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わたし、ライターになれませんか?

こんにちは、秀香穂里です。
フリーの雑誌ライター編集業を経て、現在は専業作家です。
いまはボーイズラブ&ティーンズラブ小説をメインに書いています。

そもそもこの仕事についたのは25年前くらいのこと。ハッと気づいたらこの年数なので、ギョエーという感じです。


○物書きになりたかった

昔から、いずれ物書きとして生きていきたいと考えていました。
できれば小説家になりたい。

小学校低学年から創作していて、他愛ない話をノートに書いてはクラスのみんなに読んでもらうのが楽しかったです。「続き書いて!」と言われるのがいちばん嬉しかったな。

○どうやって業界に入ったか

小説家になるため、新人賞に応募したことはありません。「待つ」ことがなにより苦手だったので、さまざまなバイトをしながら友人に「物書きとして仕事したい」と打ち明けたところ、ゲーム雑誌で活躍していたフリーライターさんを紹介してくれました。20歳の頃です。

当時、人出が足りなかった現場でわたしはまったくスキルがないのに採用されましたが、文章を書くのもゲームの腕前も素人以前。
「とりあえず巻末に使う文章を書いてみて」と雑誌の副編集長に言われて、必死で書き上げた10行足らずのモノが、なんと本当に掲載されたのです。

雑誌が発売された当日、新宿紀伊国屋でドキドキしながら本を書い求める前に当該個所をチェックしたら、わたしが書いた文章で使ってもらえたのは、ただの一語。

「今週のおすすめ新作は○○!」

の一語を残してあとはすべて修正され、まったく別の文章になっていました笑 それくらい使えないやつだったのです。

ちなみに、はじめてのひと月のギャラは1000円でした!
ライター業だけでは生活できず、アパレルや飲食店のバイトもやっていました。

○現場での仕事

長いこと同僚ライターの補佐を務めました。
ゲーム攻略のために毎日徹夜してキャラクターのレベル上げをしたり、ダンジョンを巡ってマップを作ったり。

文章の仕事がない時はデザイナーさんの仕事を手伝ったり、カメラマンさんのブツ取りを手伝ったり。

入稿や校了でてんてこ舞いの編集さんの補佐をしたこともよくあったので、校正の基本を学び、後進のライターの原稿を見ることも。
取材の音声起こしもよくやりました。
24時間騒がしい場所で寝ることを覚え、集中して原稿を書くことも身に着けました。

後年、大物クリエイターに取材することが増え、皆さんがどんなこころもちでゲーム制作に当たっていたかを知ることができたのは、大きな収穫でした。普通に生きていれば、まったくご縁のない方たちばかりです。

女性がほぼいない現場だったこともあり、雑誌モデルとして誌面に出ることも(容姿がどうとかではなく、ただ若かっただけ)。
パワハラ、モラハラ、セクハラが横行し、麻痺していた部分は大きいです。とくにパワハラはすさまじかったものの、「これくらい乗り越えなきゃ、仕事していけない」と自分に言い聞かせていましたが、公然となじられるのはやはりつらかったです。

ただ、いま思えば、お金をもらいながら物書き&編集のイロハを学ばせていただいたという……現場の皆さんには迷惑ばかりかけていて身が細る思いです。1000円もらえるだけでもありがたかったんですよね。

毎日編集部に顔を出し、編集さんの机をひとつひとつ回って、「仕事させてください」とお願いしていました。

「別の仕事が向いてるよ!」と言われることも数知れず。
編集さん、ライターさん大勢が詰める校了中の編集部で、「読める日本語書いてよ」「この現場向いてない」「取材でなに聞いてたの」と、正面切って罵倒、説教されたこともしょっちゅう。

同僚ライターが次々に大きな仕事を任されるなか、わたしは毎日叱られるばかり。
「なんでうまく書けないんだろう」と悔しくて泣いた夜が続きました……。

○そして、いま

いまもしぶとく執筆業についています。
声をかけられたらすぐに応え、黙って待つのではなく、こちらからどんどん声をかけ、「どんな仕事でもします」と頭を下げ続けたのがいまに繋がっています。

プライドがないも同然です笑
書くこと、書けることがなにより大事。
この姿勢はいまも変わりません。

編集部に直接電話して仕事をもらったこともありますが、これはルール違反、かつ非常識な行為だったので深く反省しています。
(普通は新人賞か常時募集をしている編集部に応募するのが正しいです)

ここに書いたのは、世の中に星の数ほどあるケースのうちのたったひとつ。
モノ作りは繊細な感情をともなうので、つらい思いをするひとはできるだけいないほうがいいなと願っています。
雑誌の現場にいた頃、自死したひと、失踪したひと、山にこもったひと、病に倒れたひとを見てきました。かくいうわたしも、何度か心身の不調をきたしています。
精神力と体力が要求される世界とはいえ、作り手みんなが健全であってほしい。書き手さんも編集さんも全員。こころからそう思っています。

かつての経験を書くときに強く願うのが、「いま&これからは環境が変わってほしいな」ということです。パワハラ、モラハラが横行していた時代の出来事を読んだひとが、「こんな経験をしないといけないのか……」といやな気分になるのは避けたいな……。

頼まれた仕事ではない&報酬が出ないモノを書く、という意味ではこの記事もそうなのですが、そのぶん、思いつきで、肩肘張らずに書いていこうと思います。

機会があれば、「作家になった経緯」も書いてみたいです。

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