるものであり、マッピングはカテゴリに分類するためにあるものである。
これは共感覚と呼ばれる感覚なのかもしれませんが、香りの情報には立体的な広がりがあり、そして色彩があるもので、優れたカッパー(コーヒーをカッピングする人)は、皆同じ景色を見れているため、感じている”色”に対して、そのフレーバーが”どこ”で登場しているものであるのか、また何に例えた方が一番近い印象を与えるのかをディスカッションすることができるものなのです。

しかし、ほとんどの人たちはその情報を認知できていないため、または感覚として感じ取れていないために、その香りの情景を見れてはいないのです。
ゆえにキチンとした香りの情報のマッピングが出来ていない。
だからカテゴリのまったく異なるフレーバーのコメントをしてしまっている。

これは、香りの情景の存在を知らなかったボクが、その香りの情景を感じられるようになったことで、見れている人たちと、見れていない人たちのコメントに差が生じる原因であり、そしてそれはそのコメントから推測されることなのです。
そしてこれらはトレーニングによって感じられるようになるものです。
ボクがそうだったように。

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